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ある若者の話

ステージタイガーの虎本剛です。
突然ですが、ある一人の若者の話をさせて下さい。

彼は、特別な存在になりたいと思っていました。
より多くの人に認められたいと思っていました。
そのために世の中に対する不平不満を毒づき、心を抉る言葉で物語を作り出しました。
それが評価されてしまい、さらに毒を強くしました。
観客はさらなる毒を求めていると感じ、尖っていることが格好いいと信じ、敵を作ることが必要だと盲信し、センセーショナル、カラー、個性、差別化、承認欲求、そんなものに支配されていったのです。
だから彼は無理矢理にでも毒素を絞り出し続けました。
研ぐ必要のない心まで、毎日ナイフのように鋭くさせていきました。
時には思ってもいないことまで書き連ね、仲間を傷つけ、自身も傷つき、目的のためなら手段を選ばず、最後は力つき干からびてカラカラになったのです。
気づいた時には立ち上がる力もなく。
けど、世の中はそんな彼なんかいなくても、いつものように回っていったのです。

必死に走り続けた道は何だったのか…?
そう気付いた時、彼はもう若者ではありませんでした。
それでも…自分は創作が好きだ。
彼は自分の傷ついた心を癒そうと、手の届く範囲の物語を求めました。
カラーとか、個性とか、よくわからないものに振り回されるのはやめて、自分の両手で抱ける、温もりのようなものを大切にしようと思ったのです。
自分の心に正直に向き合おうと誓ったのです。

その彼が、作り出した物語があります。

それが、『ハンドポケット・カフェ』です。



本日4回目の通しを終えました。
どの役にも生命が宿り、僕が求めていた、真っ直ぐで一生懸命な、どこかおかしい、熱くなれる作品が完成しようとしています。

しています…というのは、演劇はお客さまがあって、初めて生まれるものであると思っているからです。もちろん課題もあるのでまだまだ修正が必要です。全力を尽くしたいと思います。

もし、3月21日、お時間ありましたら松原市までお越しください。



あの時の尖った小僧が、大人になって、アツいほどの思いで包み込みたいと思います。

虎本剛




ステージタイガー
『ハンドポケット・カフェ』

脚本演出 虎本剛

【日時】3月21日(火・祝) 14:00(上演時間は95分ほどを予定しております)
【場所】松原市文化会館(最寄駅は近鉄河内松原駅になります)
【料金】無料
【予約】下記URLからご予約ください。
https://ticket.corich.jp/apply/229907/


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