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株式会社イリンクス社長 田中宏幸氏からゲーム開発のスケジューリングを学ぶ|STAND pm座談会 vol.4

こんにちは!ゲーム業界専門プロジェクトマネージャー(PM)久我です。
連載タイトルにもなっている『pm座談会』、普段は記事の連載でお届けしていますが、今回は4ヵ月ぶりの座談会レポート!
初の試みとして、ゲストをお呼びして座談会を行いましたので当日の様子をお届けします。
▼前回のPM座談会はこちら

今回ゲスト講師として招待したのは株式会社イリンクス社長であり、PMとしても様々な講演を行っている田中宏幸氏。
先日のゲームメーカーズスクランブルにて田中さんの講演を聞き、是非STANDでPMについて話していただきたいとオファーさせていただきました。

様々なゲーム会社で経験を積み、PM関連の資格を複数持ち、更に社長業までこなす
…尊敬しか無い。

当日はオンラインとオフラインでの両面開催に

今回の座談会では、普段参画先にいることが多いメンバーでも参加できるよう、オン・オフ両面参加できる形式で実施しました。
座談会前半は田中さんによるPM講座からスタート。
CEDECなど様々なイベントでの講演経験もあり、ユーモアも交えたテンポの良い喋りは流石の一言。PMはいかにプロジェクトを回すかが問われる職業ですので、喋り方一つも勉強になります。

この日は、終業後に座談会に参加するため各地からメンバーが集まりました。それだけSTANDには熱意のあるメンバーが揃っています。

中には、現在PMとして働いている内川さんと私以外にも、将来PMを目指しているメンバーも在籍しています。今回はPMの専門的内容というよりは、ゲーム開発現場にいれば誰でも役に立つスケジューリングの知識や、優先度の付け方について議題を設定し、田中さんにお話いただきました。
当日のスライドを厳選し、一部紹介させていただきます。

PMにおいて大切な”要素”

まずは、製造業の基礎であるQCD(品質、予算、納期)はよく耳にしますが、それに「スコープ(要素)」を加えた話から。プロジェクトマネジメントはこれらの目標を維持しつつプロジェクトを運営することだったりします。

とは言えゲーム開発は計画通りにはいかないものです。
企画は変わるし、作ったら面白くなかったこともあれば、事故やゲームの発売日が重なることもあります。計画した通りにプロジェクトが進行するなんてそんなオカルトはありえません。

「スケジュール通りに進まなかったから発売日を変更しよう」なんてしていたらゲームは完成しません。
人を増やせばいいものができるほど人材も予算も転がっていません。
未完成、つまらない、バグだらけでリリースしてしまったら大問題になります。
そうなってくると、最終的に調整できるのはスコープ(要素)になってきます。
納期を維持し、予算内で、求められた品質を出すためにスコープは柔軟にしようという話ですね。

例を出すなら、アクションゲームだとステージ数を減らす、キャラ数を減らす、技の種類を減らすなどが挙げられるでしょうか。
これに絡めて、「ゲーム開発に例えるとどうなるか」とか、「アジャイル開発とは」などについても話していただきました。

スケジュールの組み立てに大切なことをご紹介いただいた後は、折角来ていただいたのでメンバーとディスカッションする時間も設けさせていただきました。

現PGからPMを目指すには

ここでは、色々なテーマをメンバーと話していただいたのですが、「現在プログラマーで将来PMを目指している」という話題の内容がよかったので紹介させていただきます。

テーマ1:STANDメンバーのMさんは現在プログラマー。将来的にPM等のマネジメントに回りたいという考えがある。別職種からPMになるというのはどうなのか、どんなメリット・デメリットがあるのか

田中さんもプログラマー出身なので、経験も踏まえて話を聞いてみたいとのこと。
以下田中さんのお話から一部抜粋させていただきます。

・PMがPMから始めるのはすごくきつい

PMはゲームの作り方を知っていないといけない。困っていることを吸い出せても、内容が理解できないとただ伝えるだけの御用聞きになってしまう。なので始めからPMとしてキャリアをスタートする人は稀である。

・総合職としてゲーム開発知識を深めていくのがいい

スペシャリスト、例えば描画に特化した描画プログラマーなど。
ゼネラリスト、メイン(リード)プログラマーなど。PMになるにはゲーム開発全体の知識量が必要になってくるので、こちらを目指すと良い。そうするとゲーム開発に対する視野が上がる。その視野を活かしてPMになっていくのがいいと思う。

・ただ待ちきれないということであれば…

現PM、APやADなどの下についてマネジメントを学ぶという手もある。

こういう悩みにさっとアドバイスを出せるのも流石社長という感じです!
特に二つ目の回答は連載でも掲載した内川さんの記事とも通ずるものが…!
他にも色々なお話を聞かしてくださり、あっという間に座談会も終了しました。田中さん、参加してくれたSTANDメンバーの皆様、お忙しい中ありがとうございました。

Youtubeにて、先日のゲームメーカーズスクランブルにて田中さんが講演された動画もアップされています。
ゲーム開発ワークフローについてわかりやすく、ゲーム開発者にとってためになる内容でしたので是非ご覧になってみてください。

さいごに

4ヵ月ぶりの開催となった『PM座談会』。今回は外部ゲストをお呼びして社内座談会の形式で展開しましたが、ゆくゆくは講座/座談会を外部にも展開していき、PMやリーダーを目指しているゲームクリエイターの学び、交流のきっかけを作っていきたいと思っています。ゲームPMに興味のある方のお声がけをお待ちしております!

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