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MaaS構想(というか妄想)〜都市はいずれオンラインに乗っかり新たな文化を作る〜

奇しくもインターネット上で個々を識別する単語を、「Adress」と名付けたのもなんか面白いな、と思いつつこの記事書いています。

超今更感ありますが、今回はMaaSの世界観解釈、今後の展望(妄想)について。個人的にむちゃくちゃ可能性感じる分野です。

大雑把な主張としては、MaaSって単なる移動手段の話ではなく、インターネット革命レベルの話だと思ってるよ、という話。

Maasとは

言わずもがなですが、Mobility as a Serviceの略。定義は下記らしい。

MaaS は、ICT を活用して交通をクラウド化し、公共交通か否か、またその運営主体にかかわらず、マイカー以外のすべての交通手段によるモビリティ(移動)を 1 つのサービスとしてとらえ、シームレスにつなぐ新たな「移動」の概念である
(国土交通政策研究所報第 69 号 2018 年夏季より)

このあたりの本とか割と面白かったのでご興味ある人は是非。

一般的に単なる「移動手段」として捉えられることも多いのですが、概念としては1段階上で、「移動という概念の変革」を捉えています

MaaSの世界観イメージとインパクト

↑の本にもありますが、Whimってサービスが有名ですよね。定額制で、電車・バス・タクシーなどの都市交通が一気通貫で乗り放題になるサービスです。※ Taxiは5km未満/1回の制限ありますが…

結果として都市交通の利用が30%近く上がったとか。面白いですよね。

市場としてのポテンシャルも、国内だけでも2030年に6兆を超えそうとか。 (ITで6兆4千億、コンビニで7兆ちょいとかなのででかさすごいですよね。矢野経済研究所業界動向より)
※参考までにですが、本当にfinlandで使われているのか友人に聞いてみたら秒で下記のように返ってきました。本当に最高だ!だそう。

※ 実際のWhimの料金体系は下記の通り。使いたい放題はあくまで一つのプランです。


国内だとJapanTaxi、Mov(DeNA)、DiDi、Azitあたりがしのぎを削っていますよね。MaaS関連はローカライズ命なこともあり、あまり海を渡るイメージもないので他が参入してくることもそんなにないでしょう。(個人的にはBIRDとかそういう系ちゃんと流行って欲しいですが…難しいですかね)

「移動が意識されない世の中」へ

個人的にこれらMaaSの世界観は、「都市がオンラインに乗っかる」と捉えるとしっくりきます。意味わからないと思うのでその背景を少し回りくどく説明します。

これらのサービスの本質は、移動を「手段」として捉えていることだと思っています。要は、「如何に移動を意識させない世の中を作るか」がサービスのキモ

小言メモ
だからこそ、「走ることを目的とした、車を楽しむという行為」自体は上記とは別物で、残り続ける概念だと思っています。

Whimは今の所その世界観に一番近いですよね。
定額制で、電車・バス・タクシー乗り放題(タクシーは距離制限あるけども)。結果、移動する際にお金も手段も気にする必要がなくなった

例えば我々にとっての移動のメンタルモデルは、概ね左図(google map)の様になっていると思います。

「タブで手段(車で行くか、電車・バスで行くか、歩いていくか、タクシーなど呼ぶか)を選択する」という行為に現れるように、「まずは移動手段を選択する、ということを行っています。
その中で我々は、手段の違いによる疲労/時間とお金のバランスを考えながら、最適なソリューションを検討するという思考プロセスをたどっているはずです(多分…)。

Whim(右図)だと、(ちょっとイメージ付きづらいかもですが)移動手段の選択もほぼなく、お金を意識することもなく圧倒的に思考が少ない。この効果については別ポストにまとめていますが、よりシームレスな乗車体験に繋がります。「目的地までの移動」を、手段を意識させずに実現できる感じがとても好きです。(実際Whim使ったことないのでUIからの推定ですが。。)

"意識されないこと"がもたらす体験の変化は下記など参考にしていただけると。

移動が意識されない世の中では、都市がオンラインに乗っかる?

章のタイトル、まだ飛んでますよね。理解してます笑。

移動することを「リアルな情報へアクセスすること」と捉えると、MaaSは完全に従来のオンラインのメタファーです。

オンライン:
物理的制約・心理ハードルを無視して、様々なデジタル情報へのアクセスを可能にした。

MaaS:
物理的制約・心理ハードルを(一部)無視して、様々なリアル情報へのアクセスを可能にする。

つまり、今我々がデジタル情報にアクセスする感覚と同様に、リアルの情報にもアクセスできるようになるということに近しい。

小言メモ
超行き過ぎたイメージで言うと、スマートフォンの中のアプリを立ち上げるように、現在地から目的地への移動が行われる、という世界観です。(あそこ行こ!→ ポチッ!的な…無理あるかな…)
※ WEB出始めの頃、よく「ユーザは5秒待てない」という話が有りました。移動もどんどんそうなっていくかもですね。

