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『HRBP CRUNCH #02 失敗談から学ぶ戦略人事』イベントメモ

DeNAさんが開催するイベント『HRBP CRUNCH』の第2回に参加してきました。

自分用メモをとっていたのですが、学びがとても多かったのでせっかくなのでnoteにまとめてみました。

ちなみに、第1回のイベントレポはこちら。

HRBP CRUNCHについて

・伝えたいメッセージ「事業に資する人事は強い」
・イベントを通じてやりたいこと「人事から世の中の事業を強くする」

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パネラー

對馬 誠英(ツシマ マサヒデ)さん
株式会社ディー・エヌ・エー
執行役員 COO室 室長

菅原 啓太(スガワラ ケイタ)さん
株式会社ディー・エヌ・エー
ゲーム・エンターテインメント事業本部 組織開発部 部長

山下 裕大(ヤマシタ ヒロオ)さん
株式会社ディー・エヌ・エー
ゲーム・エンターテインメント事業本部 組織開発部 HRBP

ファシリテーター

坪井 一樹(ツボイ カズキ)さん

HRBP導入の背景

2013年当時のDeNA

 ①事業=組織の多角化による調整難易度の向上
 ②新規事業本部長登用によるレベル感のばらつき
 ③(当たり前に起きる日々の戦略変更)

→強力な”調整弁”の必要性が高まっていった。

對馬さん:架空の組織図を書いたときにHRBPに配置したのが、各事業部長/リーダークラス。それくらい決裁権もってやれるクラスの人じゃないと対応しきれないと考えていた。

菅原さん:對馬さんからHRBP異動のオファーを半年ごとにされた。2回断ったが、3回目で「三顧の礼」だと考え受諾した。

對馬さん:部長クラスを異動させるのは社内の反対もあり、短期的には事業成長とのトレードオフの議論になったが、「DeNAは人と組織で伸びている会社でしょ」と交渉して押し通した。

<HRBP体制の確立>
・事業・経営のパートナーとして、人・組織軸で成功に貢献する意思決定を行う
・組織と個人を深く理解し、最善の提案を自発的に行う
・組織・人材マネジメント観点で事業部と信頼関係を築いている

HRBP導入後の反応

山下さん:事業部の人はHRBPのこと知らないので、最初は現場キャッチアップに必死だった。事業部のMTGのファシリテーターとかからスタートした。事業マネージャーにとっては、組織サーベイとかやってくれる便利な手足が増えたくらいの感覚だと思う。HRBPとして何をしたらいいのかわからないところからスタート。

菅原さん:当時は事業部側としても、HRBPに何を期待していいかわからない状況だった。事業部側、HRBPが話ながら何をやるべきなのか探っていった

「信頼関係」の失敗談

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「ただの御用聞きHRBP」
「全部巻き取りHRBP」

山下さん:困っていることはなんでも代行する→重宝される→気持ちよくなってくる、仕事してる感がある笑

對馬さん:良かった点としては、タレントマネジメントの密度があがったこと。組織課題、人材評価などの情報は上がってきやすくなる。

山下さん:反省点は、御用聞きするためにHRBPがいるわけではないということ。御用聞きとしてHRBPが全部教えてあげるが故に、HRBPがいないと組織が成長しない、マネージャーが育たないという環境になってしまった時期があった。御用聞きを脱して、真のHRBPにならないといけない。

對馬さん:半期単位でHRBPとして何を実現するべきなのか、を経営者と握っておくことが重要。事業成長のレバレッジが効くところに時間を割くべき

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教訓:現場の感謝だけで満足しない。戦略人事を志すべし!

「経営理解」の失敗談

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「事業と全社のバランス」(異動調整編)

山下さん:当時、Eコマースの若手エース課長クラスを引き抜くことがミッションで、Eコマースのマネージャーからは「人抜き屋」と呼ばれていた。
本来、事業成長をさせるのがHRBPの役割なのに、自部署の若手エースを引き抜くのがミッションになってしまってバランスおかしくなった時期がある。

山下さん:大事なのは「焦って引き抜かないこと」。日常から事業マネージャーと、人の成長やキャリア、異動の話をしておくことが大事。

菅原さん:ビジネスパートナーなのに、ある時逆サイドからぶつかって対立する時がくる。絶対事業マネージャーと対立することはあるので、その日のために「信頼残高」を貯めておくことが大事。

山下さん:反省としては、事業の成功ではなく、エースを異動させることが目的になってしまっていた。

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教訓:「事業の現在」と「経営の未来」どちらを優先すべきか向き合うべし!

