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【2022年】5月に出会った本/映画/場所

5月の大型連休は実家に籠もって家族の好きな作品を見るNetflix三昧。
後半は、おすすめしてもらった企画展や誘っていただいた東京ディズニーランドに行ったりとよく出歩いていました。

5月に出会ったものたちを感想とともご紹介します。

『組織心理学 見るだけノート』山浦 一保

内容的には知っていることでも「見るだけノート」シリーズはまとめ上手なので、つい欲しくなる。スキマ時間にパラパラと読んでいた。

『野の医者は笑う 心の治療とは何か?』東畑 開人

“野の医者”とはスピリチュアルな民間療法で心やからだを癒やす人々のこと。沖縄に赴任した臨床心理士の著者がちょと怪しげな“野の医者”たちのもとで実際に治療を受けながら、臨床心理学と民間療法との違いや共通点をさがし「心を治療するとはどういうことか」「人はなぜ救われたと感じるのか」を考えていく本。
昨年のBEST本に挙げた『居るのはつらいよ』と同じ時期の話で、こちらも全体的にユーモラスに書かれているが、それも真摯に向き合い考えた自身の結論までしっかり読ませるための手法として良いなと感じる。

『銀河の片隅で科学夜話』全 卓樹

物理学者が語る、すばらしく不思議で美しいこの世界の小さな驚異。
海辺の波の律動の永遠性、流れ星はどこから来るのかの天空編から始まり、原子編、数理社会編、倫理編、生命編という広がりのある章立てで、科学の面白さを語りかけるように叙情的に伝えてくれる素敵な教養本だった。

『容疑者の夜行列車』多和田 葉子

13章からなる連作短編集。主人公を二人称「あなた」で表現し、夜行列車に乗って異国から異国への旅を描く。ひとつ選択を間違えればどこへ連れて行かれるのかわからないような不穏さと現実から膜を貼ったような不透明な空気が常に流れている。タブツキの『インド夜想曲』『レクイエム』のような〈奇妙な夢〉小説が好みなので、半醒半睡の世界を楽しめた。

『観光』ラッタウット・ラープチャルーンサップ

タイ系アメリカ人作家による短編集。先の『容疑者の夜行列車』がヨーロッパを中心に巡る肌寒い感じの話だったので、次は暑い国の話が読みたい(この本は全編タイが舞台)と選んでみたが、傑作過ぎた。
貧困、階級制度、難民、介護など重い題材をテーマとして扱う中で、どうすることもできない世界で生きる人々の怒りや悲しみが生命力から溢れ出す強い光とともに熱気に乗って運ばれてくる感じ。
著者が他に出している本はないのか調べたがこれ以外にはないみたい。残念。待ってます。

『色を奏でる』文・志村 ふくみ/写真・井上 隆雄 

『語りかける花』志村 ふくみ

上野駅内にある雑貨屋でセレクトされている本がとても良く、そこで出会った染織家の志村さんのエッセイ。
「ある人が、こういう色に染めたいと思って、この草木とこの草木をかけ合わせてみたが、その色にならなかった、本にかいてあるとおりにしたのに、という。私は順序が逆だと思う。草木がすでに抱いている色を私たちはいただくのであるから。それは草木まかせである。ただ、私たちは草木のもっている色をできるだけ損なわずにこちら側に宿すのである」
語りと姿勢の美しさに痺れた。

『今日は誰にも愛されたかった』谷川 俊太郎/岡野 大嗣/木下 龍也

詩人と歌人による3人の連詩(リレー式で短い詩・短歌を作り、皆で一つの作品を作り上げる創作方法)とその感想戦を収録した本。
1931年生まれの谷川さんと、1980年生まれの岡野さん、1988年生まれの木下さんがまるで師弟のように友人のように共に作品をつくり、語り合う。それぞれが自分の手順でなぜこうしたのかの思考のプロセスが知れて面白い。本書のタイトルも連詩の中からの一節。(皆でタイトルどうする?と話し合いここに落ち着くまでの話も載っている)

映画(番外)

Netflix 『ビッグファミリークッキング』 season1

2017年 イギリス

5月は映画ではなく、Netflixでイギリスの番組にハマって、シーズン1(全12エピソード)を一気見したのでその感想です。

『ビッグファミリークッキング』は、「イギリスで一番料理上手の家族」を目指して16組の家族が競う料理対決番組。
イギリスに住むさまざまなルーツを持つ家族が登場するので、イギリスやアイルランドの他にも北欧や中国、インド、中東など多種多様の料理が見られるのも楽しい。

