見出し画像

【映画】「母性」から見る母親

誰にとっても母親の存在とは良くも悪くも影響が強いものだ。それを再認識した。

親と子の距離感が近すぎず、遠すぎず、親が色んなものを与えないのはネグレクト、与え過ぎもまた依存関係を生む。ルミ子は母との距離感が近すぎて母の嗜好や考えに自分を擦り合わせる。素直すぎる故か、主体性がなく、自分の信じた人の言葉が絶対的になっている。宗教にハマる人みたい。これは共依存関係と言えるでしょうね。

人を可哀想がり過ぎるのも一種の差別だし、こんなに愛情を注いでいてくれる母なのに、彼女はそれを自分の娘に分け与えるまでの循環に持っていくことが出来ない…
子どもが産まれても、自分が自分の母親に見てもらう事ばかりを考えてしまい、子どもには祖母や周りの人に気を遣ったり、与えることを教える。
いつまでも子どもでいたい人、これは性別問わず、アダルトチルドレンの可能性がある。

原作をだいぶ前に読んだ記憶で視聴。
湊かなえさんのこの本が出た時、「これが書けたら作家を辞めてもいい。その思いを込めて書き上げました。」と言うフレーズの帯がついていた。他の作品にも母親像というものが結構意識して描かれているイメージだけれど、「母性」はご本人がご自分と向き合ったと伺える渾身の作品だったと思われます。その映画化。戸田恵梨香さんも永野芽郁ちゃんも好きなので楽しみでした。

時代背景のせいか、終始セリフが昼のメロドラマ寄りで作られた世界。これはわざとなのか?アイテムや世界観は"美しい家"を含めて、車、家具、服装がレトロで可愛らしい。纏う戸田恵梨香も大地真央も美しい✨一見幸せな家庭なのかと思うけれど、引っかかる。そして娘の真実で一変。若干のミステリー要素を盛り込み、それぞれの目線での語りで謎を明らかにしていく。

工場で働く旦那さんの稼ぎだけであの家は保てるのかな…男性の存在は薄く、旦那以外の父親の存在は無い。田所のイメージはピッタリだけど、原作にいたルミ子の父の表現はカット✂︎

お話の中に出てくる母親は3人。

ルミ子に愛、能う限り与えた母、その母に育てられながら、静かに歪んでいるルミ子。共依存さを感じさせる母子、終始、疑問が生じるような認知の歪みの連続。

ルミ子はさやかの母。愛をうまく与えられないルミ子。命を断とうとするまで、名前すら呼ばれない娘、さやか。

そして、田所の母であり、ルミ子の義母。彼女も強烈!高畑淳子。田舎にいる自分の息子と娘には甘く、嫁をこき使う嫌な姑役。高畑淳子の振り切った演技、介護されるところまで、、すごい。ちょっとやり過ぎかなとも思ったけど、あぁいるわ、こういう人と思った。
最後の方で、彼女の介護をするルミ子はやっと報われたと描く歪み。

寡黙で立場の無い夫は、嫁姑問題で嫁を庇うことも無く、逃げ場である浮気相手の家に通う
友達と見せかけて、ルミ子の大事な母親の家で暮らす浮気相手→これは結構酷い

なんか色々ずっと悲しい。

芽郁ちゃんは、去年血は繋がってないけどとても愛された娘を演じていたけど、今回は愛されたいのに両親から名前も呼ばれない娘の演技。彼女の泣きの演技、毎回泣かされてしまう🥲

戸田恵梨香さんに母親の演技はまだ早いのでは?という印象。芽郁ちゃんとの歳の差も近過ぎるなぁ〜

大地真央さんはアイフルのCMが過ってしまって、女優さんがCMや出る番組を選ぶのは当たり前のことだと感じました。

あと、突然のJUJUは受け入れられない。

ちょっと言いたい放題だけど、個人のレビューなんで笑

見て後悔は無いけど、原作がとてもいいので、今一度原作を読み返します。

この記事が参加している募集

映画感想文

NYでフリーランスのライターと日本語の先生をしています。どこまでも自由になるため、どこにいても稼げるようなシステムを構築しようと奮闘中。