見出し画像

見栄と消費文化の進化

装模作様(そうもさくよう)
→ 気取ったり、見栄を張ったりすること。

装模作様という言葉は、一見すると派手やかで、表面的な輝きを求める行動を思い起こさせる。

けれども、この概念は単なる見栄や飾り立てること以上の意味を持つ。

実際には、ビジネス界において重要な役割を果たしている。

それはなぜか。

答えは、消費者の心理やニーズに深く根ざしているからだ。

装模作様は、自分をより良く見せようとする人間の本能に訴える。

高級ブランドが街のショーウィンドウで輝いているのも、夜のエンターテインメント産業が繁栄しているのも、すべては人々が自分自身を特別な存在と感じたいという願望から生まれる。

つまり、ここにビジネスのチャンスがある。

人々のこのような欲求を理解し、満たすことができれば、ビジネスは成功へと導かれるというロジックだ。

ということで、装模作様という概念の奥深さと、それが現代社会においてどのように機能しているのかを明らかにしていこうと思う。

歴史と背景

装模作様という概念の起源は、人間が社会的存在として自己を表現し始めた時代にまでさかのぼる。

古代の王族や貴族が豪華な衣装や装飾品を身につけたのは、単に美しいからではなく、権力や地位の象徴としての役割があった。

ここから「見せる = 魅せる」という行為が、社会的な地位やアイデンティティを表現する手段として定着していったのである。

時代が下るにつれ、この「見せる = 魅せる」文化は広く民衆にも浸透していく。

19世紀に入ると、産業革命による経済の発展と共に、中産階級が台頭する。

彼らは、自身の社会的地位を示すために、派手な衣服や持ち物を求めるようになった。

これが、現代の消費文化の萌芽と言えるだろう。

そして、20世紀に入ると、マスメディアの発達が「装模作様」文化を加速させた。

映画やテレビ、雑誌などで華やかなライフスタイルが紹介されると、人々はそれを模倣しようとした。

これは、見栄を張る行動が、単に社会的地位を示すだけでなく、個人のアイデンティティや願望の表現手段にもなっていることを示している。

それから、21世紀に入ると、インターネットとソーシャルメディアの登場により、この傾向はさらに強まった。

今日では、個人は自分のライフスタイルをオンラインで展示することで、社会的な承認や羨望を得る。

ここから、装模作様がデジタル時代の新たな形態を取り始めていることを示していることが理解できるだろう。

このように、「装模作様」とは、単なる表面的な見栄ではなく、時代を超えた社会的・文化的現象である。

それは、経済の発展、テクノロジーの進歩、そして人間の基本的な心理が結びついて形成されたものだ。

今後も、この現象は新たな形を取りながら、私たちの文化や経済に影響を及ぼし続けるだろう。

ハイブランドの決算

ハイブランドの代表格と言えるのが、LVMH(モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン)だろう。

2023年1~6月期決算は下記のとおりだ。

  • 売上高:前年同期比15.0%増の422億4,000万ユーロ(約6兆5,472億円)

  • 営業利益:同14.2%増の115億6,400万ユーロ(約1兆7,924億円)

  • 純利益:同29.8%増の84億8100万ユーロ(約1兆3,145億円)だった。

部門別の売上高では、主要事業のファッション・レザーグッズ部門が同16.7%増の211億6,200万ユーロ(約3兆2,801億円)だった。

「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」と「ディオール(DIOR)」に加えて、「セリーヌ(CELINE)」「ロエベ(LOEWE)」「ロロ・ピアーナ(LORO PIANA)」も好調で業績に貢献。

「ブルガリ(BVLGARI)」「ティファニー(TIFFANY & CO.)」「タグ・ホイヤー(TAG HEUER)」などの人気ブランドを抱えるウオッチ&ジュエリー部門も好調だ。

同10.6%増の54億2,700万ユーロ(約8,411億円)となっている。

また、香水&コスメティクス部門は同11.3%増の40億2,800万ユーロ(約6,243億円)だった。

他にも、海外旅行客が急激に回復したことにより免税店も好調だ。

また、HERMES(エルメス)も負けずと好調で、そのスコアは下記のとおりだ。

  • 連結売上高:約67億ユーロ(約1兆500億円)で恒常為替レートベースで前年同期比25%増(現行レートで22%増)

  • 純利益:約22億ユーロ(約3,400億円)で前年同期比で36%増加

その他のハイブランドたちも軒並み好調を維持しているが、そこには共通点がある。

例えば、LVMHは高品質の製品とその優れた流通を通じて、ブランドの魅力を継続的に強化する戦略を採用していることが見事に反映している。

その戦略は、製品の質に対するこだわりと、創造性豊かなチームのエネルギーを基盤とし、ラグジュアリーグッズの世界的リーダーとしての地位をさらに強固にすることを目指している。

