人が売られている自動販売機
(著者:しんぺい)
はじめに
あなたは自動販売機を頻繁に使っているだろうか。
最近は原材料の価格高騰によるペットボトルの値上がりもあり、
あまり使わなくなってきたかもしれない。私は1日1本買ってしまうのだが…
今回はその”自動販売機”に焦点を当て、
ペットボトルではなく、商品が人である場合を
考えていく。
電通からの問い
広告代理店最大手「電通」、
そこからこの記事の本題が生まれたのである。
これは電通が新卒向けに毎年行っているインターンシップの課題の一部であるが、非常によくできていると感じる。
一見、簡単そうに見えて奥が深い、しかも下の注意書きには、「ネットやAIでも出てこない、新規性のあるあなた独自のアイデアを期待しています。」と書かれている。
はて。
あなたならどんなアイデアを出す?
ネットでもAIでも答えられない、
あなたの答えはなんだろうか。
私の答えはなんだろうか。
…難しい、かなり難しい。
誰かの困りごとを解決する新しい自販機?
「コンビニみたいになんでも売ってる自販機」
「化粧品とか女性向けの商品を扱っている自販機」
いやいや、誰でも思いつきそうだ。
なんなら、もうありそうではないか?
そこで、ふと思いついた。
そうだ、人を売ろう。人を売っている自販機は多分まだないだろう。
”人”を売る自動販売機
”人を売る”と聞いて、
「人身売買では?犯罪じゃないのか?」という
ヒステリックアンサーの答えはNOである。
私が考える”人を売る”とは、
”誰かと繋がれる空間”を売るということである。
テクノロジーで便利になった現代で、
誰かにお節介言ってもらったり、怒ってもらったり、かまってもらったり、自分と真剣に向き合ってもらったりすることが貴重になってきているように感じる。
自動販売機に行かなきゃ行けないこと自体はやや寂しい気もするが、
5分間だけでも誰かの”真心”をもらいに行く人は増えるかもしれない。
カウンセリングや占い、飲み屋で話を聞いてもらうよりお手頃で便利である。
(そのこと自体、皮肉であるかもしれないが。)
結局、どんなに生活がスマートに便利になっても、人々は満たされない感情に何かを求め続けて、一瞬で誰かの真心に触れられるという自動販売機すら現実味があるように思える。
真心自動販売機の候補
例えば、
かんしゃくおじさん自販機→コラっと叱ってくれる
ゲラゲラおばさん自販機→ただゲラゲラ笑ってくれる
合いの手おばさん→ただ「そうだよね、わかる」と相づちを打ってくれる
なんかが挙げられる。
すべて、人間が中に入っていてもいいと思う。
そこに人がいるという実感が”温かみ”を生み出すかもしれない。
逆にオンラインビデオ通話のような形式であれば、やはりどこかで距離のある寂しさを感じてしまうのかもしれない。
また、自販機に入れた金額でサービスの時間と量が変わるのも面白い。
しかし、商品は人間なので、偶に金額を超えたサービスをしてくれるとか、あったりなかったり…
これは無限に考えられそうである。
最後に
”人の真心”を売る自動販売機。
デジタルに囲まれた時代だからこその寂しさや孤独感を満たしてくれるのかもしれない。また、「楽をしたい」という人間の欲求が、自販機でコミュニケーションを取るという形として現れ、その欲が人間関係や対話にまで延びてしまうことにどこか恐怖感があるが、それはそういう時代になってきたということなのかもしれない。
あなたなら、この自販機にいくら入れますか?
それでは。
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