見出し画像

BEST NGC天体(春の天体-4)

星図4(おとめ座北西部)

23.おとめ座 NGC 4216(Silver Streak Galaxy)

 11.0等、4000万光年にある銀河。
 金属が豊富な中間渦巻き銀河で、おとめ座銀河団の中心付近にある。おとめ座銀河団で最も大きく最も明るい渦巻き銀河の1つで、絶対等級は-22等と推測される(アンドロメダ銀河の絶対等級は-21.4等)。
 この銀河のハローには、銀河系の5倍近い約700個の球状星団があり、またこの銀河に破壊され、吸収された2つの伴銀河と解釈される2つの恒星ストリームがある。
 愛称の「Silver Streak」は「銀の筋、線条」という意味。
 右下の銀河は NGC 4206、左上は NGC 4222。

NGC4216

24.おとめ座 NGC 4388

 おとめ座銀河団で、多くの銀河が連なって見える『マルカリアン・チェーン』の目玉銀河であるM84・M86の南(下)にある銀河。
 11等の渦巻き銀河で、中心部から強い電磁波を放射する活動銀河(セイファート銀河で、「セイファート2型」に分類されている。(スペクトルにHⅠ、HeⅠ、HeⅡのような許容線とOⅢのような禁制線が普通の銀河より広く見られるのが1型、その両方が細い線にしか見えないのが2型)
 NGC4388 は、渦巻き構造の外周部分がぼんやりしていて、明確な構造を持たない楕円銀河のようでもある。これは、おとめ座銀河団に属する他の銀河との重力相互作用によるものと考えられている。

NGC4388(中央下)、右上はM84、その左はM86

25.おとめ座 NGC 4438

 おとめ座銀河団のマルカリアン・チェーンに含まれる、12等の銀河。すぐ北の NGC4435 と併せて「Eyes Galaxies(両目銀河)」の愛称がある。
 この2つの銀河は、1億年前に接近して大きく変形し、4435のガスや塵を4438がはぎ取ったと考えられている。M86銀河ともイオン化したガスのフィラメントで結合されていることから、過去に衝突したとも考えられる。このガスの分布を表わした画像がAPODにある。(APOD 2018年8月14日

NGC4438(左端)、中央はM86、右はM84

26.おとめ座 NGC 4567/68(蝶々銀河)

  7000万光年彼方にある、12.6等の、衝突銀河。上は NGC4567、下は NGC4568。「The Butterfly Galaxy(蝶々銀河)」の愛称がある。両銀河の中心の距離は2万光年ほど(銀河系中心から太陽系までの距離ぐらい)で、どちらも渦巻き銀河としての形態をまだ保っていることから、衝突が始まって間もないものと考えられる。
 この銀河には「The Siamese Twins Galaxy(シャム双生児銀河)」の愛称もあるが、NASAは 言葉の多様性、公平性、包括性への取り組みの一環として、ふたご座の「エスキモー星雲(NGC2392)」と併せて、使用しないことにした(2020年8月)。

NGC4567(上側)とNGC4568(下側)、上にはNGC4564

27.おとめ座NGC 4526

 10.7等のレンズ状銀河。5500万光年の距離。
 拡大像で見える、中心を横切る弱い棒構造と、リングの無い純粋な渦巻き腕から成るレンズ状構造になっている。おとめ座銀河団に属し、最も明るいレンズ状銀河の1つ。
 この銀河の内側の核では、恒星の軌道運動が上昇していて、太陽質量の4.5億倍の超大質量ブラックホールがあると考えられる。天文干渉計(この場合はミリ波干渉計)で中心のガス分子の回転を測定することでブラックホールの質量を推定した最初の天体である。

NGC4526

28.おとめ座 NGC 4535

 10.7等の棒渦巻き銀河。5400万光年の距離。
 M49の東に NGC4535 と共にあって、電視観望では明るく見えるが肉眼ではよく見えないためか、1950年代のアメリカのアマチュア天文家 Leland S. Copeland は共に「Lost Galaxy(失われし銀河)」と名づけた。NGC4535は特に「コープランドの失われし銀河」と呼ばれる。
 銀河を真上から見える位置にあるため、中央のバルジの棒状構造から、カーブしながら伸びて見える渦巻きの腕が見事なS字状になっている。

NGC4535

29.おとめ座 NGC 4762(Paper-Kite 銀河)

 おとめ座ε星とM60の中間に位置する、11等のエッジオンのレンズ状銀河。距離は6000万光年。すぐ右に NGC4754 も見える。こちらは5300万光年の距離で、同じ方向に見えるだけ。
 この銀河は、実は棒渦巻き銀河で、中央のバルジ、棒、厚いディスク、外輪の4つの主要な構成要素から成っていると考えられている。銀河の円盤は非対称に歪んでいるが、これは過去に小さな銀河と合体したことによると考えられる。

NGC4762

30.うしかい座 NGC 5248(Caldwell 45)

  星座の区分ではうしかい座になるが、おとめ座超銀河団の東に延びる、おとめ座Ⅲ銀河団を構成する NGC5248銀河団に属している。11.0等。距離は4140万光年から7400万光年と開きがある。
 核の周りにリング構造のあることが特徴で、リングにはスターバースト活動のホットスポットがあるのが特徴。

NGC5248

(春-5 へ)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?