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[ヨーロッパから報告]ロックダウンは避けられない!?コロナ第2波襲来、これからアメリカや日本でどんなことが起きるのか。

コロナウイルスの猛威が再び始まりました。先行しているヨーロッパでは既に多くの国がロックダウンに入っておりますが、少しずつ春との違いもわかってきています。
貴方の周りに「コロナなんてたいしたことないでしょう?死亡率も低いし、経済止めるなんてあり得ない」と言っている人はいないでしょうか。または「ワクチンが出来たから大丈夫、もうすぐ外に繰り出すぞ~」と言っている人はいませんか。間違いです。少なくともこれから「冬がある国」は。
私自身、もう二度とロックダウンなどする国は出てこないと高をくくってきましたが、その予想は見事に覆されました。その経緯をレポートしようと思います。

突然訪れた「異変」
まだ夏真っ盛りの8月、ヨーロッパはEU圏内を旅行する観光客でにぎわっていました。こちらは9月から新しい年が始まるため、8月は旅行シーズンなのです。晴天も多く正直暑かったです。しかし8月後半ごろから「来月から他国との移動禁止」という国が出始めました。旅行による往来が理由なのか各国の感染者が増え始めたことが原因です。特にフランスなどで増加傾向が顕著でした。しかしその段階では「ちょっと神経質だね、ヨーロッパは」という感じで、念のための措置という雰囲気だったと思います。
9月に入り異変が起こります。今までほとんど感染者を記録していなかった"優等生"のチェコで、一気に感染者が増えたのです。8月までほとんど200人台で推移していた1日当たりの新規感染者数が、9月12日には1500人、17日には3000人を突破、10月9日には8000人を超えたのです。そして10月21日には15000人に膨らみました。チェコの人口は1060万人ほどなのでパニックになりました。ほどなく同じようなことがどの国にも起こり、9月から感染者が目に見えて増え始め、10月後半からは感染者数が激増していきました。イギリス、フランス、イタリアなど第1波でダメージを喰らった各国も、再び1日あたり2万、3万という人数が新規感染者となり、たまらずロックダウンに踏み切りました。どの国も10月後半には、8月と比べて20倍ほどの1日当たりの新規感染者数になっています。

ヨーロッパ全体での1日当たり感染者数推移 3月1日~11月15日 (出典:ECDC)

ヨーロッパ感染者

感染者増の理由
よく日本ではヨーロッパの人間は手を洗わないとか、マスクをしないのが原因とか言われていますが、1ヶ月で習慣が変わった訳ではありません。8月に200人/日だったところが1ヶ月半で15000人/日になる理由になりません(そのような偏見は日本で感染した人への風評被害にもなるので良くありません)。ヨーロッパで加速したのは明らかに気温の低下によるものと思われます。もちろんこちらの人はマスクに慣れてませんが、半年以上経ちさすがにマスクをして注意している人が多い中、春を上回るペースで感染者が増えるのは解せません。体感として、10月2週目くらいから最高気温が10-15度くらいの日が増え、そこから感染者数が1週間で倍、その翌週はさらに倍というペースになりました。
もう1つの原因は検査体制です。以前より検査体制が整ったことにより、ヨーロッパ(に限らず多くの国)ではドンドン検査が義務付けられます。例えば学校の先生や病院のスタッフなど、コロナ陰性でないとまずい人たちは頻繁にテストさせられます。彼らが感染するとスプレッダーになり多くの人が危険にさらされるからです。日本や東南アジアの国では、私が知る限り「症状があったら検査」というスタイルです。無症状の人は検査せずかかっていないこととされます。そのあたり考え方に違いがあります。科学的な裏付けはまだわかりませんが、アジア人の方が重症化率が低いので発見される感染者数が少ない可能性があります。
しかしいずれにしても検査した人の20%~が陽性になる状態なので、検査はすればするほど増えていくのは間違いありません。誰を検査するかの問題です。なおオーストリアでは全住民の検査に踏み切るとの話もあります。

