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BEST NGC天体(夏の天体-2)

星図7(へびつかい座~わし座)

9.へびつかい座 NGC 6633(キャプテンフック星団)

 夏の天の川近くにあるへびつかい座やへび座(尾)には散開星団があるが、私の電視観望の写野で見ておもしろい天体は少ない。へびつかいの右肩にある明るい IC4665 などは広がりすぎて、見てもおもしろくない。そんな中で東の端にある NGC 6633 は、程ほどの大きさと明るさで楽しめる。
 アンデルセンの童話『ピーターパン』のフック船長のかぎ爪のように見えることから「キャプテンフック星団」や、「Wasp-Waist(三角帽子)星団」の愛称がある。
 3° 南東にある IC4756 とあわせて、『マザーグースの歌』や『鏡の国のアリス』に出てくるケンカをする二人「tweedledum and tweedledee」から「トゥィードルダム星団」とも呼ばれる。この「tweedledum and tweedledee」は「うり二つ」という意味で使われる。

NGC6633

10.へび座(尾) IC 4756(グラフの星団)

 星座の境界からへび座(尾)に位置する散開星団。3° 北西の NGC6633 とあわせて「トゥィードルディー星団」の愛称がある。
 1922年のポーランド・ドイツの天文学者 Kasimir Romauld Graff が独自発見したことから「グラフの星団」とも呼ばれる。
 NGC6633 ほど明るく無いため さほど面白味は無いが、NGC6633 とセット、ということで。もっとも、双眼鏡で見られる散開星団の中で IC 番号のものは珍しいという。

IC4756

11.わし座 NGC 6709

 へびつかい座との境界に近い、わし座にある散開星団。305個の恒星を含む、中程度の豊かさ(トランプラー分類が IV 2 m)。
 「Flying Unicorn Cluster(空飛ぶ一角獣星団)」の名があるが、肉眼で見るとその様に見えるのだろうか。

NGC6709

12.わし座 NGC 6781

 わし座に数ある惑星状星雲の内で最も明るい。「スノーグローブ星雲」(日本での商品名は「スノードーム」)、「月の亡霊星雲」、「鷲の巣 星雲」の愛称がある。電視観望では、とても良く見える。
 この惑星状星雲は、樽形のものを極の方向から見ているもの。赤いリングの内側が青緑色で埋められているのがよく見える。
 中心性は17.9等の白色矮星。初期質量は太陽の2.5倍と推定され、9400万年前に主系列から離れて、低温で明るい星(赤色巨星)になった(漸近巨星分岐、AGB)と考えられる。

NGC6781

13.たて座 NGC 6712

 球状星団は銀河系を取り巻くように分布しているが、地球から見ると天の川の中心方向に球状星団が多く見られる。

球状星団の分布

 数ある球状星団の中で、たて座 NGC6712 は8.7等と明るいためよく見える。距離も2万6400光年と近く、銀河系の中心核までの距離とほぼ同じで、銀河円盤に近い。
 近い距離にある球状星団であることから様々な観測や研究が行われている。金属量が多いことから年齢が105億歳と推定されることや、中心に「黒い未亡人」と呼ばれるパルサーのあることなどが分っている。
(縮退した星を伴星に持つパルサーを「spider pulsar」という。この内、伴星の質量が極端に小さい(0.1太陽質量以下)ものは「black widows」に分類され、また2つ目の星が重い場合は「redbacks」と呼ばれる。)

NGC6712、左下に惑星状星雲 IC1295

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