ササキマナミ

主に読書記録です。 生まれて此の方おにぎりが好きです。

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    1年で読んだものの中から特に良かった本のまとめ

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【2023年振り返り】 良かった本/Best Books of 2023

2023年は90冊の本を読みました。 その中で特に良かったものを紹介します。 振り返り… 2023年は4割近くが仕事関係のビジネス書でした。文芸書の数は少ないながらも限られた時間の中で入念に選んで読んでいたので、読後しばらく感慨に浸れるような良い作品にいくつか出会うことができました。2024年は読書時間を増やし「なんでも読んでみる」マインドで、もっと幅を広げて気楽にたくさんの本を読む年にしたいと思っています。 1.『STONER』ジョン・ウィリアムズ 貧しい農家出身の主

    • 【2024年】3月4月に読んだ本

      『たゆたえども沈まず』原田 マハ 画家フィンセント・ファン・ゴッホと画商である弟のテオ。30代半ばで亡くなった兄弟の生涯を彼らと親交があった日本人画商の視点から描くという史実に基づくフィクション作品。 ゴッホの絵は何度か美術展などで観たこともあるし、その流れで「生前は絵が全く売れず心を病んでいった画家とその兄を献身的に支える弟」という兄弟の関係性は知っていた。 でもこの本の中で物語られた彼らはとても魅力的だった。芸術を愛するものの持つ繊細ゆえに現実と馴染めない葛藤、そして

      • 【2024年】1月2月に読んだ本

        『おしごとそうだんセンター』ヨシタケ シンスケ 地球に不時着した宇宙人とちょっと風変わりな職業相談所のスタッフとの会話から「仕事」や「働くということ」を考えていく絵本。 ジョブ・クラフティング的な視点もあり、自分も社会で働いているひとりの人間としてその内容にしみじみしたり胸打たれたり。ヨシタケさんによる「まだ世界に存在しない」めずらしいおしごとのイラストたちもいつもどおりワクワクさせてくれた。 『ヴァン・ゴッホ・カフェ』シンシア・ライラント かつて劇場だった建物のかた

        • 【2023年】11月12月に読んだ本

           『旅がなければ死んでいた』坂田 ミギー 失恋と過労で吐血した著者が日本を脱出して、とにかくよく裸になる世界一周ひとり旅のエッセイ。 元は人気ブログ「世界を旅するラブレター」をもとに加筆や書き下ろしを加えて本にしたらしく1章ずつでも区切りよく楽しく読める。想像をはるかに超えるという奇想天外フェスティバル「アフリカバーン」に参加してみたい。 『Neverland Diner 二度と行けない台湾のあの店で』 『Neverland Diner 二度と行けないあの店で』(都築

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        【2023年振り返り】 良かった本/Best Books of 2023

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          3本

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          【2023年】8月9月10月に読んだ本

          『夜間飛行』サン・テグジュペリ 『星の王子さま』で著名なサン・テグジュペリの中編小説で、郵便飛行業の草創期に事業存続のため命を賭けて「夜間飛行」に従事する人々の物語。 なにかへの個人的な愛を捨ててでも自分には遂行しなければいけない「重い責務がある」という漠然とした感覚。あとがきでこの作品を読んだアンドレ・ジッドはその漠然とした感覚こそ“あらゆるヒロイズムの源”だと語っていた。細やかな心情描写と緊迫感のある展開が素晴らしかった。 『中国行きのスロウ・ボード』村上 春樹

          【2023年】8月9月10月に読んだ本

          【2023年】7月に読んだ本

          『グレート・ギャツビー』スコット・フィッツジェラルド 1925年に出版されたアメリカ文学の代表的作品。SNSで偶然聴いて惹かれたラナ・デル・レイの「Young and beautiful」という曲が映画「華麗なるギャツビー」(2013年)の主題歌と知り、原作を読んでみた。ギャツビーが誰のため何のためにgreatでありたかったのか。刹那で享楽的な時代背景からくる登場人物たちの選択に、自身を共感させる楽しみ方は出来なくとも、哀しく虚しい読後感に浸る良い読書だった。 『首里

          【2023年】7月に読んだ本

          【2023年】5月6月に読んだ本

          『旅の断片』若菜 晃子 登山の専門出版社の編集者を経て文筆家として活躍している著者による 随筆集。旅の夜、メキシコ断簡、海の旅、英国、裏庭の冒険、地中海の島キプロス、土産ばなし、インドのおじさん、サハリン点描、インドネシア・スマトラの雨、花のスリランカ…と魅力的な章立てで64篇。旅の中でふいに出会う小さな光景や美しい瞬間が切り取られて書かれていて、自分もふたたびこんな風に小さな出会いにときめく旅をしたいと思う。時折挿まれるスケッチも素敵。 『わたしの全てのわたしたち』サ

          【2023年】5月6月に読んだ本

          【2023年】1〜4月に読んだ漫画まとめ

          『言葉の獣』(1−2巻) 鯨庭 もしも言葉が何かの形として見えたら、その「真意」をより理解できるのかもしれない。言葉を“獣”の姿で見ることができる共感覚の持ち主の少女と詩に強い関心を持つクラスメイトの少女が、「この世で一番美しい言葉の獣」を求め〈言葉の生息地〉の森を探索する物語。同じ言葉でも辞書に載っている総意と個人がもつ解釈(真意)が違うときは獣のかたちも異なる。言葉について思索する2人の対話と言葉の獣の姿かたちや動作が良い。形ないものを絵で表現しているすごい漫画。 『

