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EM有機栽培、基本の基。農場での作業紹介。その1「ボカシ作り」

有機栽培で家庭菜園をやっている程度の農体験から、サンシャインファームで働き始めた頃、こんな疑問を持っていました。

EM有機栽培って、どんなことやってるの?

普通の有機栽培と何が違うの?


で、かれこれ丸4年。

本格的に栽培に関わりだしてからは、まだ1年ですが、この疑問にも自分なりの答えが見えてきました。


そもそも「普通の有機栽培」というものは無く、有機だろうが、慣行農法だろうが、農に関わる人の数だけ様々な栽培方法があり、それは哲学ともいえるような、どこまででも掘り進められるもので、知識と経験、失敗と反省、時にはひらめきに基づいた工夫によって成り立っています。


そんな数ある栽培方法の中、EM有機栽培は天然由来の有機資材とEMと呼ばれる微生物群の力を借りて、美味しい野菜をたくさん収穫することを目指します。土壌にかかる負担を減らし、環境を整えていく効果も期待できるなど、微生物の力をしっかり効かせられれば、イイことずくめの栽培方法だと感じています。(まだ入り口に立ったばかりですが。。)


ということで、サンシャインファームでは栽培を進める中、EM(微生物群)をあらゆるところで使います。

具体的に微生物がどう使われているか、サンシャインファームの作業を紹介しながらまとめていけるように、「EM有機栽培、基本の基。サンシャインファームでの作業紹介。」というシリーズを書いていこうと思います。


今回はその1「ボカシ作り」です。

何はなくとも、まずボカシ。」で、軽くふれましたが、土づくりでも使うボカシ(アミノ酸系肥料)は、農場で仕込んだ自家製です。


土づくりの他にも追肥で使うボカシもあり、サンシャインファームで仕込むボカシは3種類。

一つは米ぬかとEM活性液で作る1型と呼ばれるモノ。

一つは魚粉や油粕など他の資材も加えた2型と呼ばれるモノ。

もう一つは鶏の餌に混ぜるためのモノ。

栽培に使用するのは1型と2型で、主に1型は土作りに、2型は追肥に使用しています。この使い分けは栽培品目にもよりますが、コストも大きく関係します。

1型よりも2型の方がコストがかかるので、ボカシを大量に使う土作りには1型を使うのです。(大量といっても、堆肥などと比べると10分の1程度ですが、農場全体では1トンほど使っています)

ですが、特に果菜類など、実を採る野菜たちにはリンが必要で、1型だけでは十分に供給されず、リン・カリウムを含む2型ボカシが追肥で活躍します。

少し大雑把ですが、窒素は茎と葉、リンは花と実、カリウムは根っこに効く成分だととらえて、状況に応じて必要な成分を施していくイメージです。


では1型の作り方を。


1型のレシピはいたってシンプル。

材料は、「米ぬか」・「EM活性液」・「糖蜜」。

米ぬか10kgに対してEM活性液が2.5ℓ(米ぬかの25%)、糖蜜は75ml(EM活性液の3%)。

一度にだいたい100kgの米ぬかを使って、約125kgのEMボカシ1型を作ります。この仕込みを8〜9回行い、約1tのEMボカシを秋作の土作り前に作るのです。

大量に作るので、手作業では間に合いません。

コンクリートを混ぜたりする大きなミキサーを使って、約40kgずつ仕込みます。


まずは糖蜜をEM活性液によく混ぜて、微生物たちのエネルギー源に。活性液をさらに活性化させます。

そしたら米ぬかをミキサーで回しながら、活性化EM活性液をジョウロでかけていきます。この時ダマ(固まり)ができないように、気をつけます。

上手く混ざると、手で握るとかたまるけど、崩すとすぐホロホロに崩れる状態になるので、あとはビニール袋に10kgずつ入れて、よく空気を抜き、シーラーでしっかり封をします。


畑に入れる時に運びやすく、キリのいい重さにまとめて、空気との接触をできるだけ無くしたいので、試行錯誤の末、このカタチに落ち着いています。

空気との接触を避けるのは、EMの微生物たちが空気を嫌うから。(酵母・乳酸菌・光合成細菌の内、酵母以外は嫌気性といって、空気が多い環境だとうまく働かない。酵母はどちらでもOK!)

あとは、袋に仕込んだ日にちを書いて(これ重要)仕込みは終了。

嫌気性発酵が進み、米ぬかがボカシへと変身していきます。


1型を仕込むのは真夏(発酵温度は25℃〜35℃、低くても20℃は必要)になるので、発酵も活発。約1ヶ月寝かせれば(できれば45日)、完成。

他の資材と一緒に畑に入って、土作りするのを待ちます。


ボカシの作り方も様々ですが、EM有機栽培では、この嫌気性発酵によって作られたEMボカシを使用します。


このボカシが未熟だと、土の中に増えて欲しくないモノまで増えたりして、不具合の原因になるので、仕込みは早めに段取り良くを心がけています。

この記事のイメージ画像が表紙になっている、EMを使った家庭菜園向けのフリーペーパー「育てて楽しいEM家庭菜園」にもEMボカシの作り方、それを使った土作りについて詳しく載っています。

コスタビスタ沖縄の「暮らしの発酵STORE」でも無料配布してるので、機会があれば、ランチに寄った時にでも、手にとってみてください。

「暮らしの発酵STORE」では、サンシャインファームの野菜も販売してます!


微生物の不思議な働き「発酵」。

EM有機栽培ではボカシなどの肥料を作る時だけでなく、いろいろなところで「発酵」利用します。

「EM有機栽培、基本の基。サンシャインファームでの作業紹介。」シリーズ、次は土づくりを紹介します。







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