映画『ビル・カニンガム&ニューヨーク』
2010年/製作国:アメリカ/上映時間:84分
原題 Bill Cunningham, New York
予告編
レビュー
NYを拠点に半世紀以上ほぼ毎日、あらゆる人々のファッション写真を撮り続けた男、ビル・カニンガム。
仕事において一切妥協せずに済むよう報酬は最低限しか受け取らず、雇い主からの干渉を退け、恋の時間すら惜しみ、生涯ひとり身を通して自分のスタイルを貫き通します(欲望をコントロールし「美をストイックに追求」してゆくスタイル)。
※しかし本人は「好きなことをしているだけで仕事ではない」「写真家ではない」と話します
彼が数十年を過ごした部屋にある物は、
①キャビネットに整理された膨大なネガ(ほぼこれで部屋が埋まっています)
②粗末なベッド
③写真集等の書籍
④洋服数着
⑤椅子(もしかすると椅子ではないのかも…(笑))
⑥電話(据え置きタイプ。たぶんスマホやパソコンは無い)
⑦その他(正体不明な小ぶりの電子機器、絵画一枚、小物少々)
くらいです。
ちなみに部屋に、トイレ、シャワー、キッチンは無し(掃除する手間がかかるから必要ないと言い放ちます。そしてのちに強制的に移転させられた部屋からは即、キッチンを撤去)。
とても素敵なのは、絶対に誰かの着こなしを笑いものにしないという姿勢(「批評」や「批判」はしても、「非難」や「嘲笑」はしない)。
また、自分が本当に良いと思った着こなし以外は、たとえ何十年来の知り合いのものであっても絶対に撮りません。
その他は是非、作品を御覧になり確認していただきたいのですけれども、仕事においての(「人生においての」と言っても良いかもしれません)線引きが、完ぺきに構築&継続されており、彼の行動自体が一つの作品となっていて面白いです。
編集も上手く、至言も多いため学びにもなり、且つ誰にでも楽しめる上質なドキュメンタリー作品。
その他
●セル版ソフトに付属しているブックレットの出来は素晴らしく(個人的には「完璧」)、作品への愛を感じます。
特典映像も少しあり、商品としても、作品としても大満足です。
●エンドロールの、
・The Velvet Underground & Nico 『I'll Be Your Mirror』
も、作品とピッタリ馴染んでいてよかった。
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