【2022年】世界で最も裕福な国ランキング
一定の財産や収入がない者は、正しい心を保つことはできないということは間違っていないと思う。
けれども、この表現の仕方だと少々誤解を生むのも事実だと思う。
なにが言いたいのかというと、要するに金がないと正しい心を保つことができないという読み取り方をされても仕方がないということである。
ここは言い換える必要があると思っていて、一定の財産や収入ではなく、ある程度の余裕という言葉に置き換えると、しっくりくるのではないだろうか。
2022年世界で最も裕福な国ランキング
2022年8月14日にこんな記事が出ている。
(出典:Forbes)
記事を見てもらえれば一目瞭然なのだが、世界で最も裕福な国の新しいリストで上位に入った国のほとんどは、大国でもなければ最強の国でもない。
その多くは世界でも小さな国の部類に入っていて、Global Financeが発表した世界で最も裕福な国ランキングのトップはルクセンブルクとなっている。
後ほど詳細を書いていくが、シンガポール、アイルランド、カタール、マカオ、スイスが世界で唯一の大公国であるルクセンブルクに続いている。
とはいえ、一重に裕福といっても国の豊かさを示す指標によって順位は変わってくることに注意は必要だ。
例えば、下記のような指標が基準になってくるので覚えておくといいだろう。
GDP(国内総生産):国内で一定期間の間に生産されたモノやサービスの付加価値
1人あたりGDP:1人が1年間に稼ぐ平均額
GNI(国民総所得):GDPに海外での利益、外国株式、債券への投資による配当、金利収入などを加えた指標
この中で、世界で最も裕福なというときに指標になるのは、1人当たりGDPというわけだ。
ただし、1人当たりGDPは必ずしもその国に住む人の平均賃金と一致するわけではないということも知っておいた方がいいという指摘もある。
例えば、2019年のアメリカはこんな感じだった。
1人当たりGDP:6万5,279ドル50セント(約871万円)
平均年間賃金:5万1,916ドル27セント(約692万円)
中央値:3万4,248ドル45セント(約457万円)
この数字からなにがいえるかというと、言わずもがな世界一のGDP(国内総生産)を誇っているアメリカであっても、貧困に苦しむ国民がいるということだ。
逆に、最も貧しい国でも極めて豊かな住民も多数いて、GDPはその国の全体的な財政状況を示す公正な指標だという指摘だ。
GDP(国内総生産)に基づいたランキング
1人当たりGDPを指標にしたときのトップはルクセンブルクだったということは上述したとおりだ。
ところが、GDPに基づいたランキングの場合、最も豊かな国は最も大きな国という概念に置き換わり、その順位は下記のとおりとなる。
アメリカ(18兆6,000億ドル、約2,482兆円)
中国(11兆2,000億ドル、約1,494兆円)
日本(4兆9,000億ドル、約653兆円)
ドイツ(3兆4,000億ドル、約453兆円)
イギリス(2兆6000億ドル、約346兆円)
フランス(2兆5,000億ドル、約333兆円)
インド(2兆2,000億ドル、約293兆円)
イタリア(1兆8,000億ドル、約240兆円)
ブラジル(1兆8,000億ドル、約240兆円)
カナダ(1兆5,000億ドル、約200兆円)
先に登場した小国が1つも出てきていないことに注目してもらいたい。
ルクセンブルクが裕福だといわれる理由
では、なぜルクセンブルクのような小さな国の経済が、なぜ上記のような強国の経済と肩を並べるランキングのトップに登場することができるのだろうか。
それは、GDP(国内総生産)の値が国際的な商習慣によって歪められることがあるからだという。
どういうことかというと、例えば、アイルランドやスイスのように、外国企業を優遇する政府の税制のおかげで租税回避地とみなされている国もある。
これらの国では、GDPに計上されている金額のうち、実際にはその国に留まる所得ではなく、国際企業がその国を経由して流したお金がかなりの割合を占めている可能性があるというわけだ。
ルクセンブルクも租税回避地として扱われることが多いのだが、もう1つの特殊な点がある。
それは、外国人労働者の割合が高いということだ。
2021年の第2四半期には21万2,000人近くが働いていたというデータがある。
外国人労働者は国の富に貢献しているけれども、GDPを住民数で割るときに含まれないため、人為的に高い数字になるという指摘だというわけだ。
租税回避地が国のGDPに与える影響を補うために、多くの経済学者が各国の国民総所得(GNI)を追跡調査しているというのが現状だ。