審査基準として料理の出来だけではなく、チームワークやメンバーが楽しんでいるか、無難に収まらずクリエイティビティを発揮し挑戦しているか、なども重視していて、自身の普段の仕事の制作への「チームの在り方」を重ねて面白く見ていた。

対決内容も良く出来ていて、たとえば天性の味覚でスパイスを使いこなしオリジナル料理で称賛されていた家族が「レシピ通りにお菓子を作る」という課題では全然上手くいなかったりする。(型通りの作業になると途端に力発揮できなくなるタイプ)

料理中に家族で喧嘩を始めたり、誰かがヒステリックになったり、時間内に完成させることができないなどハプニングも沢山。「味がしない」「焼けていない」などプロでは絶対受けない評価なども飛び出るが、審査員のイタリア人シェフのジョルジオと料理研究家ローズマリーの厳しくも愛情あるコメントやアドバイスに最後はもう2人とも大好きになっていった。進行や応援を務めるサポーターの女性2人の存在も良い。

(シーズン2で審査員も対決方法も変わってしまったので、途中で止まっている。シーズン1の感じが好き)

場所

国立新美術館 展覧会 『ダミアン・ハースト  桜』

イギリスを代表する現代作家であるダミアン・ハーストは、30年以上にわたるキャリアの中で、絵画、彫刻、インスタレーションと様々な手法を用い、芸術、宗教、科学、そして生や死といったテーマを深く考察してきました。最新作である〈桜〉のシリーズでは、19世紀のポスト印象派や20世紀のアクション・ペインティングといった西洋絵画史の成果を独自に解釈し、色彩豊かでダイナミックな風景画を完成させました。

※  この企画展は5/23で終了しています。

国立新美術館ホームページより

以前、三菱一号館美術館でオディロン・ルドンの〈グラン・ブーケ〉の壁画を見て感動し「私、大きい絵が好きみたい!」と会社のメンバーに伝えたら、「大きい絵ですよ!」と教えてくれたので国立新美術館にダミアン・ハーストの桜を見に行った。

休日はだいぶ混んでいたようだが、平日の朝イチに行ったので人もまばら。大きな会場では密ではなくゆっくりと眺められるのは今の状況下ではベストなのかもしれないがなぜか少し物足りなく感じていたところ、遠くから見ていた絵の前にひとが立った時に「あ、これだ」と思った。この桜は大勢の見ている人も含めてちょっと後ろから眺めたほうが自分の記憶に焼き付いた気がする。人と展示空間について感じることができた良い経験。

東京ディズニーランド 美女と野獣“魔法のものがたり”

ダンスをするように揺れながら回転するライドに乗り、世界中で愛されているディズニー映画『美女と野獣』のストーリーに沿って、音楽とともにいくつもの名シーンをめぐります。

東京ディズニーランド  美女と野獣“魔法のものがたり”

すごい写真撮れた。合成みたい。笑 プレミアアクセス(アトラクションを時間指定で予約できる有料サービス)が始まったので、どんな感じかと平日に休みをとってディズニーランドへ。対象アトラクションの美女と野獣“魔法のものがたり”を体験してきた。

プレミアアクセスはざっくり言うと、2時間待ちが2000円払えば5分になりますよ。というような感じ。今入場チケットはオンライン販売のみなのでほとんどの人がアプリにクレジットカードを登録しているので、手続きはスマホですぐにできる。購入後はQRコードが表示され、指定した時間になったら搭乗するアトラクション入り口横の機械に読み込ませると優先的に案内されるシステム。

ランドもシーも行くときはだいたい詳しい人と行くことが多いので任せきりだが、パーク内の移動距離も考えて「何に時間を割いて何には割かないか」の効率の良さと気持ちの満足を考えた戦略づくりと変化する状況への臨機応変さに毎回本当に尊敬している。

美女と野獣のアトラクションは、お城が立つエリアから家や橋など物語に登場する世界がすごく細かく作り込まれていて気持ちを盛り上げ、プレショー(アトラクション前の演出)も良かった。全体的に没入感がすごい。そしてなによりベルがかわいい。

以上、5月に出会ったものたちでした。






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