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短編小説「ある模範委員の回想」全文

短編小説「ある模範委員の回想」全文

「……そうね。今でも覚えてる。毎週土曜日に学校で配られた、チョコレートの味。砂がたくさん混ざっていて、チョコがすっかり溶けた後、吐き出さなければならなかった。それでも、美味しかったのよ。とっても甘かった。私達が食べたことのない味。夢の味。これが勝利の味だって、いつも先生は仰ってたわ。それで私達、一生懸命頑張れたのよ。その頃は、誰も彼もが貧しかった。
 私達が通ったのは、町の隅っこにある、外国人

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