それから、生活の様々な側面を測定することを目的とした幸福度指数もあり、この幸福度指数というのは最も伝統的な指標を補完するために使用されている。
小国が豊かさを誇示できる理由
なぜ、ルクセンブルクが裕福な国ランキングでトップを飾れるのかについては、上述したとおりだ。
ただ、他にもルクセンブルク以外の小国が豊かさを誇示できる理由もある。
例えば、ルクセンブルク、スイス、シンガポールを含む多くの小国が豊かさをもたらしている主な要因として洗練された金融部門がまずあることが挙げられる。
加えて、海外からの投資や専門家の才能を引き寄せるように構成された税制もその理由だ。
他にも、カタール、ブルネイ、アラブ首長国連邦など上位10ヶ国には、炭化水素などの天然資源が大量に埋蔵されている。
カジノ事業を展開するアジアのギャンブル天国マカオには富裕層の観光客が大挙して押し寄せている。
こういった小国ならではの理由もあることも知っておくといいだろう。
パンデミック効果
いずれにせよ、2022年については新型コロナウイルス感染症の世界的なパンデミックによる影響が大きかった。
多くの企業が休業や事業縮小を余儀なくされ、リモートワークの可能性が飛躍的に拡大するなどの変化があったため、すべての指標を調整する必要があった。
そんな中、ルクセンブルクはヨーロッパの近隣諸国よりもはるかにうまくパンデミックを乗り切ったという現状がある。
ルクセンブルクは、2014年に1人当たりのGDPで10万ドル(約1,333万円)の大台を突破している。
その結果、ルクセンブルクは、その富の多くをより良い住宅、医療、教育を国民に提供するために使っており、国民は欧州で圧倒的に高い生活水準を享受しているのである。
ということで、ルクセンブルクの詳細は下記のとおりだ。
ルクセンブルクはヨーロッパの西側に位置しベルギー、フランス、ドイツと国境を接する内陸の小国で、人口は64万2,371人で世界で唯一の大公国だ。
最新の1人当たりのGDPは14万694ドル(約1,876万円)で、世界で最も裕福な国となっている。
失業率は5%強で、平均寿命は82歳で、全国民が医療、教育、公共交通機関を無料で利用でき、ルクセンブルク政府は安定的かつ効率的で、政治や経済も安定し高い生活水準を誇っている。
そんなルクセンブルクには、Skype(スカイプ)やAmazon(アマゾン)をはじめとする主要な多国籍企業が進出している。
1人当たりGDPに基づいたランキング
GDPに基づいたランキングは上述したが、1人あたりGDOに基づいたランキングとなると、下記のとおりガラッと変わる。
ルクセンブルク(14万694ドル、約1,876万円)
シンガポール(13万1,580ドル、約1,754万円)
アイルランド(12万4,596ドル、約1,661万円)
カタール(11万2,789ドル、約1,504万円)
マカオ特別行政区(8万5,611ドル、約1,141万円)
スイス(8万4,658ドル、約1,128万円)
アラブ首長国連邦(7万8,255ドル、約1,043万円)
ノルウェー(7万7,808ドル、約1,037万円)
アメリカ(7万6027ドル、約1,014万円)
ブルネイ(7万4,953ドル、約999万円)
香港特別行政区(7万448ドル、約939万円)
サンマリノ(7万139ドル、約935万円)
デンマーク(6万9,273ドル、約923万円)
台湾(6万8,730ドル、約916万円)
オランダ(6万8,572ドル、約914万円)
オーストリア(6万4,571ドル、約861万円)
アイスランド(6万4,621ドル、約861万円)
アンドラ(6万3,600ドル、約848万円)
ドイツ(6万3,271ドル、約843万円)
スウェーデン(6万2,926ドル、約839万円)
このように、なにを基準にするのかによって、大幅にランキングが変わるということが理解できただろう。
まとめ
まとめていくとわかると思うが、やはり豊かさを可視化するとなると、どうしてもお金を基準とすることがわかりやすいということになる。
だから、冒頭に書いたとおり、一定の財産や収入がない者は、正しい心を保つことはできないといった表現になってしまうのだろうが、やはりここは改めて置き換えておこう。
お金を基準にした豊かさの指標も大切だが、余裕があることがなによりも重要な豊かさの基準になるということを主張させていただきたい。
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