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古くからある願掛けと現代のゲン担ぎ

自己暗示(じこあんじ)
→ 自分で自分に暗示をかけること。

自分で自分に暗示をかけるという行為は、割と身近にやったことがあるという人も多いように思う。

というのも、暗示というと、ちょっとネガティブに聞こえるかもしれないが、願掛けというとポジティブになるのではないだろうか。

個人的には、暗示も願掛けも似たようなものだと思っていて、誰にも願いや叶えたいものがある。

そんな願いや叶えたいものを現実にするために、様々な願掛けが実在している。

今さら聞けない願掛けってなぁに?

ということで、あえて説明するまでもないかもしれないが、願掛けとは、神や仏に願いごとを行うことをいう。

具体的には、病気の平癒、商売繁盛、縁結び、厄払いなどの個人的なものが多い。

そんな願掛けの仕方は、神や仏に願いごとをする際に、供え物をしたりお勤めをしたりすることが一般的だ。

それだけではなく、願う本人としても苦しいことを我慢したり、なにかを犠牲にしたりして頼めば、より一層の神仏の加護が得られるとされている。

つまり、神や仏にお願いするときの基本は、心と体を清めて浄化して、自らも修行することだというわけだ。

願掛けの仕方

それから、願掛けにおいては、なんでもかんでも願いごとをすればいいというものではない。

神や仏に願いごとをするということは、困ったときが基本になるはずだ。

とはいえ、そこにはある程度の決まり事や作法も存在するのである。

その根本にある考え方が、自分勝手なことをお願いしてはいけないし、悪いことをお願いするのもご法度だ。

  • 自分だけが幸せにしてください

  • 気に入らない相手に不幸を与えてください

  • 憎い相手を事故に巻き込んでください

  • 嫌いな相手を失敗させてください

  • 病気の人が治らないようにしてください

  • 苦手な夫婦を別れさせてください

  • 自分を裏切った相手に制裁を与えてください

こういった願いごとは叶えてもらえないというわけだ。

悪鬼のような神仏に頼めば、悪事の願いごとが叶うこともあるとされている説もあるが、結果として必ず自分に跳ね返ってくるとされている。

そして、願掛けする際には、神社やお寺にお参りするときには、入口で水を使って清めるのと同様に、まずは心身を清めなければならない。

次に、神や仏に対して誓いを立てるのだが、ここで重要なのは、神や仏に願うということは、自分が努力することも必要だということだ。

その願いが切実であればあるほど、自らの努力が問われるというわけだ。

つまり、自分が大好きなことを止めるということが最も良い方法で、大好きなことを止めて我慢するという気持ちを神や仏に捧げるというロジックが成立するのである。

例えば、お酒を絶つ、タバコを絶つ、ギャンブルを絶つといった具合いに、自分の楽しみを絶つ覚悟を見せなければいけない。

その苦しみや我慢する気持ちを心から捧げなければ、神や仏に願いごとは届かないのである。

日本全国にある願掛けの例

ということで、実際にある願掛けの代表例を紹介していこう。

百度参り

百度参りとは、寺社の入口にある、百度石と本殿との間を百回往復して祈願する方法のことをいう。

普通のお参りの方法ではなく、どうしても叶えて欲しい願いごとがあるときに行う修行としてのお参りの仕方だ。

本殿の前では読経したり願いごとを唱えたりする。

また、霊場巡りの姿格好でお参りし、冬の寒い時に裸足で歩いて祈願する人もいる。

1日で100回お参りする方法と、毎日1回ずつお参りする方法がある。

滝行

自然の滝の冷たい水に打たれながら祈る修行で、数ある修行の中でも厳しい方法だといわれている。

特に冬の冷たい水での滝行は相当に熟練した人向けで、普通の人にはなかなかできない願掛けだ。

また、滝に打たれることは、心身を清める目的と精神を集中する目的があるといわれている。

白衣を着て滝の中に入り、決まった数の念仏、読経、もしくは既定の時間が経過したら滝から出るというのが一派的な滝行だ。

水垢離(みずごり)

