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2021年12月の記事一覧

抗うつ薬の継続率

抗うつ薬の継続率

抗うつ薬を続ける期間うつ病の人は抗うつ薬はどのくらい続ける必要があるか?
一般的に抗うつ薬を開始し良くなるまでに数か月、時に半年から1年かかる。
良くなってから 3-6ヶ月(可能ならできるだけ長く)続けた後、ゆっくりと減らして行くのが望ましいと言われている。

つまり最短で4ヶ月、最長で一生続けることになる。

実際の継続率実際はどのくらい続けているのか調べたデータがある。

続けていない人が非常

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抗うつ薬はどの薬を選ぶのが良いか 私の治療アルゴリズム

抗うつ薬はどの薬を選ぶのが良いか 私の治療アルゴリズム

【疑問】抗うつ薬はどうやって選ばれるのでしょうか

【回答】エビデンス上はどの抗うつ薬を選んでも効果の面での差はほとんどありません。医師の経験から使い分けられることが多いものの、本当にそれが正しいのかは誰にもわかりません。

どの抗うつ薬を使うかうつ病の人に対してどの薬を使うかというのは、簡単でもあり難しい問題である。

うつ病の治療ガイドラインでは、第一選択薬としていろいろな抗うつ薬が挙げられて

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リスク説明をするということ

リスク説明をするということ

最近は医療行為においてさまざまなリスク説明をしないといけないとされている。

例えば 内視鏡(胃カメラ)の場合、出血、穿孔(胃や腸に穴が開く)、ショックなどが、胃部内視鏡では発生頻度0.0069%、死亡率0.0001%、大腸内視鏡では 発生頻度0.011%、死亡率0.0004%である(日本消化器内視鏡学会 第 6 回全国調査 2008~2012 年)。

理解はするものの同時に強い違和感を覚える。

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妊娠したいという人

妊娠したいという人

ときどき「この薬飲んでいて妊娠できますか?」と聞いてくる人がいる。

ほとんどの向精神病薬は妊娠中に服用していることで奇形が生まれる確率がごくわずかに高くなる。

一部変わらないという報告が多い薬と確実に高まるであろうという薬がある。

特にリチウム(リーマス)、カルバマゼピン(テグレトール)、バルプロ酸(デパケン)は奇形が生まれる確率が確実に高まる。

奇形のリスク
教科書的には服用することのメ

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双極性障害の治療目標は気分の波と付き合いが出来るようになること

双極性障害の治療目標は気分の波と付き合いが出来るようになること

双極性障害(躁うつ病)の治療において薬物治療は重要である。
しかし心理療法や精神療法も同様に重要である。
双極性障害の治療ガイドラインでも、「エビデンスに乏しいとしても心理社会的療法は薬物療法と並んで重要な治療である」(p5)と明記されている

心理社会的療法はどうしてもエビデンスが低くなってしまう。
エビデンスはプラセボ(ニセの治療法)との比較を重視するものの、薬の場合はニセの治療法、形は同じだ

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