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星空案内人講座のサポートなど、楽しい天文の普及活動みたいなことをやっています。 noteでは、毎月Zoomで開催している『Beyond星空案内人講座』での講義内容の記録を行っています。

最近の記事

オンラインメシエマラソン2023~春の陣

 2023年5月20日(土)が新月ということで、「オンライン・メシエマラソン(風 天体観望会)」を開催! その記録を兼ねて note します。  ランナーさんは青森県・福島県・千葉県・愛知県の4名の予定でした。当日の天気は、千葉県と福島県が快晴! 愛知県が22時半頃から晴れてきました。千葉県はε130、福島県は eVscope、愛知県は120mm(fl=600mm)反射望遠鏡。  記録した天体画像は、eVscopeは経緯台なので北の方向はまちまち、ε130は上が北、120mm

    • BEST NGC天体 追加と観望

      1.透明度確認の指標 Abell 33  うみへび座イオタ星のすぐ南にある、かわいい円形の星雲。冬場によく見えた印象だったのでリストに加えたのが、春になったら あまりよく見えない印象。確かに湿気の多い夜や、日中に強風で土埃が上空に舞っているなど透明度が悪いとほとんど見えないことは確認した。だけど、やはり見えにくいのだろうか?  いつもの15秒露出と、30秒露出で比べてみた。やはり30秒だとハッキリよく見える。これは「BEST NGC天体リスト」には残しておこう。 2.大き

      • BEST NGC天体を探す

         電視観望システムを使って一人メシエマラソンをやってみたところ、天体を次々と導入して観望できたことで、同じ観望システムで見て楽しめるNGC天体などを、ネットや資料から集めて「Beyond メシエ天体リスト」=「BEST NGC天体リスト」をを作ってみました。しかしそれらの天体が、本当に見てみて楽しめるかは、実際に見てみないと分りません。それらを行って、以下の記事に天体の画像付きで紹介しました。  1.BEST NGC天体(春の天体-1)  2.BEST NGC天体(春の天体-

        • 変光星のはなし

          1.恒星は、天球に貼り付いた光ではない(新星)  東洋・西洋ともに、数千年前から、夜空に輝く星は「天球に貼り付いた光点」と考えられていました。それは、紀元2世紀に古代ギリシャの天文学者プトレマイオスが観測したように、星がそれぞれ東から昇って西へ移動していくものの、互いの位置関係が変わらない、つまり ”星座” の形が変わらずに日周運動しているからでした。  古代中国では ”天球” は ”天界” で、天帝の御座す場所で、天上人たちの住まわれる場所。地上世界は天上世界を模して作ら

        オンラインメシエマラソン2023~春の陣

          二重星や連星のはなし(その1)

          1.「二重星(Double Star)」と「連星(Binary Star)」  星空を望遠鏡で眺めると、多くの接近した星が見られます。2星が接近しているものを「二重星(Double Star)」と呼び、あまり使われないけど3星では「三重星(Triple Star、Triplet Star)」、4星では「四重星(Quintuple Star)」、複数の星の接近を「多重星(Multiple Star)」と呼びます。  二重星は、ウィリアム・ハーシェルが地球が太陽の周りを周回して

          二重星や連星のはなし(その1)

          二重星や連星のはなし(その2)

          5.連星の発見から分ったこと  恒星の固有運動を調べていたドイツの天文学者ベッセルは1844年、シリウスの運動に揺らぎを確認し、未発見の伴星によるものだと考えました。しかしシリウスは明るすぎて、伴星はなかなか見つかりませんでした。  1864年、アメリカの望遠鏡製作者クラークが、当時アメリカ最大の口径18.5インチ(47cm)屈折望遠鏡の性能をテストするためシリウスに向けたところ、シリウスから10" 離れたところに8等ほどの光点を見つけました。クラークはこれをゴーストと考え

          二重星や連星のはなし(その2)

          宇宙はどうして美しいのか?(その2)

          5.美しいといえば「黄金比」  絵画や彫刻などで ”美しい” と言われるものに「黄金比」がある。その比率は1:1.618…。古代ギリシャ時代から ”美しい” 作品にこの比率があることに気づいて研究したペイディアス(Φειδίας)の頭文字から、20世紀では「黄金比」を φ で表わしている。「黄金比(Golden Ratio)」という語が使われたのは1830年頃とされる。  五角形は不思議な図形。内部に「黄金比」が見いだされる。一筆書きで描ける「五芒星」は呪詛にも使われる

          宇宙はどうして美しいのか?(その2)

          BEST NGC天体(春の天体-5)

          使用機材は以下で同じなんですが、撮影日によってフラット補正してなかったり、空の透明度が悪いなど、画質が不均一です。スミマセン。  ・Vixen R200ss(D=200mm、fl=800mm、コマコレクター)  ・ASI183MC+UV/IR Cut filter  ・ASI Studio(ASI DeepStack)、Gain=高(270)、Binning=3、15秒 31.うみへび座 Abell-33(ダイヤモンドリング星雲)  うみへび座 ι 星の南 1° 40’

          BEST NGC天体(春の天体-5)

