敗者だから伝えたい こうして会社は倒産しました 20
~激しくなる銀行交渉~
体験した実話の倒産劇。何かの参考になれば幸いです。
前回までのあらすじ。売上アップのために尽力しました。
いよいよ倒産間近の話になります。書き漏らした話もあるような気がしますが、思い出したら追記します。
バンクミーティングとリスケ
資金繰りが苦しくなると、金融機関とリスケ(リスケジューリング)と言われる交渉を行います。よくあるのは、
・元本返済の凍結(しばらく利息だけしか払わない)
・利息の減免
・支払期限の延長 等
ですが(他にもあります)、一般的に営業赤字だと門前払いされます。
私の会社は5つの金融機関と取引があり、リスケだけでなく、新たな融資もお願いしたいという厚かましい話をするため、取引銀行を集めてバンクミーティングによって、新たな支援をお願いしようとしました。
実際中小企業主導でバンクミーティングなど段取りも手段も分からない上に、各行のリスクマネジメントの観点から見ても、相手にしないのが、当たり前の銀行だと思います。しかも営業赤字ですから。
(今になって思えばの話です)
そのためバンクミーティングの開催自体は本来実質不可能ですが、この時は中小企業再生支援協議会(現在は役割を拡張して中小企業活性化協議会になっています)の協力を得てようやく協力にこぎつけました。今だと体制も大幅に変更されているので協議会経由でもかなり難しいと思います。
交渉のネタとして今後の事業計画が必要になるので、必死に作成した記憶があります。本当は作成に専門家達が協力してくれるはずだったのですが、結果的にほとんど自分で作っていました。
手形融資は銀行報告を義務付けるための手段
新規融資については、いわゆる短期転がしと言われる手法で、1カ月満期の手形を切ることになりました。
つまり数年に渡って元本と利息を返済することが一般的ですが、とりあえず利息だけ繰り越せばいいという条件の代わりに、1カ月間だけの手形を切らせる。
翌月には手形で全額返済しなければ、不渡り→倒産になるので、手形の切り替えをお願いしないといけなくなります。
手続き的には、
・融資相当額の新規融資をもらって手形分を返済
・新しい同額の手形を切る
という感じになるので、必ず毎月銀行に状況報告を行って、手形担保融資の交渉をすることになります。
達成されない計画に怒り始める銀行たち
今になって思えば、改革の方向性は合っていたのですが、その手段が間違っていたことは理解しています。(具体的には誤解を受けやすいので言いませんが)。
そのため計画通りになっていない報告を毎月繰り返すことになります。
銀行の反応は、
・怒って罵倒する
・冷ややかな対応をする
・穏やかに他行の様子を聞く
の3パターンでした。
冷ややかな対応もきついですが、やはり罵倒されるとメンタル的にもかなりきつい部分があります。
時には人間性も否定するし、経営者として無能と断じるし、まともに聞いていると堪えられないので、途中から聞いてるふりをしました。
中学生時代に先生に目をつけられて、頻繁に怒られたことで編み出された「反省してるふりして実は違うこと考えてる」という技能が役に立った瞬間です。
ただでさえ資金繰りが苦しいことは異常なストレスですが、それに加えて暴言を食らうと、生きる価値を失いそうになります。
倒産社長が伝えたい経営の教訓
「資金繰りが厳しくなったら生命保険を解約しなさい」
これは再生支援協議会案件になった時に最初に命令されたことでした。大した額でも無かったので、もしもの時に備えて確保しておきたかったのですが、再三に渡って強制されて解約しました。
資金繰りが限界に来ると、内外から圧倒的なストレスがやってきます。生命保険は、そのストレスから自分以外の存在を守ってくれるものだと思い込んでしまうことがあります。
企業再生の事業をされている方も、再生困難案件に遭遇した時には、理由を説明してもどうせ納得しないので、強制的に生命保険の解約をさせて下さい。それが人の命を守ることがあります。
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シリーズ1回目はこちらからです。
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