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短編小説 「夢の中のウサギ」3


丘に着くと、私たちは息をのむような光景を目の前にした。見下ろすと、広大な野球場が広がっていた。緑の芝生が美しく整備され、ダイヤモンドの形をした野球場は、夢の中の世界にも関わらず、驚くほどリアルで活気に満ちていた。スタンドは歓声と拍手で満たされ、ウサギの選手たちはプレイに熱中していた。

茶色い毛のウサギは私の手を引きながら、丘の上から野球場を眺めた。彼の目は輝き、その表情には子供のような喜びが溢れていた。彼は私に向かって言った。

「ここから見る野球は最高だよ。全てが見渡せるんだ」

私はその光景に圧倒され、しばらく言葉を失った。野球はテレビでしか見たことがなかったが、この夢の中での野球場の雰囲気は圧倒的な迫力を持っていた。選手たちの動き、観客の歓声、選手たちの緊張感が、まるで現実のように感じられた。

「すごいね」と私は口にした。「こんなに素敵な場所を見せてくれてありがとう」私はウサギの手を握り返しながら、夢の中の不思議な体験に心からの感謝を感じていた。

ウサギは私の感謝の言葉に微笑み「君と一緒に来られて僕も嬉しいよ」と答えた。その瞬間、私はこの夢の世界でのウサギとの出会いが、ただの偶然ではなく、何か特別な意味を持っていることを感じ取った。

私たちはしばらく丘の上に立ち、試合を眺め続けた。ウサギとの不思議な時間は、私に新たな発見と喜びを与えてくれた。

しばらくの間、私たちは観戦に夢中になっていた。選手たちのダイナミックなプレイ、観客の歓声、そして野球場特有の熱気に包まれて、私は完全にその世界に引き込まれていた。

しばらくすると、ウサギが私の方を見て言った。「さて、観ているところ悪いが戻ろうか」彼の声には、何かを伝えたいという意味が含まれているように感じた。

私はまだ観ていたかったけど「うん」と頷いた。夢の中のこの野球場での時間は、私にとって特別な体験だった。現実では味わうことのできないような光景を目の当たりにし、心が満たされていた。

ウサギは私の手を取り、再び丘を下り始めた。私たちは夢の中の道を辿りながら、静かに歩いていった。私はこの不思議な旅が終わることを少し寂しく感じながらも、ウサギとの時間に感謝していた。

私たちが丘を下り終えると、夢の風景は徐々にぼやけていき、私の意識は現実世界へと戻り始めた。

夢から覚めた私は、部屋の天井を見つめていた。目を開けた瞬間、夢の中の世界とウサギとの出会いが鮮明に思い出された。部屋は静かで、朝の光が窓からそっと差し込んでいた。私の心は、夢の中で感じた感動と驚きでいっぱいだった。

私はベッドに横たわったまま、夢の中での体験を思い返していた。ウサギとの会話、野球場での観戦、そしてあの不思議な感覚。すべてが夢であるとわかっていても、それは私にとって非常にリアルな体験だった。

しばらく天井を見つめていると、徐々に現実への意識が戻ってきた。

そして、枕元のスマホで時間を確認した。

時刻は6時58分を指していた。




時間を割いてくれて、ありがとうございました。
月へ行きます。

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