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5冊目「貴公子探偵はチョイ足しグルメをご所望です」

届いたレターパック開けてから、思わず「なんじゃこりゃぁ~間違いかぁ?」なんて思ったら2021年11月のポプラブッククラブのおまけに本が1冊!なんとまぁ太っ腹な。いやまぁたしかに普段の私ならこのパッケージはあえて自ら手に取る勇気はないかも・・・と思いながらも「せっかくだしな・・・」とか読んでみました。考えさせられる話題の「君の名前の横顔」を読んだ後だったので、ちょっと落差はありますが、よければお楽しみください。

本の情報紹介

貴公子探偵はチョイ足しグルメをご所望です
あらすじはホームページなどをご覧ください。
ポプラ文庫ピュアフル ISBN:978-4-591-17179-0
著者:相沢泉見 発行所:株式会社ポプラ社
イラスト:雨宮うり カバーデザイン:関根彩

イラスト全体ときらきら帯を写したくて撮ったら…ハートに見えないこともないかも

“チョイ足しレシピで謎解き”エピソード4話が一冊になっています。パッケージの印象そのまま少女漫画みたいに読んでしまう楽しさがあります。いやもうこれは少女コミック化でしょう(^-^;

少女漫画+ライトノベルの魅力

冒頭の楽しさですが、イケメンお金持ちだけど色々ワケアリ風で世間知らずな主人公に、超貧乏ながら笑顔が素敵な美少女家政婦、できるシブいオジサマ執事とまぁ設定はグイグイと少女漫画雰囲気で押してきます。リヒトと一花の二人の身分違いの恋を期待したり、イラストがないけど執事の林蔵がまた謎に有能だなとか、ちょっとツッコミを入れたくなるようなところだったりとかも。私は同じ少女漫画の「山田太郎ものがたり」や「花より男子」といった作品を思い出してしまいました。この設定や展開を見ていると、最近流行りのラノベにあるようなファンタジー世界でありそうな貴族感をリヒトが出しており、日常的な知識が役に立つというのも転生ラノベである設定です。ラノベや少女漫画が好きな方には、楽しく読めるピッタリの小説ではないでしょうか。

メディアミックス・オーバージャンル

そんな少女漫画雰囲気のある本作はメディアミックスやオーバージャンルの可能性を秘めた作品だと思います。漫画化・アニメ化・ドラマ化・ゲーム化といった映像化につながりやすいというのもそうですが、チョイ足しレシピはクックパッドなどレシピアプリや時短お料理ネタとしても日常に彩りを与えるものです。でも実はこの本の魅力はそれだけじゃないんです。

チョイ足しレシピ

リヒトが徐々に食事に興味を持ち始めるきっかけとなるチョイ足しレシピ。決して高価なものでも手間をかけたりするものではないけれど、そこには楽しんでもらいたいとかおいしく食べて欲しいという想いが入った料理ではないかと思います。リヒトが求める謎のレシピは、私はすじ肉を時間をかけてじっくり煮込んで作ったポトフやおでんだったりするんじゃないかと勝手に予想したりしています。特別なときにしか作らない料理って別に高価ということじゃなくて、手間と愛情が必要な料理じゃないかと思うのです。そしてそんな料理に勝る高級料理はないと思うのです。そんなチョイ足し感動も期待してしまう作品ですね。ということでここで恒例となった、詩的紹介を書いておきます。

チョイ足し工夫で
謎解く料理は
楽しさとときめきを
手間と愛情かけて
謎解く料理は
忘れられない思い出に

謎を取り巻く人々の物語

また、ネタバレになるので詳細は省きますが、<謎解き>というとミステリージャンルを想像しますが、本作品は4つのエピソードの「謎」を生み出している<人々が織りなす物語>というのが私の印象です。一品目は導入部・展開部で探偵ストーリーらしいイメージですが、二品目からは特に<謎を取り巻く人々の想い>みたいなものが強く描かれていて、謎には途中で気づくものの、登場人物の想いや家族のあり方などが優しくきれいに表現されていてちょっと感動してしまい、温かい気持ちになるようなストーリーでした。一番の謎は人の心なのかもしれませんね。そしてそんな根底にある人間ドラマも難しくなくすっと心に入ってくるようで、そのライトさが今の世の中には合っているのではないかとも思います。

最後に

そんなこんなで長々と書いてしまいましたが、「キュンとして、楽しくて、ちょっとウルっときて、優しい気持ちになれる。そんな謎解きレシピはいかがですか」とおススメしたい本でした。私も続きも読んでみたいなと思い、続編に期待しますが…ネットで本を買いたくない私は本屋さんで勇気を出せるでしょうか(苦笑)


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