          【2023年】1〜4月に読んだ漫画まとめ

          【2023年】4月に読んだ本

          『プロジェクト・ヘイル・メアリー』 アンディ・ウィアー(上巻・下巻) 『火星の人』(映画『オデッセイ』原作)のアンディ・ウィアー最新作で、“前情報なしで読むべき”のSF小説。 目が覚めると真っ白い部屋のベッドに寝かされている主人公。なぜか記憶がない。自分は誰でここはどこでなんのためにいるのか、持ち前の科学知識と断片的によみがえる記憶から少しずつ真実を導き出し「今なにをするべきなのか」と「なぜここにいるのか」の現在と過去2つのパートが交差しながらストーリーが進む。 科学的な内

          【2023年】4月に読んだ本

          【2023年】3月に読んだ本

          『ミトンとふびん』吉本 ばなな ヘルシンキ、ローマ、台北、香港、金沢、八丈島を舞台に、“別れ”の喪失感を抱える主人公たちの短編集。大切な人を失っても変わらず生きる日々を、激しい言葉や劇的な展開ではなく穏やかに淡々と描いていく。誰しもそれぞれにそれなりに傷がある。時間の力や他者の愛を借りながら、どうしようもないことを受け入れて明るい未来を少しだけ想像してみる希望が見えた。 「SINSIN AND THE MOUSE」「カロンテ」が好き。 『鏡のなかの鏡ー迷宮』ミヒャエル・エ

          【2023年】3月に読んだ本

          【2023年】2月に読んだ本

          『レンブラントの帽子』バーナード・マラマッド 表題作ほか2篇「引き出しの中の人間」「わが子に、殺される」を収録。 全編を通じて自分とは違う他者の“わかりにくさ”に戸惑い、悩みもがく物語だった。人と人との厄介なねじれこじれを独特な悲哀とユーモアで描いていて、なんとも言えない余韻が残る。 『文にあたる』牟田 都子 出版社の校閲部を経て、現在はフリーの校正者として言葉と向き合い続けている著者のエッセー集。(プロの校正者さんには遠く及ばないが)自身の仕事でも機会がある業務なので

          【2023年】2月に読んだ本

          【2023年】 1月に読んだ本

          『ティファニーで朝食を』トルーマン・カポーティ 原作を読んだのは初めて。読む前はラブコメだと思っていたが、自由な魂への憧れと切なさを感じられるお話だった。他に短編「花盛りの家」「ダイヤモンドのギター」「クリスマスの思い出」も収録。表題作も含めすべてにイノセンスなものが持つ危うい魅力がある。 『すばらしい新世界 [新訳版]』オルダス・ハクスリー 才能も感情も徹底管理されたディストピア社会を描いた名作SF。ユートピアの実現を追求したら結局こうなりました的な皮肉満載で楽しい。

          【2023年】 1月に読んだ本

          【2022年振り返り】 良かった本/Best Books of 2022

          2022年は92冊の本を読みました。 その中で特に良かった10冊+αを紹介します。 振り返り… 2022年は小説やエッセイを中心に読み、特に海外短編小説で良い作品に出会えました。ビジネス書以外を意識的に読んでいく中で、今は個人の日記や書簡、市井に生きる人々を描いた群集劇のような「自分とは違う」「同じ世界で生きる人びと」を感じられる作品に惹かれ始めています。 1.『円 劉慈欣短篇集』 劉 慈欣『三体』の劉慈欣による自選短篇集。収録されている13篇はバリエーションに富み、中国

          【2022年振り返り】 良かった本/Best Books of 2022

          【2022年】12月に出会った本/映画/場所

          12月は各方面の納会もあったので、日々楽しく忙しなくあっという間に過ぎていきました。本はすっきりした気持ちで新年を迎えるため、読みかけだったものをきちんとひとつずつ終わらせていく形で読み納めしました。 12月に出会ったものたちを感想とともに紹介します。 本『インストラクショナルデザイン 教師のためのルールブック』島宗 理 来年は「学ぶ」仕組みをつくることにもっと時間をかけようと、インストラクショナルデザインの本を読み始めた。内容的にとても簡潔でわかりやすく、さらに興味も

          【2022年】12月に出会った本/映画/場所

          【2022年】11月に出会った本/映画/場所

          毎月恒例の朝ごはん会で台湾料理「蛋餅(ダンピン)」に出会い、ときめいた秋。社内向け研修を作成をしていたこともあり読んだ本は仕事関係のが多めでした。 11月に出会ったものを感想とともにご紹介します。 本『ロジカル・シンキング』照屋 華子/岡田 恵子 20年ほど前の本。体系的に網羅されている印象で、教科書ぽい。 『新人コンサルタントが入社時に叩き込まれる「問題解決」基礎講座』松浦 剛志/中村 一浩 図も多く読みやすい。前から順に読むよりかは、部分部分を切り出して読むのが

          【2022年】11月に出会った本/映画/場所

          【2022年】10月に出会った本/映画/場所

          名古屋と高崎を訪問して美味しいものをたくさん食べた10月。運動不足解消のため新しい自転車も買って、アクティブな秋のスタートを切りました。 10月に出会ったものを感想とともに紹介します。 本『実力も運のうち 能力主義は正義か?』マイケル・サンデル 自分が実力だと思っているものも、すべては与えられた環境が良かっただけかもしれない。本人の努力ではなく、親の経済的な状況などがその後の進学やキャリア形成に多大な影響を与えるという話。功績(能力)で評価されるのは良いことで、それこそ

          【2022年】10月に出会った本/映画/場所