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なぜ今お鮨屋さんを作るのか  ~寿司と文化を世界に~

Note Vol.1

はじめまして、すし玲のオーナーの諏訪秀一と申します。
今回のお店含め東京、台湾、香港、中国の東アジアを中心に飲食店への出資、マネジメント含めたお手伝いを8店舗ほどやっています。

今回のすし玲というお寿司屋は
銀座八丁目にある鮨辰巳で16年間修行した永井 玲央也(ナガイ・レオヤ)を店主に据え
「寿司と文化を世界に」

をテーマに、表参道から出発する鮨屋プロジェクトです。


鮨屋を始める原点

私の人生の大きなテーマに「恩送り」というものがあります。

一般的には、「恩返し」という言葉のほうがぱっと思い浮かぶ方も多いかと思います。
恩返しは、受けた恩を受けた人に返すこと、
恩送りとは、誰かから受けた「恩」をその人に返すのではなく、
その「恩」を別の方に送るという考え方です。

昔、今はなき大恩人の先輩にどうしても恩返しをしようとした時、その先輩が

「俺はそれを恩とも思っていない、お前が恩に感じるなら、それを俺の息子や後輩たちにしてやれ、そうやって繋がりが続いていくこと、俺も先輩たちにしてもらったからな」

とまあ、カッケェー!と単純な私はこれを微力でも続けていこうと思ったわけです。

そして、今回のお店の原点の中で私の人生において欠かせない恩人の一人に
「井上修一」という男がいます。


彼との出会いは、約9年前にさかのぼります。
場所は神楽坂。
ここで開催された“ケータリング寿司”のイベントの主催者が、
私と同じ名前“シュウイチ”という職人だと共通の友人から紹介され、親近感を感じて出席、実際に会って、すぐに意気投合しました。

私が、歌舞伎町で初めてダイニングバーを始めた、29歳の時でした。

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その日を皮切りに、彼とともにたくさんのイベントを主催しました。
私は集客とイベント企画を、彼はケータリング寿司を担当。
“寿司職人×若手アーティスト”とのコラボイベントや、
新宿にあるクラブでの“マグロ解体ショー”イベントなど、
300人規模のイベントを数々成功させました。
私自身、いまにも繋がるようなたくさんの出会いを、井上さんからいただきました。


彼は、多数イベントで“ケータリング寿司職人”として活動するかたわら、
「海外で寿司文化を広げたい」という思いから“寿司マエストロ”と名乗り、
寿司を教えにドバイへ行ったり、海外のアートアクアリウムのブースで寿司を握ったりと、
“英語が喋れる寿司職人”として、キャリアを重ねていきました。

その成果が認められ、当時ミシュラン1つ星の「リッツ・カールトン京都」の「鮨 水暉(みずき)」から、料理長としてオファーが届きます。当時、私のもとに井上さんから相談の電話が入りました。

井上「リッツからオファーがきたんですが、正直ケータリングを続けたい、世界で寿司を教えに行きたいし、文化を広げることをもっとしたいんですよね……どう思います?」
私「一つの考え方ですが、ミシュランで星をとった料理人がケータリングをやる方が、影響力あるし、より多くの国の人たちにも伝えられるし、何よりそんな場所でチャレンジできるって、面白くないですか?

結果、彼は「リッツ・カールトン京都」で料理長に就任しました。

その後、世界中の著名人が登壇する「TED×KYOTO」のスピーカーとして、寿司を通して日本の文化を世界に広げるという彼の想い、
「BEYOND SUSHI」の展望を熱く語り、彼の寿司職人としての挑戦に、
多くの人が胸を打たれたことでしょう。
私もその一人です。

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https://youtu.be/exSjvRBNdbo

こうして彼は寿司職人として着実に実績を残していきました。

しかし順風満帆に思えた矢先……
突然、彼の夢はかなう前に終わりをむかえます。

彼は、交通事故にあい、帰らぬ人となってしまったのです。

彼が亡くなる2週間前、電話とメッセンジャーで、
「1年後くらいに東京に戻るよー」
と話していたことが、いまでも昨日のように思い出されます。


彼の訃報に触れ、今回オープンする「すし玲」店主・永井と
「いつか独立する時は井上さんに受けた恩を他の人に送れるような鮨屋をやろう!」
と決意しました。
井上さんがやりたかった世界を、永井と形にしたいと思ったのです。

それが、私にできる井上さんへの「恩送り」であり、
井上さんの遺志を継ぐ「恩送り」でもあると。

これが、私たちが鮨屋をやる原点となっています。


余談ですが、井上さんから銀座の寿司屋を辞めてケータリング寿司を一緒にやってほしいと本気でオファーされていたのが、永井です。

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この時決意してから、6年目にして、
永井は16年間修行していた店を円満退社し、ともに「すし怜」を立ち上げます。

「寿司と文化を世界に」
をテーマに掲げる鮨屋プロジェクトはいよいよ11月1日(日)より開演です。

107-0062
東京都港区南青山5-8-11 萬楽庵ビル Ⅰ 地下1階
03-6805-1124(21日以降開通)
「すし玲」

この鮨屋でやりたいことについては、
また次回、語らせていただきます。


Note Vol.2 このお鮨屋さんでやりたいこと~寿司と文化を世界に~

https://note.com/ssuwa/n/n824b6dbbb257



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