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はじめてのきぐるみ制作レポ

非・ケモナー、同人と裁縫のオタクでケモノとは無縁の女が着ぐるみを作るにあたり参考にした情報や、失敗した工程、失敗した方法、失敗した買い物などなどを簡単にまとめておきます。


まえがき

着ぐるみの制作にあたってHoshinoさんの「ハーフスーツ着ぐるみヨナキイヌの作り方本」に大変にお世話になったため、こちらの本ありきの記事となっています。全体を通しての詳しい作り方の解説などはなく要所要所のやってみたレポです。

主に自分が実践した際の失敗についてまとめていますが、当然ながら本への指摘や補足などではなく、本当にすべてが「本の通りにやらなかったら失敗した」「横着するやつはここで失敗した」という情報です。この記事で作り方本がいかに優しく正解を教えてくださっているかが伝わるかと思います。
ズボラが作るとどんな穴に落ちるのか、後の人のためにまとめておりますのでどうぞ回避にお役立てください。

この記事だけで作り方がわかるというものにはなっておりませんので、今から着ぐるみを作ろう!という方は「ハーフスーツ着ぐるみヨナキイヌの作り方本」をご購入の上でご覧ください。

筆者について

推しぬい自作ブームにのっかりぬいぐるみを作っていたため、ファー生地やミシンなどの扱いはある程度慣れていました。その他、ものづくりに関しては一般的同人女スペックです。

  • ぬいぐるみを作るのは得意

  • ものづくりは大雑把で速い

  • ケモノ知識なし、現実の動物ペット全般苦手

  • 身内にスターフォックスのオタクがいる

オーダーで作ったぬいぐるみ
かわいいね!

制作前の準備

情報収集

きぐるみってどうやら自作できるらしいな……ということを知ってから制作に至るまではまた別記事にする予定ですが、まず最初にはじめたのは情報収集です。
始める前も制作中も、わからないことが出てきた時のおすすめの検索方法は以下の通りです。

  1. Xで専用のアカウントを作る

  2. 着ぐるみを自作している人を無差別に大量フォローする

  3. フォロー中のユーザー」で絞り込んで検索する

この方法で「ヘッド」「ヘッドベース」などの単語で検索すれば制作過程のファーを貼る前の状態の画像がヒットしやすいためかなり参考になります。
「ハーフ」「kigfurry」「アルミパンチ」などなど、界隈以外でも使われている単語を調べる際や知らない専門用語があった際はこの調べ方が概要を掴むのに最も簡単かと思います。

また、日陰工房アドベントカレンダーにもお世話になりました。
制作手法そのものへの解説は少なめですが「こういった制作手法をこの方がFANBOXでまとめている」といった、初心者が辿り着きづらいクローズドな情報や海外のサイトまで網羅されており参考になります。

ハーフスーツ着ぐるみヨナキイヌの作り方本」では「キャストライト」と呼ばれる比較的造形に用いられるのが珍しい素材を用いるため、その単語を使っているアカウントのツイートを片っ端から漁るのもとても助けになりました。記事のリンクやBOOTHの購入ツイートなども足掛かりになります。

キャラデザと造形のイメージ

完成までモチベーションを保つためには人を巻き込んで制作するのが吉です。デザインは前述の身内の代理キャラクターを拝借しました。
スターフォックス好きの友人らとスマブラの実況をやっていたらしく、その時に描いていただいたものということ。元のイラストレーターさんに本人から連絡してもらい着ぐるみ化の許可をいただきました。ありがとうございます。
ご友人にもちょこちょこ制作ついて情報をいただき助かりました。

端尾さんのイラスト

こちらのデザインをもとに、着ぐるみにするための正面図を書き起こします。犬が苦手なこともありマズルへの解像度が著しく低く、ここで描いた横顔はなんの参考にもなりませんでした……。
この犬の名前は身内のHNそのままで「すず」です。代理とかアバターのような存在のケモノキャラクターを界隈ではファーソナと呼ぶそう。

お借りしたデザインをもとに最初に制作した設計図

顔をイメージしつつ、制作の大まかな方針を決めていきます。
生来雑な性分で制作中に怪我をすることが多く、ウレタン切削はメジャーっぽかったものの早めに選択肢から外していました。
リアルな動物っぽさよりも、キャラクター的に正面からみた顔のかわいさを重視したかったため、作例が一番理想に近かったHoshinoさんの「ハーフスーツ着ぐるみヨナキイヌの作り方本」に添った制作をすることに決めました。