頭から体に冷たい水を被る修行のことを、水垢離(みずごり)、または水行という。

本格的な修行の前行として行うことが多く、大きな桶に溜めた水を手桶で汲んで頭から身体に被るのだが、水は夏でも冬でも清浄な冷たい水を準備する。

霊場巡り

四国八十八ヶ所霊場、西国三十三観音霊場といった有名な霊場巡りから、七福神霊場巡りなど全国には多くの霊場が存在している。

その霊場を参拝することで、特別な御利益が受けられるというわけだ。

霊場巡りは歩いて回ることが基本だが、四国八十八ヶ所霊場などは規模が大きくて全部歩くのに最低でも1ヶ月以上かかることから、自家用車で回ったり、バスツアーもある。

霊場巡りは、病気平癒などの願掛けの目的で回っている人がとても多く、地元の人たちからも受け入れられる場合が多い。

また、寺院巡りは、多くの寺院での御本尊様からの加護が受けられるので、人気のある修行となっている。

写経

写経は、般若心経などの経典を書き写すことをいう。

経典には読む功徳と書く功徳があり、写経をすることによって書く功徳を積むことができるのである。

精神統一して、集中することは仏教の良い修行法とされ、写経には必ず最後の方に願いごとを書くところがある。

願いごとをかいて、1日1枚、毎日続けることによってたくさんの功徳を積むことができるといわれている。

写仏

写仏とは、仏様の姿を描き写すことをいう。

この世の中に仏様の姿が増えることは功徳があるとされており、1つでも多くの仏様が増やす行為が写仏というわけだ。

写経と同様に、精神統一して、仏の姿に自らの心を集中して仏様を描くことで、たくさんの功徳を積むことができるといわれている。

現代のゲン担ぎ

ということで、古くからある願掛けについて書いてきたが、現代ではもっとポップにゲン担ぎという位置づけで乗っかったことがあるという人もいるだろう。

例えば、お菓子メーカーが受験生に向けて仕掛けて有名になった、キットカットが有名だろう。

Nestle(ネスレ)が販売している、キットカットだが、きっと勝つとということで、受験生のゲン担ぎとしてブレイクした。

メッセージを書く欄がある合格祈願用のパッケージも販売されるようになり、いまやゲン担ぎお菓子の定番となっている。

他にも、グリコが販売しているポッキーも反対から読むと吉報となるということで、合格の吉報を願う受験生には願ってもない願掛けお菓子として人気がある。

また、明治製菓が販売しているハイレルモンは、受験シーズンに販売されるときは、入れるもんにちなんで特別版となっている。

同じ明治製菓が販売しているスナック菓子の定番のカールは、カールに1文字足してウカール = 受かるというゲン担ぎのお菓子として、受験シーズンに登場する。

最期に紹介するのは、これも定番のお菓子のチロルチョコが販売している、ごえんがあるよという商品だ。

5円玉の形をしたチョコレートで、ベタだが、5円 = ご縁にちなんで、受験シーズンには合格にごえんがあるよというパッケージが登場する。

そして、このチョコレートの発売開始は1984年ということで、長寿のおめでたいゲン担ぎとしても人気のお菓子となっている。

まとめ

ということで、古くからある願掛けや現代のゲン担ぎを紹介してきたが、他にも様々な似たようなものはある。

例えば、スマホの待ち受け画面の画像にしていたら縁起がいいといったものや、パワースポット的な話題は常に注目される。

パワーストーンと呼ばれる、数珠のようなものをファッションの一部としてつけている人も見かけることが多いし、人はなにかと暗示しているというわけだ。

ダルマに目を入れるといったカルチャーや絵馬を書くというカルチャーも引き継がれているし、stak, Inc. の拠点がある広島だと、千羽鶴を織るというというのも定番だ。

願掛けやゲン担ぎをすることは、人ぞれぞれなにかしらやっていることで、その心理は十分理解できる。

なにか私はこんな変わった願掛けやゲン担ぎをしているという人がいたら、是非教えてもらいたい。


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植田 振一郎 Twitter

株式会社stakは機能拡張・モジュール型IoTデバイス「stak(すたっく)」の企画開発・販売・運営をしている会社。 そのCEOである植田 振一郎のハッタリと嘘の狭間にある本音を届けます。