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英国の大学で「最近、何を読んでるの?」と訊かれたら

What are you reading recently? (最近何読んでる?)

日本でこういう質問をされたら、
「村上春樹の新刊読んだよ〜」
「今は『小説 君の名は』読んでる」
みたいな感じの答えが普通でしょうか。

だけれど、イギリスの大学生の間ではこの質問は別の意味をもっています。

イギリス留学中、イギリスの教育制度についてレクチャーを聴く機会がありました。面白かったのは大学教育について。

まず、大学教育においては、名門校(prestigious university)ほど「教える」機会は少ない、ということ。オックスフォードやケンブリッジを含むラッセル・グループに入っている大学では、生徒の授業時数は極端に少なくなります。教授やチューターと話す機会も少ない。なぜかというと、

学生の本分は授業に出ることでなく、自分で研究することだから!

学生はただのstudent(学生)ではなく、researcher(研究者)として捉えられています。研究、つまり、自分で文献を読むことです。

というわけで、山ほどリーディングの課題が出されるんです。

1回の講義を受けるために、required(絶対読むもの)からsuggested (できれば読んだ方が良いもの)まで、10本以上の論文が挙げられます。そして、実際の講義では、自分が読んでまとめた考えを確認したり、議論したりする。

私もロンドンで大学院に行っていたときは毎週泣きそうなくらいのリーディング課題に追われていました。授業自体は週に4コマしかないんですよ。だけどその授業のための準備に膨大な時間をとられました。

そこでタイトルに戻ります。

「今何を読んでいるの?」という問いは、「今何を勉強しているの?」という意味です。

従って、答えは"Macroeconomics." (マクロ経済学)や"Sociolinguistics."(社会言語学)ということになります。

そして、学力の低い大学にいくほど、「教える」に重点が置かれるようになり、サポートが手厚くなるそう。こういうところは日本も同じ感じでしょうか。受験での偏差値の低い大学の方が、学生のサポートが厚い印象があります。

あと面白いのは、一人の人が複数の修士号を持っていること。
私が日本で会ったイギリス人は経済学と人類学と教育学の修士号を持っていました。
イギリスで会った英語の先生は、言語学とフランス文学の修士をもっていて、博士課程在学中でした。

複数の修士号を持ってる人って日本では珍しいですよね。「なんで2つも修士取ったの?」って、余計な詮索されそう…

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