材料の調達

肉球の布はぬいぐるみ界で大人気、比較的新しい商品のおもちボアを強くお勧めします。トーエの出しているぬいぐるみ向けの生地で着ぐるみでも使用されている方はいらっしゃる模様。
かなり伸縮性があるため多少縫い方が荒くともワタをたくさん詰めればもっちりした形になってくれます。

ぬいぐるみ制作で中華系の布など薄手のボア系をいろいろと試してきましたが、ソフトボア系の布を買うならトーエ(グッズプロ)は高品質で色のバリエーションが多くダントツでおすすめです。
本に載っている布に欲しい色がなかった場合など、第2の選択肢になるかと思います。

安く作るために海外通販も使っていこう!ということでデカめのセール期間だったAliexpress経由でもいろいろ購入していたのですが、商品説明が翻訳では掴みきれず欲しかったものと違うものを買ったり、がっつり不良品を引いたりもしました。
安物買いの銭失いをちゃんとやってる。

メインのファーは思った通りのものが届きましたが、まだ他の着ぐるみの方を見たことがないのでこのタイプで合っていたのかはいまひとつわかりません。購入したのはいずれもポリエステルです。

メインの薄茶色は160x100cm、毛足4cm
模様の白っぽい部分は30x50cmをバラで3枚、毛足は2.5cm

もさもさ

レビューに着ぐるみの写真があったのを決め手にしました。
薄茶色はもう1セット手を作れそうなほど残り、白はちょうど使い切ったのでまあまあ丁度良い量でした。

布以外の素材はほとんどダイソーで揃えています。

おやつも買ってスタートこのお値段

ダイソーは在庫検索の公式アプリがしっかりしており、あらかじめ商品コードで在庫を確認しておけるのがかなり助かります。

購入した商品は以下の通り。太字が百均で買うのが特にコスパが良かったなと感じたものです。

  • EVAスポンジシート

  • PET窓ガラス用シート

  • 粘着布テープ

  • 発泡マネキンヘッド

  • 手貼りラミネートフィルム

  • 超軽量工作ねんど

布テープは最終的に5巻使用しましたが、主に原型に迷走しまくった際に消費したため迷わなければもっと少なく済むかと思います。柔らかめで縦に裂けるものが細かい部分に使いやすく好みでした。
PET窓ガラス用シート(ミラーフィルム)は問題なく使用でき、かなり余りました。
EVAスポンジシートは工作用ボードという括りで厚みや色にもバリエーションがありました。ホームセンターなどで似た製品を買うよりもかなり安く、価格差が大きい商品でした。
ねんどは乾いたらがっつりヒビ割れました。ヒビ割れにくいものが本では紹介されていたのでそちらの方が良さそうです。
手貼りのラミネートフィルムはのりの透明度があまり高くなかったため、最終的には使用しませんでした。

その他はメルカリ、Amazonなどなど通販で揃えました。元々裁縫趣味なこともあり縫製に使う基本的なものは揃った状態で始めています。
実際に使った材料、道具は最後の購入品、使用品まとめにて記載しています。

いざ制作

ケモ手の制作

この作業が最も気が狂いそうになりました。パーツが揃ってからの最後の組み立てだけでも片手で1日ずつかかっています。

指先に立体にするため、かつ爪を入れるためのダーツが入りますが、ここに爪を挟み込む角度を間違うとあらぬ方を向いてしまいます。
数学で出てくる展開図がまったく直観的に理解できなかったタイプの方は焦らずに、クリップで仮止めや仮縫いをしてきちんとひっくり返した時の見え方を確認して縫うことをおすすめします。
私みたいなのは確認しながら縫っていても間違うのですが。

失敗、爪の角度がおかしい

前述のおもちボアは肉球部分だけに使用するのがメリハリがあっておすすめです。上下ともに同じ布にしたところ可愛くなかったので爪の形などデザイン含め作り直しに。

布を変えて作り直し

ぬいぐるみの服を作ったあまりの白いファーを見つけてきたものの、百均のもので質が悪く、縫ってもほつれるわ毛が抜けるわ、ペンで書いたラインが透けるわ。
一度失敗して気が急いてしまい、二度目から肉球をすべてフリーハンドで縫っていたのもよくありませんでした。当たり前ですが型紙はきちんと布へ写して、一定の幅で縫い代を付けるべきです。
当たり前すぎて誰もこんなことは言っていないので当たり前をせずに失敗した写真をたくさん載せておきます。よくない例として参考にしてください。