Whimの例からもわかるように、「移動」の入り口(≒思い立ってからの初期接点 / どうやって行こうかを調べる、乗り物を呼ぶなど)はこれまで同様にデジタル、目的達成の出口(実際に移動した後の買い物など)はリアル、それが境目なく溶け合っており、「オンライン」と「オフライン」の境目はもはやなくなっています。

OMOの概念とは少し違うかもですが、"オンライン"のアップデート(オンラインでアクセスできる情報が、デジタルだけでなくリアルにも増えていく、というイメージ)ですよね。

小言メモ
上記ゆえMOVとかの世界観は好きです。勝手なイメージですが、彼らの名称は「DeNAオートモーティブ」であり、タクシー配車はあくまで一歩目(に見える)。今はタクシーを呼ぶためのプラットフォームですが、本来移動ができれば手段はタクシーでなくても良いはず(無意識の領域)。「現在地から、目的地までの移動」の第一接点となることを狙いデジタル接点をタクシー配車から始めている、という風に捉えています。

だからこそ、MaaS合戦が超活発になっている気がする

上記「移動の入り口はデジタル」「移動の出口はリアル」という概念はビジネス的に2点、超重要な観点を含んでいると思っています。

1. 移動の入り口(≒初期接点)を「オンライン」が握る
2. 「出口」がオンラインとシームレスに接合されている

1. 移動の入り口を「オンライン」が握る

この主張はアフターデジタルとかと近いので軽く触れるだけにしますが、「移動」の始まりをオンラインが握った瞬間に、リアル接点(例: 車のベンダーなど)の立ち位置は非常に弱まります(これはWhimユーザのマイカー利用が半減したことからも立証されていますね)。結果、プラットフォーマーに選ばれるベンダーのみが生き残るという構造となる。覇権を握るのが「ものづくりの会社」ではなく「接点を握るデジタルの会社」になりうる非常に稀有な機会がデジタル時代。


2. 「出口」がオンラインとシームレスに接合されている

この概念が何かと言うと、今のMaaS戦争の勝者は、次世代の「GoogleやApple」(もう少し言うとAndoridやiOS)的な立ち位置(リアル情報に瞬時にアクセスできるプラットフォーマー)になっていく、ということだと思っています。下記をメタファーとして捉えてもらえると良いと思います。

iOS/Andorid  → MaaSプラットフォーム
アプリ →  不動産や商業施設

個々の不動産・商業施設が、MaaSプラットフォームに乗っからなければアクセスされない(or 乗っかっていればアクセスが増える)という構造になりうる

小言メモ
例えば買い物やイベントにも「移動」はつきもの。移動の概念がなくなった結果、今で言う"移動"の最中からそのイベントが始まっている、と捉えることもできますよね。結果、不動産・商業施設もMaaSプラットフォーム上に乗らなければ勝負できなくなってしまう世界が来うると思っています。

結果として、

・不動産の価値が変化する(駅徒歩●分、に価値ないし…)
・商業施設のあり方が変わる(1箇所にまとめる/一等地に居る以上にプラットフォームに乗っかることが大事)

など、インパクトの大きさたるや。

その中に「文化」が生まれる

「プラットフォームと文化」というのは密接に繋がりがあると思っています。(もう少し言うと、プラットフォームにおけるインセンティブ設計と文化、ですね。人事制度とかと同じです。)

「手段」と言っている移動も、移動を支えている人が居るからこそ。彼らにきちんと感謝が伝わるような構造を作っているAzitとかは個人的に大好きです。

ただ、「感謝」という意味合いを強めすぎると、それは「移動を意識させない」と異なるスキームになってしまうので少し矛盾が生まれそう。

個人的には「PCにおけるインテル」のような形で、「目的(地)」の体験をより向上させる下支えをする存在(MaaS自体は意識されない存在)として居てほしいなぁとなんとなく思っています。が、平安保険みたくなるのもありだなーとか。

このあたりはこのMaaS戦争の覇者次第な感じもあり。超他人事ですが楽しみですね。

雑談メモ

足元の法規制とか諸々大変な中でだいぶアホみたいな投稿ですみません。実際に実務に従事している人からみると殺意沸く記事なのではと気にしていますが許してください。

1. 主張の穴
実は「オンライン側で接点を持ったチームが勝つ」という主張は、プラットフォームが1~2個に絞られ、ベンダー側が複数ある、という前提のもと。プラットフォーム数>ベンダー数となった瞬間データの主導権をベンダー側が持つ可能性もあり、このあたりの形成は結構変わりうると思っています。
ただなんとなくですが、だからgoogleはpixelを作ったのかなと思っています。

2. MaaSについて
個人的な解釈ですが、MaaSは(Mobility as a "Service"とありますが)プラットフォームのイメージです。インターネットでhtmlにアクセスできるように、MaaSであらゆる場所にアクセスできるようになる。

3. Japantaxiも好き
個人的に「広告」の分野でのマネタイズは結構期待しています。「(個人の識別ができる前提で)人が乗れば乗るほど広告価値は高まる」と考えると、主要な収益源が広告になった時点で、タクシー代を安くして利用者を増やす、という構造になりうるからです。0円タクシーとかキャンペーンでいろいろ有りましたよね(流石にあれは厳しそうですが…)


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