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地域ネコとのランデブー

ボクの地元に生息するネコを『地域ネコ』て呼んでいたんだけどwikipediaで調べてみたらネガティブな意味だった。

地域猫(ちいきねこ)とは、特定の飼い主がいないものの、地域住民の認知と合意の上で共同管理されている猫を指す[1]。地域猫活動とは「地域の問題として飼い主のいない猫を住民やボランティアなどが共同管理することで、最終的にそのような猫をなくすことを目標とした活動」であり[1]、管理実態によっては飼い主のいる猫、または飼い主のいない猫として判断される[2]。本項では地域猫および地域猫活動について記す。

wikipediaより

ボクがこれから使う『地域ネコ』はWikipediaに書いてある意味じゃなくて、ボクが住む地域に住んでる家ネコのことになるから、うまく脳内変換して読んでほしい。

こむぎ

ボクの地元じゃネコは外飼いしている家も多くて、家ネコだけどまるで野良ネコみたいに道路を闊歩してる姿を見る。昔は同じようにイヌもうろうろしていたし、もっと昔は遊んでほしいイヌと怖がる子どもたちの無情な駆け引きが夕方の通学路のあちこちで見た気がする。

ボクは今、訳あって生まれ育った地域を離れて都会の真っ只中で生活してるんだけど、時々地元に帰った時は必ず地域ネコに会うようにしてる。
そんなボクがラブリーな地域ネコは「こむぎ」と「チャトラン」。

こむぎ

ネコの移動距離は意外と広いみたいで半径1キロくらいは余裕でパトロールしてるみたい。特に昼間はいろんな場所に移動しているみたいでこむぎもチャトランも見かけることはできない。
でも夕方5時を過ぎたあたりからいつもの場所に戻ってくるから、ボクは5時のサイレンが聞こえたら外へ出る。

いつもの場所でいつもの時間に

天気のいい日、いつものように夕日を少し避けた場所にいるこむぎ。
ボクの足音を聞いて、ボクを驚かせるように飛び出してくるこむぎ。

こむぎ

そして全力でなでて!とアピールしてくる。ボクはそれに応えるように全力で身体中をなでてあげる。目を細めてぐるぐると唸る喉。

そこから30mほど離れた場所にいるのがもう一匹の地域ネコのチャトラン。ちょっと強引なこむぎと違ってちょっと優しいチャトランはボクが「遊ぼ」って意思表示すると「いいの?」って寄ってきてくれる。

チャトラン

尖った耳と面長な顔は美人さんなイメージのチャトラン。時々調子に乗って車の中や家の中にも入ってくるけど、そんなところも含めて愛らしいのがチャトラン。

でもこの二匹はネコだけど犬猿の仲で、生活圏が近いこともあって常にお互いを意識しながら生活してる。この前もこむぎと散々遊んだ後に家に帰ろうと思ったらチャトランがいてついつい「遊ぼ」って誘ってしまったから30m越のバトルが始まってしまった。

こむぎを警戒するチャトラン

ボクの手をクンクンと嗅いでこむぎを確認するチャトラン。ボクと遊んであるだも耳を立ててこむぎを警戒してた。そして30m先には同じく警戒体制のこむぎの姿も。全くもって無神経な行いをしてしまったことに反省なんだけどあとの祭り。ごめんね。

こむぎを警戒するチャトラン

人間の5倍のスピードで流れるネコの時間

TVだったかラジオで聞いたことがある。ネコの平均寿命は12年から18年なんだって。人間の平均寿命と比べると5倍くらいの速さで時間が流れているらしい。
だからボクが半年以上地元に帰ってこれなくて、こむぎとチャトランに会えなかったら二匹にとっては3年近く会えない感覚を感じていることになる。人間だったら愛想尽かされてもう忘れられるレベルだよね。

チャトラン

それでもネコはボクを迎えてくれる。「よくきたね、久しぶりだね」って。ボクは二匹の飼い主じゃないから長く一緒にはいられないけど、それでも二匹の人生の中に少しでもボクとの時間を残してほしいし思い出の中に残してほしいなと思ってる。

だから自分勝手かもしれないけど、ボクは毎回右手にカメラを持ってこむぎやチャトランと戯れる。短い時間だけど一緒に戯れた記憶を残しておきたい。

そして必ずやってくるのが二匹とのお別れの時。

地域ネコとして愛してあげること

家ネコだったとしても地域のみんなで愛してあげればいいと思うし、ボクの住んでる地域はそれができているんだと思う。多分ボクだけじゃなくて他の住民からも可愛がられているだろうし、ボクの書斎から見えるこむぎの家の前でたくさんの人に撫でられている姿も見た。
そんな愛し方をもっとしてあげたいな。

そんなボクでも「これはしない」と決めていることがある。
エサをあげること
長時間独占すること
エサをあげることは飼い主の特権だし、栄養管理も必要だろうからボクからエサをあげることはしない。(時々チュールの誘惑に負けそうになるけど)
そしてもうちょっと遊んでほしいと感じる範囲でその場から離れるようにしてる。飼い主以上に懐かれるのは良くないし、また会った時に遊んでもらえるようにお互いにちょっとだけ名残惜しいところで止めるようにしてる。

こむぎ

そんな涙ぐましい努力(!?)の元に今の地域ネコとの関係性が生まれたんだと思う。

本当の『地域ネコ』の意味になるように

Wikipediaに書いてることはネガティブな面がたくさんあって、このnoteで地域ネコと書くことにちょっとだけ躊躇したけど、本当の意味での地域ネコの在り方なんじゃないかなと思ったら敢えて『地域ネコ』って言葉を使ってみた。

粗末に扱われる命があったり、地域から忌み嫌われる存在になったり、そんなネコは一匹もいなくなってほしいな。それにはネコ達と適切な距離を持って接する気持ちが必要なのかもしれないね。
インスタ映えする地域ネコがたくさんいる島があるけど、そこに住むネコたちの本当の幸せを願って接してあげたいな。

今はまだネガティブな意味の『地域ネコ』。これから少しでもポジティブでハッピーな意味になっていけばいいな。
ボクはそんな未来の『地域ネコ』のあり方をイメージしながら今日も夕方になったら決まった場所でネコ達と戯れる。

そんなボクだけの地域ネコとのランデブー。


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