失敗、挟み込む位置が適当なため爪の高さが揃わない
失敗、ラインが透ける
失敗、毛先だけ縫って地をこぼす
お手本よりも簡略化しているのに集中力がもたない

綿入れ口を手縫いで綴じる作業をミシンで縫ったところと寸分違わずできる器用な方なら良いのですが、そうでない場合は中央よりの位置を口にしておくと左右非対称になりにくく粗が目立ちにくいかと思います。

粗を隠すためにワタを入れすぎて握り込むことができなくなるなど、残念な出来栄えとなりましたが、弟のテンションが爆上がりしていたのでなんとかモチベーションを保てました。

目の制作

お手本はまるいアイなのですが、四角いタレ目を作ろうとアレンジして後まで尾を引く不具合をたくさん作りました。
まず初めに悪い癖で仕組みを簡略化しようと思い、始め手貼りのラミネートシートにレーザープリントを転写して層の数を減らして制作しようとしました。

オタクが透明トレカとかを作る古典的な転写です

しかしラミネートの透明度が足らず、ミラーフォルムを貼ったところ、プールの底から太陽を見上げたときくらいの混濁した視界となってしまいました。

これはダメだと本の通りの素材を購入。
ラミネートの機械は持っていなかったのと、前述の転写で手貼りのラミネートの透明度に不安があったため、挟み込むラミネートをなくして白版をシール用紙で作りコーティングとなる部分を省略しました。

・OHPフィルム
・白版(シール)
・ミラーフィルム(シール)
この3層でなんとか前の見える目になりました。

また、お手本と異なり目の形が四角なため一番外側に当たる角膜の部分は球体を使わず平らな板を貼っています。サラダの蓋を切り出して使いました。

目がかなり沈んでいる様子

後述の額とこのサラダの蓋のせいでまぶたを貼る段階で毛並みに対して眼窩が低すぎて困ることに、多少丸ではない形でも無理して球体を貼った方が良かったような気がします。

また、フィルムで作った目をスポンジシートでぐるりと囲う際に、フィルムの上にシートを立てる形が接着しやすいのですが、この場合シートの厚み分目が小さくなってしまうので気持ち大きめに作るのが良いかもしれません。

こちらの仕組みのアイはマジックミラーの仕組みで視界を確保しているため、暗いところで角度によりミラーフィルムが反射します。
白版によって見え方が変わるため、本で解説を参考にいくつか試作しても良いかもしれません。
自分の場合は目がそもそも小さめなため、視界確保のために白版が白目と下の黄色いハイライトのみにしており光る面が多めの仕上がりです。明るいところで撮影するのが◎です。

暗いところではギラギラ

ヘッド原型の制作

原型制作は迷走しているうちにサイズが大きくなってしまったのが後悔です。顔が大きくなっていくと、最初に作った目が相対的に小さくなってしまうのが陥りやすい問題かと思います。
最終的に、アイラインを長めに引くという人間では一般的な詐欺メイクでバランスを取りました。

作り始め、マズルがさっぱりわからない
立体を見る目がないので写真をとって書き込みを繰り返していました
今から見るとケモノというより人間っぽすぎる横顔
とにかく口周りがわからない
口元のωがない

マズル周辺の造形は特に苦労しました。鼻のすぐ下が上唇であることを意識して少しマシになった気がしますが、ボーダーコリーらしい長さは表現できませんでした。

パーツを貼ったり書き込んだり完成イメージを掴もうと足掻いています

最終的には以下の動画のような形で完成、鼻周りは細かく裂いたガムテープを下から上に伸ばしリフトアップするように貼っていくとゴワゴワしたシワになりにくいです。

振り返っての反省点は以下の通りです、当てはまる場合修正しておいた方がのちに楽かも。

  • 額を盛りすぎる

    • 人間的な横顔で言うと額が丸く出ているとよく見えがちなので盛ってしまいましたが、結果的に目を奥に下げてしまうことになります。額から目までの間に傾斜があると瞼を後付けする際にも角度がついてしまい陰になりやすく避けた方が良いかと思います。眉間の彫が深くて良いのは人間だけ!

