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相手の能力を引き出すために必要な感覚

プロデューサーの仕事内容は多岐にわたっていますが、一番重要なのは人との関わりの中で、相手の能力を引き出すことです。
決して自分の考えや意見を押し付けることではありません。

音楽業界の大先輩で、60年〜70年代にかけてのフォークソングブームの仕掛け人でもある金子洋明さんが、1994年に出版された「プロデューサー感覚」という本で、ご自身の体験からプロデュースについて書いておられます。
お仕事でご一緒させていただいたこともあるのですが、とてもエネルギーに満ちた方で、お話しされることも全部説得力がありました。

その「プロデューサー感覚」から一部抜粋させていただきます。

アーティストは孤独な存在でもある。才能を信じることと裏腹な自己不信の絶え間ない葛藤の中に放り出されていると言っていい。
そして、本人にとって、何が自分の“利点”であるかは必ずしも明確でないことの方が多い。
“欠点”を“欠点”として意識させ、自信喪失の谷に落としてしまうのか、それとも、そのことが“利点”であるとして説得力をもたせることができるか。
それこそ、プロデューサーの責任と言っていいのではないだろうか。

おっしゃることはそのとおりで、「アーティストは孤独な存在」です。
自信に満ち溢れるより不安に襲われることのほうが多いし、精神的に不安定なものなのです。ステージでは一切そんな素振りは見せませんが。

僕自身も、ずっと音楽の仕事をしてきた中で、とても重要なことだと感じていたのは、アーティストに対するメンタルケアでした。
才能を見抜き育てながら、どうすれば自信を持ってくれるのかということを、常に考えなければならないのです。
それがプロデューサーの仕事の大半だと言っても過言ではないです。

でもそれは、プロデューサーという仕事にだけ必要なことではなくて、人間関係において、相手の能力を褒め称え、それが利点であると説得力を持たせることって、いい関係を作ることにおいては最高の行為じゃないですか。

でもそれが逆になってることって多くないですか?
あそこがよくないとか、ここがつまらないとか、相手がヘコむようなことばかり言ってるとしたら、大変失礼なことだと思うんです。
やる気を削ぎ落とし、可能性の芽を摘んでしまうんですから。

粗探しする思考パターンは、自分に対しても他人に対しても発動します。
それは全く建設的ではないし、逆に破壊力がとてつもなく大きいということを認識しておいた方がいいでしょう。

思考はエネルギーです。
そのエネルギーが形になったり現象として現れます。
現象はあくまでも結果であって、自分がどんなエネルギーや波動を発信してるかということが原因であり全てです。

他人に向かって「どうせ無理」「あなたにはそんな才能ない」と言ってませんか?それは暴言と取られてもしょうがないエネルギーです。
「あなたならやれる」「とてもいいと思う」「問題ないよ」という言葉は、書いていてもエネルギーが宿っていることがわかります。

肩書きを持っている人だけがプロデューサーではないのです。
よき言葉を使い、よきエネルギーで相手を伸ばしていくことができれば、あなたもプロデューサーの一人です。
そしてそれは自然と伝播していくし、SNSの発信よりも影響力が大きいのです。ぜひ自分から行動を起こしてくださいね。

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