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短編小説 「この世界にごきげんよう」②



 自己紹介。わたしはの名前は、ホープ。この話は養成所の絶望と希望を書いていく。


 わたしは十三歳で初潮を迎えて、その三日後に親元を離れた。両親と離れるのは寂しかったけど周りも初潮を迎えて養成所に行く人もいたから、そろそろわたしも初潮が来るだろうと予想はしていた。


 初潮を迎えて養成所に入所が決まり、三日後に両親の元を離れる。三日は楽しく両親と過ごすのだろうと思ったが違った。


 両親から特に母から養成所の詳しい過ごし方や養成所で学ぶ内容を教え込まれた。母が必死になるのも無理はない、養成所の最終試験を合格できなければ、両親とほぼ一生会えない、強制労働か男性たちの性の捌け口になるかもしれないから。


 母から聞いた話はほとんど覚えていない。母から不合格者、脱落者の話が衝撃すぎた為ほとんどその話しか覚えてない。


 不合格、脱落者は国の強制労働か性の捌け口に回される母の話では強制労働の方がマシだと言う。性の捌け口に回されれば一日中男性たちの体の相手をしなければならないショックのあまり命を絶つ人も少なくはないらしい。


 養成所は女性として人権を勝ち取る為に行くようなものだとも母は言っていた。母は養成所の合格者だ。合格者だけが家庭を持つ事を許され、子を産む権利が与えられる。


 不合格者、脱落者には希望などない、あるのは絶望だけとも言っていた。女性として人として生きる事は許されない。それがこの国のルールだから。



 養成所へはバスで他の女性たちと向かう。バスの中はエンジン音が響くのみで誰も喋ろうとはしない。みんな不安があった、これからの生活は今後の人生に大きく関わるからだ。


 養成所には養成所の先生とわたしたち生徒のみが立ち入る事ができる。立ち入りを許可されてない者が養成所に入れば刑務所に送られる。


 二時間ほどバスで走って養成所に到着した。養成所はとても大きな五階建ての城のような建物だった。


 ここでわたしたち女性の人生が決まる。絶対に強制労働者にもなりたくない。絶対に男性たちのおもちゃにはなりたくない。わたしは絶対に合格者になる。


 ③へつづく。


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