  • 鼻の上のラインが高い

    • 元の作り方本でも修正のやり方が記載されている点です。自分の場合はマズルから額にかけてが白い模様なこともあり原型の時点の印象以上にマズルがふくらんで見えてしまいました。横顔もかなり不細工になってしまっており、正解を掴みきれていないので難しいですが鼻上のラインがもさくなっていないかは常に意識した方が良さそうです。

  • 迷ったら凹にしておく

    • マズルなどは型取り後に粘土を盛って調整ができるので、迷うなら少なめ、小さめで作って足してあとから粘土でバランスをとることをおすすめします。目は大きめに作っても後から布貼りで小さくできる、顔は浅めに作っても粘土で盛れるなど、迷ったときは後からリカバリーしやすい方で進めていくのはどの工程でも大切です。

  • 絶対歪んでる

    • 目が慣れてくるとわからなくなってきますが絶対歪んでます。型取りしてこんな歪んでんの!?と仰天することになるのでできるだけこまめに写真を撮って平面で見るなり、人の目を借りるなどして歪みをなくしていきましょう。下から見るとマズルの左右のズレがわかりやすいのでこまめに下から見て調整するのを意識していました。

前述の通りずっと見ているとどうしても見慣れてしまい歪みが解りにくくなってしまうのですが、一度キャストライトと間違えて買った石膏ギプスで型取りをしたところ造形が新鮮に見れました。そうとでも自分に言い聞かせるしかない。
石膏自体は扱いやすい素材で型取りとしては十分ですが、弾性がないためパキッと折れてしまいそうで、布を貼ったり着脱したりといった負荷には耐えれそうにありませんでした。

恐怖!ミイラお面

キャストライトも石膏テープもギプスで探していると出てきてしまうので海外サイトから買うときは翻訳にお気をつけください。
キャストライトも類似品を海外から購入してみたのですが、到着時点で既にに硬化した状態でとどき返品する二度手間になりました。科学反応ありきの材質は国内での購入をおすすめします。

キャストライトによるヘッドの型取り

キャストライトは多くの人にとってあまり見慣れない素材かと思います。本でも解説されている通り、時間勝負の素材です。巻き方の順序など、あらかじめ入念なイメトレをしておくことをお勧めします。
こちらのツイートの情報が本当に助かりました、絶対に知ってからスタートしてほしいです。

先人のツイートにとても助けられたため、自分も少しでも情報を残そうと3人がかりでパニックになっている動画を恥を忍んで載せています。イメトレの参考にしてください。

動画内でサワーペーパーと連呼していますが質感は近く、ちょっと伸びるけどすぐに元に戻ってしまうネトネトリボンです。そしてどんどん固まっていきます。
ハサミをもって切って置いてとしているとかなり厳しいため、初心者は可能なかぎりハサミ係を用意して臨むと良いかと思います。

ゆがゆがの顔面

剥がした時点だと本当にこれで良いのか……!?と不安になる仕上がりですが切ったり粘土で埋めたりと大整形することでなんとか形になりました。
新聞で作った原型をマネキンから外して、机に置いて作業する過程でどうしても原型の輪郭まわりが緩んでしまうなと感じました。型取りの時は意識してタイトに小さく巻いて、あとから足りない部分は粘土で盛ってバランスを取るのが良さそうです。
私の場合は一番外側のぐるっとまいた外周が大きすぎたためハサミでカットしました。布以外を切るのはあまりよくないですが裁ち鋏などデカくて強いハサミだと硬化後も切りやすいです。

整形後

仕上げの布貼り

後頭部の内側に嵌め込む形で前面を接着してしまったため、軽く段差ができてしまいここは紙粘土で埋めました。
首毛も上手くいかず作り直したのですが酷い失敗すぎて記憶がなく、情報を残せず申し訳ありません。

この段階めちゃくちゃホラー

顔に模様があるため、簡単に型紙を作って切り出してから貼っていきました。厳密に模るのは難しいため、遊びを持たせた状態で接着しては切り、伸ばして接着を繰り返しました。主にグルーガンを使って大枠を貼り、細かい模様やふちの部分は熱くない接着剤を細い棒や手につけて貼っています。

頬の模様部分
仮置き、ねむくて目が開かないみたい

コツなど無いのかと必死に探しましたが、自分の手で帳尻を合わせていく以外に特にありませんでした。切って貼る、伸ばす、貼る、切る。
目の周りは目よりも小さいくりぬきを作ってから大外を貼り、余分な部分はカットし、またギリギリの縁を綺麗に貼ると言う流れで進めています。
鼻を起点に毛流れが外向きになる様にダーツを入れています。ダーツを入れずとも、スリッカーブラシで丁寧に梳かすと毛流れはその通りになってくれたのでここはあまり気にせずとも良かったような気がします。

