井上 祐巳梨
コロナ禍で教育の現場は変われるか?日本特有の課題とは
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コロナ禍で教育の現場は変われるか?日本特有の課題とは

井上 祐巳梨

変化が乏しい教育現場

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教育現場はこの1年で大きく変わりました。1人1台PCを目標に掲げる国のGIGAスクール構想が本格的に始動し、まさに変化の時を迎えています。

しかし、この変化はコロナの影響で学校が休校となり、過密を避ける新しい生活様式が生まれたからとも言えます。影響が少ない部分は今も、私の子ども時代とあまり変わらない教育が続いています。

黒板にランドセル、大量の教科書、ノートとペン…。携帯電話がガラケーからスマホに変化して久しいにも関わらず、昔ながらの光景で変化が乏しい日本の教育現場には、まだまだ変化の余地が充分にあると言えるでしょう。


“優良”な消費者      

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海外の教育事情と比べると、子どもたちの意識にも明らかな違いがあります。例えば、「平成29年度アメリカ・韓国における青少年のインターネット環境整備状況等調査を見ると、日本の子どもたちはPCやスマートフォンでゲームしたり、YouTubeを見る時間が多いことが分かります。自作PCでゲームを開発したり、何かを発信したりする時間が少ないのです。


これに対し、アメリカの子どもたちは、同じようにPCの使用率が高くても、PCを使ってアプリやプロダクトを作る時間が長いそうです。両者には歴然とした差があります。


日本の子どもたちは受け手、つまり消費者側なのに対し、アメリカの子どもたちには作り手側の意識があるのです。もちろん消費者は大切な存在ですが、あまりに消費者然としていては、イノベーションが求められる現代に逆行していると言えるでしょう。


極端に言えば、このままだと日本は与えられたものを何の疑問も持たず受け入れ、お金を落とすだけの〝優良な消費者〟で終わってしまう危険性があるのです。


ポジティブになれない若者たち

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出典:日本財団「18歳意識調査」第20回テーマ:「国や社会に対する意識」(9カ国調査)より

日本財団は2019年、日本やアメリカ、中国など9カ国の17~19歳を対象に国や社会に対する意識を調査しました。大変残念なことに、日本は全ての項目において最下位でした。

特に注目すべきは、日本は「自分で国や社会を変えられる」と思う若者の割合が諸外国に比べて圧倒的に低いことです。なんと8割もの若者が、自分の力で社会を変えられないと思っているのです。


同じアンケートに「自分の国の将来についてどう思っていますか?」という質問がありますが、「良くなる」と答えた日本の若者は1割未満でした。以下がその回答になります。

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出典:日本財団「18歳意識調査」第20回テーマ:「国や社会に対する意識」(9カ国調査)より

これから大人になっていく世代が、自分のたち将来に対してプラスの思考になれないのは、本当に悲しいことです。なぜこのような結果になってしまったのでしょうか。

日本の教育について、もう少し考えてみたいと思います。


出る杭は打たれる

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日本の教育現場において、“個”を尊重する気風は、まだまだ浸透していません。

「出る杭は打たれる」という諺がありますが、日本の教育は“枠”からはみ出すことを簡単に許してくれません。新しいことに挑戦しようと思っても、前例がないといって目を背けられたり、先生に自分の意見をぶつけることが許されない雰囲気があったりします。

私の時代と比べれば、多少の自由度はあるのかもしれませんが、いまだに個性を個性として捉えてもらうことは難しい気がします。

一方、指導する側の現場の先生たちも、この流動的な時代の中で自分たちがどうしていけば良いのか模索している方が多くいらっしゃいます。

コロナ禍もあって、まさに教育現場は今、混沌の中にあるのかもしれません。


立ち向かう先生たち

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時折、現場の先生とお話しすると、現場には凄まじい重圧があることが分かります。

例えば、ある先生はコロナ禍を受け、独自のオンライン授業を考え、実践しようとしましたが、「前例がないから、それはできない」と言われて断念した方もいたそうです。

「自分の作ったスライドは様々な事情で使えないので、どこか制限なく使える学校の方がいらっしゃったら、自由に使ってください」。Facebookにはこんな先生からの投稿までありました。見ていて胸が痛かったです。

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現場の先生が頑張っていらっしゃるにも関わらず、前例にとらわれてばかりで、変化に対応できていない。コロナ禍による世界の変化を考えれば、こうした旧態依然の姿勢は、今まで以上に通用しないのではないでしょうか。

しかしコロナの影響も後押しがあり、様々なところで、このように時代の変化に合わせた教育にしていこう、という動きが各所で起きています。
挑戦する人たちを、「転ぶ」姿を見るのを楽しむのではなく、支えて大きな力にしていく、変化していく。(ちなみに、挑戦している人たちは、失敗を失敗と捉えません。そこもSTEAMの非常な重要な概念なので。まずは、走りながら、作っていく、試していく、そしてより良くしていく。その繰り返しなだけですよね。)


そんなことが今の我々には必要なのではないでしょうか。


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井上 祐巳梨
東京都出身。日本大学芸術学部卒業。(株)Barbara Pool代表取締役/クリエイティブプロデューサー。一般社団法人STEAM JAPAN代表理事/WEBメディア「STEAM JAPAN」編集長。地域×クリエイティブ/STEAMをテーマに全国各地で地域創生プロジェクトに携わる。