また、HERMES(エルメス)の業績は、革新的な製品と独自のビジネスモデルによって支えられており、特にそのクリエイティビティと製品の質が高い評価を受けている。

その成功は、ハイブランド市場における持続的な成長の傾向と、消費者の間でのブランドの魅力を高めることによるものであると言えるだろう。

ここまで書けば、あえて書く必要もないが、独自の世界観を見事に消費者に届けているというわけだ。

クラブとラウンジの市場規模と魅力

夜のエンターテインメント産業、特にクラブやラウンジは、その経済的重要性で目立つ。

2019年、グローバルなバーとナイトクラブ市場は6,100億ドルに達した。

この数字は、産業が全世界の市場に与える影響の大きさを示している。

しかし、COVID-19パンデミックにより、2021年にはこの市場の収益が12.3%減少する見込みだった。

ちなみに、アメリカのバーとナイトクラブ産業は、年間約270億ドルを生み出している。

この強固な数字は、産業の経済的リーチと、ホスピタリティシーンやより広範な経済に対するその重要性を示している。

そして、この産業は2023年には約429億ドルに達すると予想されている。

この産業の収益は、2021年にCOVID-19パンデミックの影響で9.1%減少した。

中東、アフリカ、ラテンアメリカは、世界で最も成長が速いバー市場だ。

アメリカでは約65,000のバー、居酒屋、ナイトクラブがあり、2026年にはバーテンダーの数が約51万2,230人に達すると予測。さ

アメリカ人は平均して、年間1,043ドルをバーでのアルコールに使っているという計算になる。

クラフトビールの売上は2019年にバーで7%増加し、ワインは世界のアルコール支出の40%を占めている。

オーストラリアのバーとナイトクラブ産業は2021年に-11.8%という減少を記録した。

クラブやラウンジで求められるのは、単なる飲酒の場ではなく、社交の場としての魅力だ。

都市化の進展とともに、特に都市部の若者の間でバーでの社交が増えている。

また、プレミアム製品の台頭も市場のトレンドとなっており、消費者は高品質な飲料に対する需要が高まっている。

これらの要因が、バー、パブ、ナイトクラブ市場の成長に寄与している。

消費者心理とブランディング

装模作様ビジネスと消費者心理の関係

装模作様に関わるビジネスの成功は、深く消費者心理に根差している。

消費者は、自己表現やステータスの向上、他者からの認識向上など、多様な心理的ニーズを持っている。

例えば、高級ブランド商品の購入は、単に製品の機能や品質だけでなく、自己の社会的地位を象徴し、自己価値を高める手段として利用されることがある。

このような心理的動機は、消費者が製品やブランドに対して感じる感情的な結びつきを形成する。

これはブランドの忠誠心や、特定のブランドに対する繰り返しの購入意欲に直結する。

消費者がブランドに対して感じる情緒的なつながりは、製品の購入意欲を高めるだけでなく、ブランドへの推奨行動を促す原動力にもなるというわけだ。

効果的なブランディング戦略

効果的なブランディング戦略は、消費者心理と緊密に連携している。

ブランドのストーリーテリングやイメージ作りは、消費者の感情や価値観に訴えかけることが重要だ。

例えば、アップル社は革新性やデザインの優れた製品を通じて、「異なる考え方」をする人々のブランドというイメージを築いてきた。

これにより、消費者は製品を購入することで、自己のアイデンティティを表現する手段としてアップル製品を選ぶようになる。

また、ブランディング戦略においては、ターゲットオーディエンスの特性とニーズを理解し、それに合わせたコミュニケーションを行うことが不可欠だ。

例えば、ナイキはスポーツとパフォーマンスに重点を置き、消費者に「自己超越」のメッセージを伝えることで、ブランドへの熱狂的な忠誠心を構築している。

効果的なブランディングは、消費者の心理的ニーズに対応し、彼らの感情に訴えかけることで、ブランドの価値を高め、長期的な顧客関係を築くことにつながる。

ブランドが提供する独自の価値提案と、消費者の内面的な欲求とを結びつけることが、成功への鍵となる。

まとめ

「装模作様」のトレンドは、今後も進化し続けるだろう。

テクノロジーの進歩、特にソーシャルメディアとデジタルマーケティングの台頭は、個人のライフスタイルを展示し、自己ブランディングする新たな方法を提供している。

消費者は、個性的でユニークな経験を求め、それを自分のアイデンティティの一部としてソーシャルメディアで共有する傾向がある。

この変化は、製品やサービスのカスタマイズ、エクスペリエンス重視のマーケティング、そして消費者とのより深い情緒的なつながりを築くためのブランディング戦略に影響を及ぼす。

ビジネスは、消費者の変化するニーズに応えるため、より柔軟で革新的なアプローチを取らなければならない。

また、装模作様は、単に高級品やステータスシンボルを消費すること以上の意味を持つ。

これは、自己表現、個人のアイデンティティ、社会的相互作用の重要な側面である。

社会的には、このトレンドは個人の価値観、ステータスへの欲求、および社会的認識の中での自己位置づけを反映している。

ビジネスにおいては、装模作様は市場のニーズを理解し、消費者の情緒に訴えかける製品やサービスを提供する機会を提供する。

ブランドは、このトレンドを利用して製品の差別化を図り、消費者の忠誠心を高め、独自の市場ポジションを築くことができる。

最終的に、装模作様の未来は、社会的価値観と消費者行動の変化によって形作られる。

ビジネスはこれらの変化を理解し、それに適応することで、持続可能で成功したブランド戦略を構築することが結果としてできるだろう。


【X(旧Twitter)のフォローをお願いします】

植田 振一郎 X(旧Twitter)

株式会社stakは機能拡張・モジュール型IoTデバイス「stak(すたっく)」の企画開発・販売・運営をしている会社。 そのCEOである植田 振一郎のハッタリと嘘の狭間にある本音を届けます。