見出し画像

社労士のお仕事④ 給与計算

鹿児島で社労士をしています原田です。
社労士のお仕事いろいろの第4弾です。

第1段はこちら↓

給与計算です。小さな会社から、大きな会社まで給与計算を代行します。
間違いがあればクレーム殺到、きちんとできても誰からも感謝されないという総務の業務の中で最も不条理で、かつ必ず全ての企業でやらなければならない業務です。

社労士事務所だけでなく、税理士事務所やコンサルタント等で給与計算の代行を行っています。労基法や協定書・就業規則に基づく労働時間の判断や社会保険の届け出の連動等から見れば社労士が相応しく、所得税・住民税・年末調整・各種法定調書等から見れば税理士が相応しいと言われたりします。

1.給与計算の概要
給与計算業務のおおまかな業務内容は
①勤怠チェック
②入退社確認
③社会保険料、住民税等確認
④賃金計算
⑤住民税集計
⑥所得税集計
⑦明細発行
です。年末調整や源泉徴収票の発行や住民税の異動届等も関係ありますが、「社労士のお仕事」としては税理士法に抵触したりするので除外します。

①勤怠チェック
タイムカードや出勤簿の集計があります。打刻漏れがあるようでは労働時間の集計が不可能です。打刻の集計と残業時間の集計が正しいかを確認します。

就業規則や労使協定で定める労働時間を考慮した上で、法定外時間外なのか法廷内時間外なのかで集計を判断します。簡単なようで簡単ではありません。

自動集計システムが入っている場合は、打刻漏れだけなので簡単なようですが、シフトが入り組んだ企業の場合は、そのチェックも大変です。別個でチェックツールやチェックシステムを活用する場合もありまs。

②入退社確認
入社した方は、氏名や年齢や社会保険料等の設定、退職された方は退職金や最後の保険料や住民税等の設定が注意する部分になります。

社会保険や雇用保険等の取得・喪失手続きとも関連性が出てくるので、入退社の確認ができることは、社労士事務所として手続き漏れを防ぎやすくなり、大きなメリットになります。

給与締め日以外の入退社で、日割り計算が行われるので、個別の手当等についてもどう判断するかが注目されます。

③社会保険料、住民税等確認
入退社時は当然に確認できますが、
・手当や基本給の変動による月額変更
・3月前後に変更される社会保険料率
・4月から変更になる雇用保険料率
・6月(稀にそれ以外にも突然変更の通知が来る)から変更される住民税
・9月から変更になる社会保険料
・1月前後の年末調整額
は毎年発生する変動なので、要注意です。「○月の給与」から変更なのか、「○月分の給与」から変更なのかが、少しの違いですが実は非常に重要です。

④賃金計算
いよいよ労働時間、残業時間、労働日数から賃金計算を行います。
事前のチェックが全て問題なく行われていれば、単純に「計算ボタンをクリックするだけ」という話になりそうですが、現実はそんなに簡単なものではありません。

・過去の支給や控除に関する変更が発生した場合はどういう処理をするのか
・給与台帳を利用して登録される会計帳簿との連動はどうなるのか
等の対処が必要になるケースがあります。

また、売上インセンティブや移動距離に応じた手当等の特殊な計算を行うものが含まれていたりします。

⑤住民税集計
住民税を納付する市町村毎に集計します。納付額と集計額が一致すればいいのですが、一致しないということは、届け出漏れか変更漏れがあることになります。

また届け出日とのタイムラグによって、市町村からの請求に間に合わない場合もあります。それに対してどう対処するかは、経理財務担当との事前申し合わせやその時々の判断になります。

⑥所得税集計
所得税の特例措置を行っている企業であれば半年毎、特例に該当しない企業であれば、毎月の所得税集計が必要です。

給与額が正しいことも重要ですが、納付額が正しいことも重要です。

⑤⑥は支払日が同一月内に複数ある場合は、合算することになります。

⑦明細発行
最近はスマホで閲覧できる明細にデータを送信するだけの処理で完了する場合もありますが、多くは明細を発行することになります。

専用の用紙を使うにしても、明細書を封筒に封入するにしても、人手で解決するしかない面倒な仕事です。特に人数が多いと大変ですが、大変な業務だから委託業務として成り立つ面があります。

給与計算の代行は、非常に大変な業務です。その上間違うことで顧問契約を解除される危険性さえあります。そのため社労士事務所として給与計算を絶対にしないと明言している事務所もよくあります。

人海戦術的な面も強い業務ですし、毎月多くの目からチェックされる業務なので、安易にはできない業務ですが、社労士の重要な業務として取り組むべき業務のひとつだと認識している部分はあります。

この記事が参加している募集

#仕事について話そう

111,024件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?