ルヴァン_クロワッサン

朝を懐柔しろ 今日やりたいことは何

どんな朝でも、朝は、そういう時間帯だ。「朝」という時間帯でしかない。「出勤前は忙しい!」と感じても、「今日は休みだから、二度寝しよ」と思っても、おなじ、「○:○○」という時間だ。

朝は、そういう存在でしかない。

それなのに、今日はいやな仕事が待っている、いやなイベントが待っている、と思った瞬間、朝は、悪魔にかわる。どうして、夜は明けてしまうのか。どうして、地球は回ってしまうのか。

朝を、味方に、つけたい。切実に。

たぶん、眠いことが原因じゃないと思う。布団から出られない理由。

眠い場合は、夜寝る時間を早めるしかない。8時間くらいきっちり睡眠を取って、「○時間しか寝てないから、自分は起きられない」と言い訳するのを、やめよう。

寒い、という場合がある。冬は、眠ろうが起きていようが、布団に入っていることそれ自体が、暖かくて、利点になる。その場合は、まず、部屋を暖めよう。エアコンのタイマーを設定しておくといいかもしれない。

起きたらまず羽織る服、というのを決めておくのも、いい。モコモコしたパーカーとか、布団に代わるもの。

部屋は温めたけど、体が冷えている、という場合は、わざと熱くしたお湯で顔を洗う。お風呂に使うときでなければ、給湯の設定温度は40℃より低くしてある。そこを、あえて42°くらいにし、「熱っ」ってなりながら、顔を洗う。

暖かい、という感覚は、それだけで幸福と結びついているように、わたしは思っている。

起きあがることには成功した、だが、今日待っているバッドであろうイベントのことを思うと、ベッドに戻りたくなる……

という時は、コーヒーを淹れる。

コーヒーを淹れる、という行動が、わたしは案外すきだ。存外に手間がかかる作業だ。まず、お湯を沸かし、コーヒー粉をひき、ドリッパーをセットし、時間をかけてお湯をくぐらせる。湯気を見つめている。淹れおわれば、香りをまず嗅ぐ。

雨のにおいのような、やさしい湿り気のかおりを、そのなかに探しあててから、牛乳を注ぐ。

とにかく、起きる目的がほしい。それがあれば、起きられる。起きたくない理由があるから、起きられないのと、原理はおなじ。

起きる目的は、なんでもいい。コーヒーを淹れる、新聞をとりにいく、明け方に、南の空にひかる木星を見つける。木星の輝きが、朝日にまぎれてしだいに薄れていくのを見まもる。朝の空の色をみる。

朝をすごすために、いま、起きる。

今日、仕事が終わったあと、食べたいもの。飲みたいビール。読みたい本。今日もまた、布団に入ってぐうぐう眠る自分。夜のために、起きる。

朝とは、闘える。ただただ、いやな気分になりながら相手をするのではない。味方につけるのだ。朝は、こちらが丁寧に接すれば、かならず味方になってくれる。あんなに敵のように見えていたのだ、味方にも、なるに決まっている。

ミッション:朝を、懐柔しろ。


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