就活をして初めて嬉しかったこと

僕は就活に隠しきれないモヤモヤをいだいていた。

就活の軸を作ること、志望動機を作ること、自己PRを作ること。

就活に必要なものは必ず"作る"という言葉が伴っているように感じる。もちろん言語化するという意味ではあっていると思う。

しかし、就活の軸を"発見する"、志望動機を"発見する"、自己PRを"発見する"とは言わない。自己分析は過去の自分を振り返ること、未来の自分を想像するものだと皆はいう。だからこそ、その人の中にあるものなのではないだろうか。それならば、"発見する"という言葉を使ってあげてもいいのではないかと僕は思う。納得した内定は自分たちの中にあるものであって、自分で作るもの、ましてや誰かに作ってもらうものではない。それでは、答えのない社会で生きる意味がなくなってしまう。社会に出ていない学生風情が何を言っているのだと、その道の人にご指摘を受けるかもしれない。でも、これが正直な感想なのだ。


今日、第一志望の会社の面接があった。事前に準備をし、何度も声に出して質問されるであろうことを読み返した。少しでも相手に良い印象を与えられるように、スーツもきたし、髪もセットした。自粛中絶対付けなかったコンタクトもつけた。それくらい真剣に準備をした。だが、結果は惨敗だった。思いっきり緊張した状態では、自分が覚えたことは論理的な言葉として形にならず口を塞いでも漏れてくる。なんとか落ち着かせようとしてもダメだった。面接官は僕の話に興味があるのか、ないのか分からない顔をしていて感情が読めない。それでも一生懸命自分が今まで考えてきたこと、話そうとしたことをグチャグチャになりながら話した。僕の話をひとしきり聞いた後、面接官がおもむろに口を開いた。

「君、一人でコツコツやるの得意でしょ?」

今まで、会社はチームワークだと教わった。会社は協調性のある人間かどうかを判断していると聞いた。だから、自分の中でそういった面がないか探した。実際そういった話を今回の面接でもする予定だった。"協調性のある自分"を演じて内定をもらう。それを意識していた中での言葉だった。頭の中で思考が回転する。

(実際、一人でやることの方が気楽で得意だ…)

(でも、正直に答えてどうなる?無い内定のままいるつもりか?)

(でも、これが本当の自分だ)

「…はい、一人でやることで結果が出ることは多かったです…」

はっきり伝わった言葉はこれだけだと思う。だが、満足だった。この後に「一人でコツコツできる人は営業に向いていると思うよ」と言っていただけたことも要因だが、自分のこれまで隠していた部分を見られた気がした。今まで面接官に君ってこういう人?という考え方を述べられたことがなかった。自分がどういうように見られているのかわからない状態で面接を受けるのは辛い。ただでさえかっこ悪い自分に嫌気がさしているのだ。そんな中でこの一言を言われたのは衝撃的だった。どれだけ自己PRを作っても、志望動機を作っても、「自分が一人でやることが得意です」なんて言わなかった。会社は協調性を見ている、他人の言葉を信用していた。

今回の面接官の言葉に僕はとても感謝している。面接を受けた会社に感謝したなんて本当に初めてだ。思ったことは会社の人に僕を見つけて欲しかったのかもしれないということ。話したいことはいっぱいある中で、面接の時間はとても短い。いつもあれを話しておけば、これを話しておけばと後悔する。今回の面接もそうだった。でも、面接官が抱いた感想を直接僕にぶつけてきてくれたことはこの上なく嬉しかった。僕が欲しかった言葉は「頑張ったんだね」でも「すごいね」でも、ましてや「自分にはとても出来ない」なんて表面上、誰にでも言えることではなくて、僕自身に向けた言葉だった。それを受け取れた今回の面接は今までの就活の中で最高に嬉しかったことだ。

最後に心残りといえば、面接官の方(私服であったことと緊張で分からなかったが、あとで調べたらどうやら社長だったらしい!自分の調べの足らなさが恥ずかしい…)が話してくれた今後の事業展開の話。落ち着いて考えてみると、とてもワクワクすることを話してくれていた。あの時、一言「ワクワクしますね!」といえなかったことが悔やまれる。これからも僕の就活は続くだろう(本当に今日の面接は酷かった笑)。でも、またこう言った面接をしてくれる企業があるかもしれないと思うと、無い内定で焦っていた僕にも楽しみができた。自分のことを発見してくれ、貢献したいと心のそこから思える企業を探して就活をこれからも続けていこうと思う。


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