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【トレイルランニング】優勝に導いた補給戦略とは?

Gaoligong by UTMB ― 一年に一度だけ中国・雲南省の山奥で開かれる猛者の祭典に、ウルトラトレイル・ワールドツアー(UTWT)のチャンピオンが初上陸しました。

<選手プロフィール>
Gediminas Grinius
Altra、Vibram所属サポートアスリート
Gaoligong by UTMB 2018 160km 優勝
UTMB 2016 準優勝
UTMF 2015 優勝
UTWTシリーズ総合ランキング1位

Gediminas Griniusはリトアニア出身のトレイルランナー兼コーチ。これまでに無数のトレイルを走り、無数の人を過酷さで有名なウルトラトレイルレースに送り出し完走させてきた実績があります。

そんなGediminas選手が招待選手として参戦した2018年のGaologong MGUで見事優勝を飾りました。世界中のトレイルにまつわる豊富な経験を持つ彼の優勝を支えたのは緻密な事前準備でした。今回は、中国でも有数のコース難易度を誇るGaoligongでの彼の装備にクローズアップ。

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Gediminas選手がエントリーしたのは、もっとも難易度が高いMGU。距離にして160㎞。写真は彼が出発前に撮ったもの。ここに彼の約2日間の走りを支えるツール達が勢揃いしています。

<レース5日~1日前>

プロテインは5日前から摂り始めるのがGediminas選手のスタイル。マルチビタミン系のタブレットサプリメントを活用して栄養分もしっかり補います。食事と補給をできる限りルーティン化することで胃腸トラブルのリスクを回避する一面も。

<レース当日>

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レース当日の朝食前にはペースト状のオーガニックサプリメントを忘れずに摂って、栄養が偏らないように調整。

レースの30分前にはプロテイン、電解質とミネラルを補うサプリメント、エネルギー補給用オイル、血中乳酸の分解を助けるカツサプ2本をスタンバイ。カツサプは運動中に蓄積した乳酸をリアルタイムでエネルギーに換えてくれるだけでなく、エネルギージェルで摂取した糖分が乳酸化したものまでフル活用してくれます。筋肉を損傷から守り、結果的に血中CK値の過剰な上昇を抑えてくれます。補給を利用してレース中のパフォーマンスを引き上げ、レース後のダメ―ジも事前にケアをする所がさすがベテラン技です。
カツサプの飲み方は至って簡単;スタート前に2本飲んだら、後は15㎞ごとに1本ずつ少量の水に溶かして飲むだけ。

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レースが始まって1時間後から、ジェル1/2本を20~30分ごとに摂りつつ、エネルギーオイル1本を30㎞ごとに飲みます。小腹が空いたタイミングでフルーツ味のバー(見た目はバーというよりブロック状)とグミを投入。バーにはナッツも入っていて歯ごたえ充分、満腹感が得られます。

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水に溶かすタイプのパウダー電解質サプリメントは炭水化物、カリウム、マグネシウム等が補給できる優れもの。パウダー以外にもタブレットタイプの電解質+アミノ酸(20㎞ごとに1錠)を補うサプリも常用しています。

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エイドステーションでの食事は事前に預けたサプリメント類、スポーツドリンクと開けてすぐに食べられるムングダールというインド風緑豆カレーとバスマティ米の組み合わせ。レース中の補給は甘い物が多いので、ほんのりスパイスを効かせたムングダールで味の変化を楽しむことを大事にしています。もちろん体力づくりのためのプロテインも欠かせません。

<レース後>

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レース終了後30分以内に、ラパチョ・ティーを飲みます。ラパチョ・ティーは中南米の先住民に古来から伝わるハーブティーで、免疫力を高めたり、関節の炎症を抑えたり、消化器の調子を整える効果があると言われています。

ウルトラトレイルシリーズを制する達人の補給メニューは全体的にオーガニックや天然素材嗜好が強い印象。食事にも機能性、利便性と安全性を求めてこだわり抜いた結果が戦績によく現れていると言えます。

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