見出し画像

【2023年】2月に読んだ本


『レンブラントの帽子』バーナード・マラマッド

表題作ほか2篇「引き出しの中の人間」「わが子に、殺される」を収録。
全編を通じて自分とは違う他者の“わかりにくさ”に戸惑い、悩みもがく物語だった。人と人との厄介なねじれこじれを独特な悲哀とユーモアで描いていて、なんとも言えない余韻が残る。

『文にあたる』牟田 都子


出版社の校閲部を経て、現在はフリーの校正者として言葉と向き合い続けている著者のエッセー集。(プロの校正者さんには遠く及ばないが)自身の仕事でも機会がある業務なので、赤字や疑問の入れ方が上手さなど共感できるところも多かった。「敷居が高い」ってそういう意味だったのですね。

『送別の餃子: 中国・都市と農村肖像画』井口 淳子

中国の北方には「送行餃子、迎客麺」(麺は初めて会ったときに、餃子はお別れのときにつくる)習慣があるという。30年以上、中国で民族音楽・芸能のフィールドワークに取り組んできた著者による出会いと別れの記録。
大学生の頃に『スヌーピーたちのアメリカ』を読んだときの気持ちとつながる感銘を受けた。その国の人々がイメージの前提で括られず、ただ個の「人間」として登場する。いじわるなひとも優しいひともいてみんなエネルギッシュに生きている。こういう本に出会うと嬉しくなる。

『ファシリテーション・グラフィック』堀 公俊/加藤 彰

図解し、議論を見える化する技法。ちょうど社内研修でフレームワークについて資料を作成していたので参考になった。最近はグラフィックレコーディングの練習も始めたので、引き続き図解する力を強化していきたい。

『家が好きな人』井田 千秋

「自分の家が、一番好き。」一人暮らしの5人の女性がそれぞれ愛する家で過ごす様子を描いたコミック&イラスト集。私も自分の家が大好きなので、読みながら「わかる…すごくわかる…」としみじみ。外に出たくないわけでもひとりでいたいわけでもなく、とにかく“自分の家”が大好きなのです。
『Rooms』(海島千本)もだけど、部屋がテーマのイラスト集に惹かれがち。

『砂丘律』千種 創一

同年代の歌人千種創一さんによる、中東と日本を舞台に詠んだ短歌集。現実かはわからないが断片的で鮮明な光景がまず浮かび、うまく分類できない感情があとから込みあげる。新鮮。


以上、2月に読んだ本でした。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?