上野ってパリなの？
最近のお気に入りの街は上野だ。浮世離れてしていて、とにかくイイカンジなのだ。上野といっても中央改札を出たところにある繁華街の上野ではなく、公園口改札の方のいわゆる「上野のお山」。
三代将軍・徳川家光がこの地に東叡山寛永寺を建てたことに端を発するのか、あるいは明治5（1872）年に東京国立博物館が創立されたためか、はたまた明治20（1887）年に東京藝術大学の前身である東京美術学校が設立されてアートの聖地となったからなのかはっきりしないが、上野の山にはレアな建物が並んでいる。
緑豊かな環境のなかに歴史ある建造物が建ち並ぶ、東京23区にあってこの景観は奇跡といってもいいのではないのではないだろうか。
特に素晴らしいのが、夏の夕暮れ時、美術館や博物館が閉館するあたりの時間帯。人また人でごった返している昼間が嘘のようにあたりが一瞬にして静寂に包まれ、時空の歪みにたった一人で落ちてしまったかのようような気分が味わえる。これが冬だと真っ暗なのだが、日の長い夏には閉館時間後しばらくはトワイライト。シンプルとは真逆の装飾の多い建物が突如として現れて、薄闇の中にぽっかりと浮かぶ様子はまるで夜のパリのようである。
ちょっと注意が必要なのは、あまりに気分がよくなって、ついつい上野公園通りの坂道を下っていってしまうこと。坂を降り切ったところは喧騒の上野。幻想的な公園で完結するのがおすすめだ。
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