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社労士的就業規則の作り方 15

鹿児島で社労士をしています原田です。

 「やっぱり就業規則だよね」ってスタバでイチゴのフラペ飲んでるJKの間で話題だという噂を耳にしたような気がするぐらいに注目の就業規則の作り方です。

ここでは厚労省モデルを使って、社労士が就業規則に対してどうアプローチするかを案内しています。


第6章 賃金 第33条~

賃金の概要

(賃金の構成)
第33条 賃金の構成は、次のとおりとする。

モデル就業規則 令和5年7月版 厚生労働省労働基準局監督課
賃金の構成


 賃金規定として独立した規定にする場合も多い賃金です。従業員が注目する部分でもあり、実態に合っていないといけない重要部分です。

 上記のような構成図を示すパターンが多いのですが、必ず図が必要というわけでもなく、文章だけで表現している場合もあります。
基準内賃金(割増賃金の基礎になる賃金)、基準外賃金(割増賃金の基礎にならない賃金)で分ける場合もあります。
 個人的にも両方使っていますが、何か明確な基準があって使い分けているわけではありません。


基本給

(基本給)
第34条 基本給は、本人の職務内容、技能、勤務成績、年齢等を考慮して各人別に決定する。

モデル就業規則 令和5年7月版 厚生労働省労働基準局監督課

 中小企業では、こういう書き方をすることで、いわゆる「何でもあり」の基本給にしていることが多いです。
等級表や基準があり、中途入社の等級基準が明確に示されている場合は、そのルールを記載することになります。

 反対に等級表があったとしても、入社時の賃金額がどの等級でどの号棒になるかは人によってその都度判断している場合は、上記の書き方の方が正しいことになります。

 モデルの解説に最低賃金との関係を記載していますが、付け加えるとしたら、割増賃金の基礎になる手当と基本給の合算で判断するので、基本給が安いから即座に最賃法違反になるわけではありません。


家族手当

(家族手当)
第35条 家族手当は、次の家族を扶養している労働者に対し支給する。
① 18歳未満の子 1人につき 月額 〇円
② 65歳以上の父母 1人につき 月額 〇円

モデル就業規則 令和5年7月版 厚生労働省労働基準局監督課

ここからしばらくが手当の話になりますが、企業によって様々な手当があります。介護福祉では処遇加算手当だったり、営業だとインセンティブや営業手当だったり、業務手当や職務手当のように推測不明な手当(払ってる方も何で手当がついてるか知らないことも・・・)もあります。

 ということで、最初は家族手当です。

労基法上の「割増賃金の基礎から除外」できる手当のひとつですが、
家族がいなくても出るような内容だと、全員出る金額部分は割増賃金の対象になります。
(「扶養家族がいる場合は〇円、いない場合は〇円」とか)

 モデルに昔あった配偶者の部分が消えており、解説にも配偶者手当はやめた方がいいような書きぶりなので、企業の考え方としても今どきは微妙です。個人的には健康保険法上の扶養の範囲であれば、出してもいいと思います。これは主観です。

 子や親の扶養家族についても、
・大学生の子まで認めるのか?(22歳、院卒だと24歳)
・健康保険上の扶養にすると、ニートの30歳の子も入ってしまう
・18歳未満の子だと、4月生まれは高校3年の4月で18歳なんだが・・・
・元官僚で月20万以上年金を受給する親が入ってしまう
・10人の子がいても手当×人数分の手当を付けるのか
等のように会社として誰にどうやって出したいかを事前に決める必要があります。

 また明確な決まりは確認できませんが、個人的には家族を持つことで生まれる責任感の向上への期待や、子だくさんを推奨する意味や、家族を得たことで生活上の不利にならない配慮等から生まれたものだと推測しています。

 そのため、どうしたいかは会社の意思なので、安易に決めたりせずに、どの範囲でどのくらいを定めるのかは慎重に考えなくてはいけません。


 こちらは社労士目線で作る時の話であり、モデル規則の解説に書いてあることには、あまり触れていません。併せて参照して理解することが必要です。

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