額の模様は白い布を細く切りすぎたため茶色の布との間に少し溝ができてしまったのですがあまり目立たず済みました。長毛ファーは多少の粗は誤魔化せると信じてざくざく行きましょう。

まろ眉は縫うか悩みましたが、パーツが小さく縫い代がごわっとしてしまいそうだったので茶色をくり抜いて同じ形の白をその場に接着しているだけです。

鼻起点で貼っていく
すべて貼り終わったところ、目がすごく小さく見える

途中、あまりの毛むくじゃらっぷりに恐ろしくなってきますがバリカンでラインが出てほしい部分を刈ってアイラインや鼻など暗い部分を足していくと顔が締まってきます。
邪魔な消したいもさもさが飛び出たところに0mmをあてていき、眉間と目の下のライン、鼻周りをおもに刈り込んで形を出していきました。頬から飛び出す毛は残って欲しかったので顔の外周は触らず、顔の中心から外側にかけて長くなる様にアタッチメントを変えて軽くカットしています。
もっと刈り込んでも良いのかもしれませんがあまり良い布でもないのでほどほどにしました。

鼻とアイラインを張り付けられると急にきりりとします

耳の制作

もう力尽きていたので本ほど丁寧に出来ず、かなり雑に作っています。
まず、新聞紙と内側の辺にだけ針金を貼り付けて簡単に形を見ます。

髪と針金で仮置き

そうするともうこれでいいんじゃ?という気がしてきたのでもう一つ同じものを作り、グルーガンで直接布を貼っていきます。根元のみ、かがり縫いで縫い付けなければいけないので破れない様にスポンジシートを帯の様に入れています。

縫い付けてから折り曲げる
もさもさ

するとファーの毛並みで仮置きよりも大きい印象になってしまうため、バリカンで側面を中心に刈り込みます。耳の内側は布が足りず、端切れを寄せ集めて接着しましたが、折り込んでしまうので目立たずに済みました。

たち耳だとキツネっぽい

折りの角度など机の上に置いてみていてはイメージしきれない部分もあるので、たまに家族に被ってもらいました。実際に被っているところを見て毛並みのボリューム感などを調整しています。
顔横の毛はセットしてウィッグ用のハードスプレーで固めてしまっても良いかも、と悩み中です。

首がくすぐったくて顎を持ち上げているおかん

その他、細々した部分

ハイライトをいれると一気にキャラクターっぽさが出ました。
口周りは鼻とアイラインと同じフェルトをωのラインに沿って貼り付けています。

下ハイライトは良い

ハイライトはシール用紙だと少し透けてしまったため、紙粘土を薄く伸ばして型抜きしました。若干の厚みがあります。

鼻は紙粘土で作ったベースに伸縮性のある薄めのフェルトを貼り、裏側に巻き込んで接着しています。THE DOGのぬいぐるみの様に合皮で作りたかったのですが手元に硬めのものしかなく諦めました。

目の周りがモサモサしているとおじいちゃんぽくなってしまうことに気がついたので、瞼のパーツはほつれ止めを塗ってから毛先をカールさせて固め、かるくセットしました。眉間も少しほつれ止めを使っています。また、眼窩が深く角膜の部分に接着はできませんでした。布の上にそのまま布だけでは綺麗につかなかったので裏にスポンジシートを貼って芯にしています。

カールさせて固めた状態、このあと毛先をカット

机に置いて作業していたためか、後頭部がぺたんと潰れた状態でクセがついてしまいました。原型の制作時に浅すぎたのかもしれません。装着時になにか詰めるべきか、スポンジシートを追加するか……など悩みが残ったままです。

ぺたんこの後頭部

余談で、着ぐるみに限った話ではありませんがファー生地を縫製する際にステープラーでの仮止めをよく使っています。
ファーやボアは中表にするとズレやすくまち針ではうまく止まらない時などに便利です。あまり分厚いとうまく止められませんが、ファスナーを縫い付ける時の仮止めなどにもおすすめです。
着ぐるみのように体に触れる場合は怪我につながりますので、後からかならず針を取り除いてください。

完成?