          宇宙はどうして美しいのか?(その1)

          1.宇宙は美しい  書店や図書館には、まさにあふれるほどの、天体写真集が並んでいる。そこに掲載された写真は、カラー作品もモノクロ作品も、本当に美しい。  私自身、中学生の時に天文雑誌と出会い、「なんて美しい世界があったんだ」と思って、学校の図書室や町の図書館にある天体写真集を眺め、そこからやがて星・宇宙の世界に入っていった1人である。  やがて自身で星座写真や天体写真を撮るようになったのも、自然な流れ。フィルム時代もそれなりに楽しんだが、デジタルカメラ時代になっても、その

          宇宙はどうして美しいのか?(その1)

          BEST NGC天体(夏の天体-3)

          14.さそり座 NGC 6281  さそり座にはメシエカタログに無い散開星団がいくつもあるが、この画角でおもしろく見える星団は少ない。  NGC6281 はさそり座で最も明るい星団で、そのためメシエカタログにも Caldwell カタログにも掲載されていない。  さそり座μの東2° に位置している。スコットランドの天文学者でオーストラリアで活躍した James Dunlop はこの星団を「かなり明るい星が、奇妙な曲線を描いて並んでおり、多くの星が混在している」と表現している

          BEST NGC天体(夏の天体-3)

          BEST NGC天体(夏の天体-2)

          9.へびつかい座 NGC 6633(キャプテンフック星団)  夏の天の川近くにあるへびつかい座やへび座(尾)には散開星団があるが、私の電視観望の写野で見ておもしろい天体は少ない。へびつかいの右肩にある明るい IC4665 などは広がりすぎて、見てもおもしろくない。そんな中で東の端にある NGC 6633 は、程ほどの大きさと明るさで楽しめる。  アンデルセンの童話『ピーターパン』のフック船長のかぎ爪のように見えることから「キャプテンフック星団」や、「Wasp-Waist(三

          BEST NGC天体(夏の天体-2)

          BEST NGC天体(夏の天体-1)

           CMOSカメラを使った電視観望でメシエ天体並みに楽しめる NGC天体です。星図は Guide を使用。 使用機材  ・Vixen R200ss(D=200mm、fl=800mm、コマコレクター)  ・ASI183MC+UV/IR Cut filter  ・ASI Studio(ASI DeepStack)、Gain=高(270)、Binning=3、15秒 1.はくちょう座 NGC 6819(Collinder 403)  こと座ベガとはくちょうγの中間に位置する散開星

          BEST NGC天体(夏の天体-1)

          BEST NGC天体(春の天体-4)

          23.おとめ座 NGC 4216(Silver Streak Galaxy)  11.0等、4000万光年にある銀河。  金属が豊富な中間渦巻き銀河で、おとめ座銀河団の中心付近にある。おとめ座銀河団で最も大きく最も明るい渦巻き銀河の1つで、絶対等級は-22等と推測される(アンドロメダ銀河の絶対等級は-21.4等)。  この銀河のハローには、銀河系の5倍近い約700個の球状星団があり、またこの銀河に破壊され、吸収された2つの伴銀河と解釈される2つの恒星ストリームがある。  愛

          BEST NGC天体(春の天体-4)

          BEST NGC天体(春の天体-3)

          17.かみのけ座 NGC 4274  10.4等の棒渦巻き銀河。距離は4500万光年。  かみのけ座銀河団の一つで、かみのけ座γ星近く、おおぐま座、しし座、りょうけん座との境界に近い位置にある。周囲には明るい銀河が揃っていて、下画像では、西(右)に NGC 4245、南(下)に NGC 4278。4278 のすぐ左上に NGC 4283、その左上に NGC 4286が見える。  銀河は、外側の腕が重なり合っていてリング構造になっているのが特徴。中心核の周囲と、より外側にもリ

          BEST NGC天体(春の天体-3)

          BEST NGC天体(春の天体-2)

          10.しし座 NGC 2903  しし座の鼻先にある、9.7等の棒渦巻き銀河。  銀河中心の北側に明るい部分があるため、発見者のウィリアム・ハーシェルや、その後の観測者も二重星雲と勘違いし、ドレイヤーは『New General Catalogue』に NGC 2905 として掲載した。  この銀河は、銀河系から3000万光年の距離にあり、おとめ座超銀河団には属しているが、銀河群や銀河団には属していない、重力的に独立した「散在銀河(Field galaxy)」である。 11

          BEST NGC天体(春の天体-2)

          BEST NGC天体(春の天体-1)

          0.電視観望で見ておもしろいNGC天体  電視観望スタイルでメシエマラソンをやってみたところ、サブスコープを使った手動導入ながらも天体がスイスイと導入できた。なかなかペースが良く、コレだとメシエ天体だけでなく、NGC天体もイケるゾと思い、いろんな「BEST NGC天体」情報を集めて、私の電視観望環境でおもしろく見られる天体をリストアップしてみました。  リストは星図ソフト Guide で表示できる形式にしているのですが、ここでは分りやすく、星座のエリア別に並べて紹介します。

          BEST NGC天体(春の天体-1)