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【感情爆発】遣る瀬ない気持ちになるダークミステリー小説

どうも!
年間100冊を読む社会人6年目のハルカです😊

最近読んで「感・情・爆・発」した激推本!
ダークの中にも「優しさ」を感じさせる
不思議な小説を紹介します!

イノセント・デイズ/早見和真

【あらすじ】
彼女はなぜ、死刑囚になったのか?極限の孤独を描き抜いた衝撃の社会派ミステリー。

田中幸乃、30歳。
元恋人の家に放火して妻と1歳の双子を殺めた罪で、
彼女は死刑を宣告された。
凶行の背景に何があったのか。
産科医、義姉、中学時代の親友、元恋人の友人、刑務官ら彼女の人生に関わった人々の追想から浮かび上がる世論の虚妄、
そしてあまりにも哀しい真実。
幼なじみの弁護士たちが再審を求めて奔走するが、
彼女は…
筆舌に尽くせぬ孤独を描き抜いた慟哭の長篇ミステリー。

【こんな人におすすめ】
・ダークな気持ちになりたい
・心を震わせたい
・ハッピーエンドで終わらない小説を楽しみたい
・「あの時こうしていれば」と後悔したことがある
・ちょっとしたミステリーを味わいたい

⚠一部、ネタバレと解釈を含め感想を述べます。
ネタバレ嫌な方は戻ってください!

このキーワードにピンときたら読んでみて!


【感想】
全てを知った今、なんとかできなかったの?
と遣る瀬無い気持ちに包まれた。
とても悔しくて悲しくて虚しい。
でもどこかほんのり優しさを感じた物語だった。

本書を読んで、
私は「自分を守るために...」がテーマなのではないかと感じた。
「その先を想像すること」もまたサブテーマのように思う。

物理的(死刑=法律)、心理的(正義=感情)という
対象的な中で話が進み、
正しさとは一体何なのか迷子になった。

本書は、章によって語り手が変わる。
「あの時こうしていれば」
というタラレバが各章で散見され、
1人1人の行動・選択の連続が幸乃の心を壊していく。

なんで誰も本当のことを言わないの?
守らないの?
覚悟がないの?
とムカついた...。

ただ一方で、
人間らしい「自分を守るため」の行動が垣間見られ、
正直共感してしまう部分もあり
少し胸焼けしそうになった。

俯瞰的にみたら、
幸乃自身も自分を守る行動をしていたのではないだろうか。
幸乃にとって「自分を守ること」は、
「誰かに必要とされること」。
だから幸乃のセリフはいつも
「うん」「いいよ」「わかった」
と受け入れることでしかなかった。
※病気で未来が見えないという理由もあるが

死刑判決が下された後、
過去関わってきた人たちの視点で各章話が進む。
読んでいくと、どの人たちも、
幸乃の前では良い意味でも悪い意味でも、
人間らしく、自分らしく過ごせるから、
幸乃の優しさ(幸乃にとっては過去の傷)に
甘えてしまってるように感じた。

これもタラレバだが、
もし幸乃がいなかったら、
各章の人たちは悲惨な生活を送ってたんじゃないかと思う。
幸乃の存在は、
実は幸乃が感じている以上に大きくて温かいもの。
( 誰か言葉にして、行動にして、守ってあげてよ😢)

「もし本当に私を必要としてくれる人がいるんだとしたら、もうその人に見捨てられることが恐いんです。」
死刑執行前の幸乃の言葉。

信じたのに裏切られた時の心の傷は、
想像以上に深い。

いっその事信じなければ苦しまない、
という幸乃の気持ちに共感できる人もいたはず。

生きてたらいつの間にか噛み合わない世界にいた幸乃を、守りたくなった。

もし幸乃みたいな子が存在して、
私の近くにいたら、
きっと甘えて依存してしまいそう...(笑)

本書に登場する人物たちは、
誰も「その先」の生活は想像せず、
今と周りの目だけをみて生きている。

過去のトラウマに囚われて、
未来に恐怖を感じ、
今を不安と共に生きる幸乃もまた無慈悲。

守りたい、大切だと思う人に対しては、
その先の未来を想像して、
うざがられても、おせっかいでも、
踏み込む覚悟を持ちたいと思った。

※イノセントは、純粋、無垢、無実という意味。

読んだ後に、
感情の揺れがすごすぎて、
一気に感想を書いたが、
まだ鼓動がバクバクしている...。

とにかく、本書は読んでよかったと、
自信を持って言い切れる!

是非読んでみて🙌✨




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