そんなこんなで、なんとなく完成しました。
内部の細かい調整や装飾などは残っていますが、着用者と会うまでお預けです。

ソファーに生首

お洋服を考えるのも楽しみ。
少し先になりますが、また調整した際には細々と追記していきます。

おまけ制作

目に見えて大変な作業が待っている時、なかなか着手したくなくて駄々を捏ねてしまう時間もあります。
制作中は他のものも同時進行で作って気分転換をしていました。

マズルの理解のため練習に絵を描いてみて、それを刺繍したり

さっぱりわからない
刺繍した、白目を忘れている

弟が自分の作業中手持ち無沙汰にしているのでイベントで使えないかとポーチを作らせてみたり

小学生の持ち物っぽくてかわいい

ブランケットステッチは初心者でもリカバリーがしやすいのでちょっとした工作にはもってこいです。ポーチにするパートは流石に弟には難しいので裁縫の得意な別の家族に外注しました。

これを下げてイベントに行きます

あとは、3Dプリンターも使えればいいのにな〜とスカルプト講座を見始めたり

てかてかしたワイン

色々気晴らしをしながら製作していました。

かかった時間・金額など

制作期間

8月17日から制作を始め、10月頭にはおおよそ作り終わることになりました。着用者に合わせての細かい調整や服などはまだまだ残っていますが、ざっくりヘッドとおてての制作は1ヶ月半程度でした。
仕事の合間の制作でしたが、9月には三連休が多かったおかげでまとまった作業時間が取れたのが大きかったです。

Xにはリアルタイムに進捗を上げていたので各作業の時間が気になる場合はタイムスタンプなどをご覧ください。

購入品、使用品まとめ

制作にあたり購入したものは以下の通りです。失敗したので結果的に買わなくてよかったものも含まれています。

ヘッドと手でかかった金額

2万円以下ということで、事前に調べていた~5万円という予算感よりはかなり抑えめに作ることのできた印象です。
裁縫に関して一通りの設備があったため、購入したのは主に材料で、道具の購入はほとんどありませんでした。1から道具から揃えると5万前後といった額になってくるかと思います。
新規で購入していないけれど制作で少しでも使用したものについては以下の通りです。

  • 職業用ミシン

    • 主に後頭部のファスナー付けや、ケモ手の直線部分など

  • アイロン

  • 裁ち鋏

    • ファー生地はほとんどこれ

  • 糸切りバサミ

  • 普通のハサミ

    • キャストライト作業で一本お亡くなりになりました

  • カッター

  • バリカン

    • 家庭用、野球部が坊主にするのに用いていたもの

  • 定規

  • ロータリーカッター

    • 布よりもスポンジシートを切るのにつかっていました

  • たくさんの新聞紙

  • マスキングテープ

  • グルーガン

    • 異なる素材をくっつける場面が多いためかなり便利です

  • ピンセット

  • ほつれ止め筆ペンタイプ

    • 毛流れを固定したいところにちょっと塗ると便利

  • ワイヤーマネキン

  • フェルト

  • 裁縫上手(布用接着剤)

  • 針金

    • 尻尾や耳の芯として

  • ステープラー

    • まち針の代わりとして仮止めに

  • シール用紙

    • 白版と型紙に使用しました、黒い布や柔らかい布を扱う時は型紙を写すのが億劫なのでシール用紙に印刷して貼り付け紙ごと切ると楽です

  • Procreate

    • 下絵や印刷データなどはだいたいプロクリで描いていました

太字が特に必要そうなものです。ミシンを使用できる部位は持ったよりも少なかったため、ハーフスーツの場合は手縫いだけでも可能かもしれません。特に肉球は凹凸の曲線を縫い合わせていく工程が多く、手縫いしていくしかない部分がほとんどでした。

あとがき

とにかく作り方本の通りにすれば良かったのに……!という部分ばかり、横着と回り道で生きています。
たくさんの先人の情報に助けられながらの制作だったため、初心者が材料費をケチった胡乱な制作でどうなるかという一例として長々と書き残すことにしました。この記事も着ぐるみインターネット情報の肥やしとなることを願っています。
不審な進捗アカウントでしたが、リアルタイムでも制作中にアドバイスをいただいたり、かわいいよ!と言っていただいたり、様々な方にお世話になりした。本当にありがとうございました。

なんとか目標としていたはつじゅー会までに完成できたので、お洋服も準備して、今後イベント参加したり反省を活かして2体目を作ったり……していければなと思っております。この記事を見てくださった方と、どこかでお会いできたら幸いです。

最後に、Hoshinoさんと星猫日記ハーフスーツ着ぐるみヨナキイヌの作り方本」に重ねて多大なる感謝を、ありがとうございました!


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