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触覚過敏とその関わり


今回は触覚過敏を持つお子さんに関わる際に
どのようなことに気を付ければよいのかについて。

・シャツのタグが気になって仕方がない
・帽子や靴下を身に着けたがらない
・歯磨きを嫌がる
・髪を切る、爪を切ることが苦手
・のりや粘土を使う時、感触が気になって仕方がない

触覚の過敏さを持っているお子さんは、常に警戒態勢な子も多く
情緒が不安定になりやすかったり、すぐキレる、すぐ泣くといった形で、感情表出してしまうお子さんも少なくありません。

皆さんの周りにはそんなお子さんいらっしゃいますか?

結論から言いますと

①安全安心の保証

②自分で触れる体験から

③徐々に触れられる体験も

この3点を大切にしています。

①安心安全の保障

やはりまず第一に安心と安全です。
触覚は情緒の安定と密接に関わっています。
私たちはみな子供の頃に、母に触れ、身近な人に触れ、やわらかな手触りや包まれる感覚の中で安らぎを感じ、安定した情緒を獲得します。
安定した情緒があり、心に余裕があるからこそ、目の前の活動に集中でき、成功体験を積み重ね、自尊心が育ちます。

何をするにもまずは安心と安全の保障を心掛けることで、「この場所なら落ち着ける」「この人なら近寄られても平気」という関わりの土台を作ることが大切です。

お子さんの特性に合わせて、安心材料は何か見極め、セラピーや普段の生活でそれらを保証してあげましょう。

例えば、セラピーで合間合間にお母さんとハグして褒めてもらいながら行うことで安心感の中で活動ができます。また、クッション等にギュっと包まれるような圧迫刺激も安心感に繋がると言われています。

お母さんとのハグによる安心感


クッションの圧迫による安心感

お子さんによっては、この①安心と安全の保障を何年も時間をかけてじっくり作っていくような関わりも珍しくありません。それほど重要で、これなくして②や③の関わりは成り立たないものだからです。

②自分で触れる体験から

もし、安心と安全の保障ができてきた際には、次にどんな遊びをどうやって提供していくかになります。
まずは急な話ですが、みなさん「ハサミ」を想像してみてください。

まずは自分のポケットから取り出す場面。
次に見知らぬ人から手渡される場面。

2つの場面で受け取り方が全然違って感じませんか?
実は人は、自ら意識して触れる場合と無意識に誰かから渡される場合で感じ方が変わるシステムになっています。
※よく「識別系」と「原始系」と言われます。

つまり、受け身的に触れた方がより「こわくて」「警戒して」「過敏に」感じやすい特性があります。

このため、原則はじめは誰かに触られたり、触らせられたりといったことはせず、自分で触るところから始めます。

はじめは好きな遊びから始めることが原則ではありますが、もし慣れてきた際には、シャボン玉や粘土、小豆や砂といった感覚遊びの中で様々な触覚を感じてみることがいいでしょう。
これも手を拭けるタオルや、好きな玩具、母や身近な人といった安心材料がそろった状態で導入できることが望ましいです。

シャボン玉を使った活動


粘土を使った活動
砂を使った活動


小豆を使った感覚遊び


慣れた人と楽しい雰囲気の中で、徐々に自分から触りに行けるような促しを心掛けましょう。

こういった関わりの中で徐々に触れられる物や場面が広げていけるといいですね。


③徐々に触れられる経験も

触れる遊びも経験してみたら、信頼関係のあるセラピストや先生から、ハイタッチ・頭を撫でてもらう・おんぶ・抱っこといった触られる経験もしてみましょう。

これらは「原始系」と呼ばれる受け身の刺激ですから、くれぐれも無理はせず、トラウマにならないような十分な配慮が必要です。

「この人だったら触られてもいいかな」と思わせる雰囲気づくりと関係性づくりが大切です。


ハイタッチで褒める関わり
頭を撫でて褒める関わり


こうして徐々に対人関係のしやすさにも繋げていく関わりが望ましいです。

大人との関係性づくりから始め、子供同士の関係性に広げていく。

ここが本当に難しいところではあるのですが

最近ですと例えば、遊びの中での子供同士の関係性づくりで
「順番を守りなさい」といった指導をするのではなく、
「今○○くん上手にブランコ乗れてたね。すごいね。」と周りの子に伝え、それを言ってもらうような関わりをすることで
周りの子が触覚過敏を持つお子さんを褒めてくれて、子ども同士が仲良くなったケースがありました。

そういった事の積み重ねの中で、触覚過敏のお子さんが、安心して遊べるようになり、触れられる物や場面が増え、友達付き合いも上手になっていく。そういった支援をしていけるといいですね。


いかがでしたでしょうか。
今回は触覚過敏を持つお子さんとその関わりについてまとめてみました。

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ぜひ次回も楽しみにしていてください
少しでも発達障害児やその支援に関わる人たちの利益に繋がりますように。
ご愛読ありがとうございました。









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