社労士的就業規則の作り方 14
鹿児島で社労士をしています原田です。
社労士3人集まれば、3回に1回は話題に出るという噂が聞こえてきそうな予感がしないでもない就業規則の作り方です。
ここでは厚労省モデルを使って、社労士が就業規則に対してどうアプローチするかを案内しています。
第4章 労働時間、休憩及び休日 第30条~
いわゆる特別休暇
慶弔休暇は、法的に付与義務はありませんが、ほぼ全ての企業の就業規則に記載されています。親族が亡くなっても葬儀に行かせないとか、昭和の時代でもありえないので、当然といえば当然。
それぞれの日数については、後述しますが、モデルの記載内容では「トータルで〇日休める」「連続〇日休める」と両方の解釈ができるので、1週間の休みを想定する場合は、完全週休二日制なら5日と記載するか、連続7日と記載するような記載が望ましいでしょう。
また、規定時には、
・休暇の起算日
・変更の余地
を記載する場合があります。死亡でも初七日や四十九日の法要を重視する場合もありますし、婚姻でも期間を置いてから取得したい場合もあるでしょう。また、常識的にはありえませんが、取得していないからいつでも使えると解釈されるのも困ります。
①「結婚」の場合は7日が多いです。これは会社の考え方次第です。結婚したから必ず旅行に行くわけでも無いので3日程度にしてある場合もあります。また、子の結婚で1日設けている場合もあります。
②「妻の出産」については、育児介護休業法の改正等により、夫の出生時育児休業(いわゆる産後休業相当の期間に当たる夫の育児休業)の取得は産後8週間後から始まる育児休業とは別に取得できることが、既に法律上の権利となっており、給付金の対象にもなっているため、慶弔休暇や特別休暇としての必要性が乏しくなっています。規定されている場合は、検討されてもいいでしょう。
規定されている場合は、1日又は3日が多いです。
③④「親族の死亡」については、日数の目安として、近親者では喪主として初七日まで休まれることを考慮して7日。遠縁者なら1日~3日が多い。遠縁者の場合は、実際に葬儀にも出ないで単なる言い訳に使われることも想定すれば、一律で長くするわけにはいかないのが、付与する立場の心情でしょう。
モデルでは記載されていませんが、叔父叔母・孫等の三親等程度まで拡大している場合が多いです。
人によっての関係性は分からないので、祖父祖母や兄弟姉妹に多大な思い入れがある場合もあるでしょうが、そこは年次有給休暇と合わせて対応するしか無いでしょう。
この休暇については、有給の休暇なのか、無給の休暇なのかも検討が必要。無給の場合だと「休む権利があるだけ」の規定になります。その場合はこの理由に限定して時季変更権の無い休む権利があり、欠勤が処罰や懲戒の対象にならないこととなります。
私傷病時の休暇制度
私傷病で働けない場合に「それでも出てこい」は、既にパワハラと言われる時代です。
こちらについては、あまり定めている規則は見たことがありません。これは治療と仕事の両立が新たな制度目標となっており、厚労省からも
「事業場における治療と職業生活の両立支援のためのガイドライン」https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/001225327.pdf
が公表されたことが影響していると思われます。
定めた場合は、休職制度との整合性や、有給・無給の区別等も記載した方がいいでしょう。また前条と同様に、私傷病の場合は「休む権利がある」と解釈されるので、定める場合の程度をどのぐらいにするかを考慮する必要があります。
裁判員に選ばれた場合の休暇
モデルの注釈に書いている通り、選ばれたら休ませなければならないので、休暇として取り上げています。これを「休業」として扱う場合もあります。
裁判員として選出された場合は、1日で8千円~1万円(午前中のみだと減額される場合有)の日当が出るので、裁判員休暇を有給にする必要はありませんが、多くの場合は休むよりもらえる日当の方が安いので、文句は言いたくなるでしょう。
企業としては公務だからと言って、働かない人に賃金を払うという合理性が無いので、賃金については公平性や役割の重要性に応じて判断するべきでしょう。
こちらは社労士目線で作る時の話であり、モデル規則の解説に書いてあることには、あまり触れていません。併せて参照して理解することが必要です。
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