低空飛行で過ごす日々
気をつけていたつもりが風邪をひいてしまって、今日はほとんどずっと寝ていた。
体調が悪くなると、本当に動けなくなる。
そしてずっと寝ていたくなる。
それでも幸いなのは「寝ていたら苦痛がない」ということ。
怠さを持て余しながら横になれるのは、ある意味しあわせなことなんだろう。
体調をくずすたびに「普段のわたしは元気だな…」と思う。
早起きしてお弁当を作って、慌ただしく家を出て、仕事をして帰宅して、習い事等の送迎をして…
仕事の日は特にめまぐるしく動いている。
空いた時間に読書をして、休日で行ける日はヨガをして、日記を書いたりnote を書いたりしてる。
体調をくずすと、ボーッとしていたくなる。
読みたい本も手につかないし、書き物もできないし、家事なんてもっとできない。
できない自分を持て余しながら半日以上眠って、変な夢をときどき見て、夕方になってやっと起きだす。
(note を綴る気持ちになっただけ、まだマシかもしれない)
喉がずっと痛くて、きのうは仕事だけど早退させてもらった。
そういうとき、不甲斐ないなぁと思う。
早退させてもらえるのが有り難い一方で、何の問題もなく仕事ができるということは、なんてしあわせなことだろうとも思った。
普通に暮らせること、帰る家があること、健康な自分でいられること。
数日前から西加奈子さんの『くもをさがす』を読んでいて、もう少しで全部読みおわるところ。
これが本当に素晴らしいエッセイだった。
バンクーバーで乳がんを患ってからの日々が余すところなく語られている。
ときどき挟まれる小説や詩の引用が、才気走っていて素敵。こんなにカッコよくて痺れるエッセイは初めて読んだかもしれない。
バンクーバーのお国柄に日本の歪さも透けて見えるようだった。
(もちろん良いところも色々あるのだろうけど)
バンクーバーの「他者を尊重する姿勢」は、それだけ精神的な余白やスペースがあるということなのかもしれない。
仕事してるときリラックスしているのもいい。
(エッセイのなかで現地の人が関西弁なのがとても面白かった)
西加奈子さんによると「日本人には情があり、カナダ人には愛がある」らしい。
日々のなかの考察や視点も興味深くて、とてもそそられた。
等身大の自分を最高だと思えること。
それこそが西加奈子さんの強さなんだろう。
過酷な治療の連続を乗り越えて、今の自分をそのまま愛せること。
そんな人が魅力的に映らないはずがない。
弱い自分を受けいれて許容できることが、本当の強さに違いない。
風邪で重い身体を抱えながら、そんなふうに思ったりした。
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