地域別・10万人当たりの陽性者数比率。過去13日間。※チェコや東フランスなどで高いことが確認できます。

ヨーロッパ感染率

ヨーロッパで起きていることから何を予想できるか
つまり北半球はこれから冬に入るので、気温が下がっていく国はコロナの感染の嵐に巻き込まれます。ただし私は医学や感染症の専門家ではないので、それを前提で書きますが、今回のコロナ感染スピードはとても速いです。春に大丈夫だった地域もどんどん感染が広がっています。変異なのかそれとも検査で拾うケースが増えたからなのか、それはわかりません。アメリカや日本にある菌がヨーロッパと違うという可能性もありますし、人種による感染率の違いもあり得ますが、ほぼ確実にコロナ感染者の激増がこれからやってます。
アメリカでは既にシカゴなど一部ロックダウンが始まっているようです。ただ主要都市はまだ気温が高く人ごとのところもあるかもしれません。私もヨーロッパで初めは気にしていませんでしたが(私のいる地域は春には感染者が少なかった)、さすがに毎週倍々で感染者が増えていくと焦ってきます。レストランに行っても電車に乗っても、コロナ菌がそこら中に見えるような気すらしてきます。特に異国の地でコロナに感染し重症化すると生命にかかわりますので、ちょっと風邪気味、のどが痛い、というだけでヒヤヒヤします。無症状が多いと聞いていますが、それでも本当にかかるかもしれないと迫ってくると緊張してくるものです。
悪いことに、アメリカも日本も、一時の緊張は無いので飲食店や会合などで会話する人が増えているでしょう。コロナについては接触感染、空気感染はあまり聞きませんが、飛沫はかなりの感染力を持っているように感じます。会話を止めない限り感染を抑えることは難しいと思います。

ロックダウンの現状
現在ヨーロッパでおこなわれている主流は基本「緩やかロックダウン」です(でした)。これは、飲食店・バーなど夜間閉店学校登校規制,飲食店テイクアウトのみ,集会禁止⇒店営業禁止,不要不急の外出禁止、といった具合に厳しくなっていく段階を踏みます。初めは国民感情に配慮し部分的なロックダウンからスタートする訳です。しかしどの国も結局感染が収まらず、厳しくなっていっているのがヨーロッパの11月16日現在の状況です。
アメリカも似たような状況になるでしょう。日本も可能性があります。私の周囲は現在人口の1%以上が「コロナ感染療養中」の状況です(これは東京都の人口比に直すと14万人程度が感染中に匹敵)。毎日新しく増えていくので、実際はその何倍も隠れ感染者がいるでしょう。店や電車の中にも1人はいるなと思いながら暮らすことになります。これはさすがに危ないのでロックダウン反対派だった私は受け入れ派に寝返ることとなりました。とりあえず外に出て人と話さなければ感染する確率はありません。今は外出自体はできるのでこれ以上対策が厳しくならないことを祈るのみです。

コロナワクチンはロックダウンに間に合うか?
人類はまだコロナ禍での冬を経験していません。アメリカでは希望としてコロナワクチンの登場が宣伝されています。しかし間に合うか間に合わないかで言えば、この冬には間に合いません。ロックダウン無しにしのげるかと考えると、人口が多い地域はまず難しいでしょう。
とにかく感染力が強いので「パンデミック再び」の状況になります。私もレストランや店舗経営者は厳しいな、と思いながら街を見ています。せっかく営業再開したのにまたロックダウン。デリバリー会社は大儲けですけれど。
ロックダウンが始まると市民のデモ、暴徒化に繋がります。ヨーロッパではテロも起こるようになりました。治安を守るためにCurfew、いわゆる夜間外出禁止令が出ます。それでも感染は収まらないので昼も外出しないように呼び掛けるようになるという、あのスパイラルが始まります。隠れてパーティーしたり警官との小競り合いが増えます。株式市場は沸いていますが、少なくとも安心して買い物に行ける日は春まで来ない可能性があります。アメリカでもフロリダなど南部は暖かいので大丈夫かもしれませんが、寒い地域は難しいでしょう。
逆にフランス・イギリスなどではロックダウン効果で新規感染者が減少に転じたという報道もあります。再び世界がロックダウンに手を付ける環境は整いつつあります。
アジアは全体的に春も被害が少なかったので、今回も同様であるかもしれません。ただし感染力の増加により感染者数が激増することは避けられません。重症化率が低くなると言っても母数がかなり増えますので、医療崩壊はあり得るでしょう。コロナが変異したという話もあります。

しかしいずれにしてもまだ11月ですから、先は長いです。株式市場の過度な楽観論も修正されると見ています。この冬はコロナの猛威と、各社のワクチン成功ニュースのラリーが続くと考えて間違いなさそうです。

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