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【2023年】7月に読んだ本




『グレート・ギャツビー』スコット・フィッツジェラルド

1925年に出版されたアメリカ文学の代表的作品。SNSで偶然聴いて惹かれたラナ・デル・レイの「Young and beautiful」という曲が映画「華麗なるギャツビー」(2013年)の主題歌と知り、原作を読んでみた。ギャツビーが誰のため何のためにgreatでありたかったのか。刹那で享楽的な時代背景からくる登場人物たちの選択に、自身を共感させる楽しみ方は出来なくとも、哀しく虚しい読後感に浸る良い読書だった。

『首里の馬』高山 羽根子

沖縄の古びた郷土資料館で資料整理を手伝う傍ら、世界の果ての孤独な業務従事者たちに向けてオンラインでクイズ問題を読み上げるという仕事をする主人公。「孤独」「記録」「つなぐ」をテーマにした静かで独特な雰囲気のある物語だった。作中、上司が主人公について「様子のおかしいことを、きちんとおかしいと判断しながら、それでもしっかり受け止めて恐れない人」と評す部分があり、その一文にとても惹かれた。2020年の芥川賞受賞作品。

『小さな場所』東山 彰良

「あぁいうふうになったらおしまい」のお手本のような人たちばかりいる台湾の紋身街。そこで育ってきた主人公の少年・小武と個性豊かな大人たちの連作短編集。街に溢れるタトゥー屋の彫師たちやチンピラ、素性不明の探偵といった偏った大人たちは、小武に反面教師ながらも「生きる」とはどういうことかを教えてくれる。自身が池袋育ちだからか石田衣良著の『池袋ウエストゲートパーク』を思い出した。(しかしこの本にはマコトのようなスマートなトラブルユーターは出てこない)ストーリーも熱気溢れる紋身街の情景もとても良かった。

『ほろよい読書』 織守 きょうや / 坂井 希久子 /  額賀 澪 /  原田ひ香  /  柚木 麻子 

5人の作家達が「お酒」にまつわる人間ドラマを描いた短編集で、今年の梅仕事のタイミングで読書仲間の何人かに薦めてもらった本。それぞれの作風を生かしていて、どの作品も小気味よい。果実酒を漬けるのが好きな女性が出てくる『初恋ソーダ』から影響され、早速リンゴをブランデーで漬けてみた。美味しかった。

『ジャムパンの日』赤染 晶子

外国語大学を舞台に「アンネの日記」を題材にしたスピーチコンテストをめぐる『乙女の密告』で芥川賞を受賞し、2017年に早逝した著者によるエッセイ集。岸本佐知子との「交換日記」併録されている。飄々としたユーモアの中にどこかしんみりした印象が残る。装丁も素敵。

『メメンとモリ』ヨシタケ シンスケ

冷静な姉のメメンと情熱家のモリ。どこかで暮らす姉弟メメンとモリの3つのおはなし。すっころんで皿割るモリかわいい。生きる理由は毎日違ってたっていい。人は「思ってたのと違う!」ってびっくりするために生きる。ヨシタケさんらしい“生きる意味”の本。

『よるのえ』キューライス

学生時代(15年ほど前)に見ていた映像作家 坂元友介さんの現在の作品を見たくなり、検索をかけたところ「キューライス」名義で漫画家やイラストレーターをされていると知った。一日の終わりに訪れる、摩訶不思議な「よる」の世界。シュールな世界観のイラストに関係あるようでまったくないような、これまたシュールな物語が横についていて相変わらず良かった。

その他

研修作成のために読了
(再読)『心理的安全性の教科書』
『心理的安全性 最強の教科書』
『恐れのない組織』
『だから僕たちは、組織を変えてゆける』
『だから僕たちは、組織を変えてゆける ワークブック』

以上、7月に読んだ本たちでした。

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