読書note/本のこと
窪美澄さんの本を読み終わる。
『夜に星を放つ』
5つの物語が収録された短編集。
どの物語にも、星座が印象的に描かれる。
大切な人と別れたり、身近な人を亡くしたり、色んな種類の喪失を抱えた人々が登場する。
パンデミックが起きた後の今の時代を生きる人々。
窪美澄さんは少し前に読んだ本もすごく好きだったから、ひとつひとつ大切に読んだ。
《何があっても、どんなことが起こっても生きていかなくちゃ》
そういう台詞が色んな箇所にある。
寂しさにむしばまれながら、生きることを決意する人々。もっと強くなりたいと願う少年、喪失感に慣れていくことを悲しく思いながら、前を向こうとする家族。
その道のりを夜空のむこうで光る星が優しく照らす。
本当に、この数年間で人々が体験した喪失感や虚無感は数えきれないくらいあるんだろう。
そのひとつひとつを丁寧にすくって、全部解決しないままで、それでも生きていこうと思えるような、優しい物語だった。
行き先はまだ暗いけど、ほんのり星が照らしているような。
窪美澄さんは未読の本もたくさんあるから、
また他の長編も色々読んでみようと思う。
*
そして、今まさに読んでる途中で、
とっても面白い……と感動したのがこの本。
本屋さんで見かけたときから気になっていて、
読んでみたらとても良かった……
もしかしたら、今年読んだなかで一番面白いかもしれないと序章の段階で思った。
(小説以外の部門で)
ちょっと長いけど引用する。
なぜ人は物語を読むのか、
なんで世界に物語は必要なのか、
物語を読むっていったい何なのか、
そんな素朴な疑問から始まって、
物語のカギがひとつずつ明かされる。
古典作品や現代小説、最近のアニメ、映画やゲームなどなど……
たくさんの作品が例にあがって解説されるので、物語をどう読み解くかの参考にもなりそう。
物語を味わうって、
たくさんの視点を養うことなんだなと思う。
視点を持っていればいるほど、多義的に読むことができるし、味わい方も変わってくる。
書き手としても参考になるなぁと思った。
本を読むのが好きな人も、そんなに好きじゃない人も楽しめる一冊だと思う。
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