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社労士的就業規則の作り方 16

鹿児島で社労士をしています原田です。

 就業規則を作っている人へのアンケートで、「就業規則作ったことありますか」で100%のYESをもらうぐらいに大人気な就業規則の作り方です。

ここでは厚労省モデルを使って、社労士が就業規則に対してどうアプローチするかを案内しています。


第6章 賃金 第36条~

通勤手当

(通勤手当)
第36条 通勤手当は、月額〇円までの範囲内において、通勤に要する実費に相当する額を支給する。

モデル就業規則 令和5年7月版 厚生労働省労働基準局監督課

 通勤手当は残業の基礎にならず、更に所得として課税されない場合がある特別な手当です。非課税枠は事業所への距離によって税法で決まっているので、その金額を参考にして金額を決めている事業所が多いです。

国税庁HP マイカー・自転車通勤者の通勤手当より

 上記の表は、あくまでも「マイカー・自転車通勤」の際の手当額なので、公共交通機関による通勤をされている方は、「最も経済的かつ合理的な経路および方法で通勤した場合の通勤定期券などの金額」分が非課税と定められています。現実的に定期代等であれば、極端な場合を除いて大丈夫でしょう。

 通勤手当は支払い義務があるわけでは無いので、定めていない企業もよくありますし、どこから来るかは本人の自由だということで、廃止する企業も時々あります。無くす場合は不利益変更なので、別の対応が必要になります。

 また、地方では求人のために通勤手当は出さないが、送迎車を出す企業も増えています。

 通勤手当は残業代計算の基礎にはなりませんが、そもそも個別にかかる会社経費であり、更に労働保険料や社会保険料の算定額として含まれるので、ちゃんと会社負担分が増加します。
 同じ程度の能力であれば、近い人の方がコストが安いという話も出てきますので、考慮する際には企業としてどう考えるかが重要な手当ですが、ほとんどは安易に決めている場合が多いです。 


いわゆる役付手当・役職手当等

(役付手当)
第37条 役付手当は、以下の職位にある者に対し支給する。
部長 月額〇円
課長 月額〇円
係長 月額〇円
2 昇格によるときは、発令日の属する賃金月から支給する。この場合、当該賃金月においてそれまで属していた役付手当は支給しない。
3 降格によるときは、発令日の属する賃金月の次の賃金月から支給する。

モデル就業規則 令和5年7月版 厚生労働省労働基準局監督課

 いわゆる管理職になった時に出る手当です。
印象として、課長職ぐらいまでは、企業の大小に関わらず、意外にそこまで高くないことが多いように感じます。手当が少ない場合は、賞与が手厚かったり、等級表の昇給ピッチが高かったりすることもあります。

 本来の管理監督者に該当する場合もあるので、そうなると残業代が無くなります。それによって年収が下がるのに責任が重くなるようでは、誰も管理職になってくれません。

 また大手企業や金融機関等では、役職定年制を敷いていることが多く、その年齢は55歳や60歳到達に設定されており、その時点で役職が無くなります。それはすなわち役職手当の支給自体が無くなることになります。
 企業の新陳代謝を早めることや、関連会社や協力会社への出向・転籍や早期退職を促す目的にも使われていますが、一定程度以上の手当額にしなければ、逆にその効果は低くなります。


 こちらは社労士目線で作る時の話であり、モデル規則の解説に書いてあることには、あまり触れていません。併せて参照して理解することが必要です。

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