「HRBPの人材開発」の失敗談

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<HRBPに求めること>
 -1.事業ラインの管理職と同等水準の事業理解(△)
 -2.ヒト・組織の変化にビンビン気づく力
 -3.適切な打ち手を考える力
 -4.打ち手を適切に実行する力(★)
 -5.相手を選ばない信頼関係構築能力(★)
 -6.社長並みの全社目線(△)
 -7.えも言われぬ人間力

菅原さん:一年前にHRBP12名でセルフアセスメントやったら(★)は高い、(△)は低いという結果になった。人事畑出身のHRBPが多いと、ヒトや組織の領域はいけるが、事業理解が弱くなりがち。

菅原さん:この一年は1と6が上がるように意識的に取り組んできた。人事系の情報は自然と入ってくるので、ビジネス系、経営系の本を読むなど、プライベートの情報のとり方を変えた。

坪井さん(ファシリテーター):DeNAのHRBPに入って驚いたのは事業側のMTGへの参加割合が高いこと。。MTGの75%が事業側、HRは25%くらい。それくらい事業理解を重要視している。

菅原さん:事業側の勉強や理解が事業部メンバーの信頼に繋がる。HRBPが自分の言葉で、中期経営計画や戦略を語れるかどうかはひとつの基準かもしれない。

對馬さん:HRBPとして入社したがフィットせずに辞めたメンバーも多々いる。採用や育成などは得意だが、「事業を理解する、事業に貢献する」というのが腹落ちしきれない人は合わなかった。

山下さん:あとから入ってくるHRBPのフォローは大事。ゼロから立ち上げてきた先輩HRBPのやってきたこと=HRBPのできること、という期待値がある。ただ、あとから入ってきた人はそのクオリティでいきなりは出来ない。あとから入ってきた人が活躍できるオンボーディングは大切。

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教訓:誰にでもできる仕事ではない、フェーズにあわせた工夫をすべし!

「HRBPの組織開発」の失敗談

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HRBPの属人化(担当の長期化と引き継ぎ)

山下さん:事業成長させる上では、HRBPの仕事がある程度属人化するのは必ずしも悪いことだとは思っていない。立ち上げからずっとやってきたので、HRBPのレベルを超えてしまっているところがでてくる→自分以外に引き継ぎしづらくなってしまうというのはある。

菅原さん:HRBP一人でやらないように意識している、チームで人事をやる。最近はメインとサブでやるようにしている。

<メインとサブにする理由>
1.育成目的
:「人は仕事で育つ」→周りからのフィードバックやフォローアップがある、お互いがフィードバックしたり、フォローアップすることで人が育っていく
-2.複眼:人事には正解がないことが多々ある。練度を上げるために、複数人の観点でやったほうがいい

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教訓:チーム制によって属人化を解消すべし!

QAタイム

Q:100名〜規模でHRBPを入れる場合、どんな人を入れるべきか?
對馬さん:経営感覚をもって語れる人:人事の仕事は経営者がやるべきことを人事が肩代わりしている
菅原さん:仕組みを作れる人:200-300人になると目が行きとどかない人がでてくる→仕組みで解決するしかない

Q:HRBPと人事の担当領域、役割分担は?
山下さん:集約メリットがあるかどうか。新卒採用みたいに集約メリットがあるものはHRBPではなく人事でやった方がいい。経営や事業マネージャーがやるべきことを肩代わりすることで事業にレバレッジを効かせることができる領域はHRBPが担うべき。

イベントに参加しての感想

キレイゴトとしての「戦略人事」ではなく、ビジネスパートナーとして、事業成長のための組織づくり、HRBPとしてのパフォーマンスの追求をめちゃくちゃ考えて実践して、試行錯誤してきたというのがディスカッションから伝わってきた。

これが正解だ!というものはなくて、自社にとってのHRBPを定義する必要があるし、それはフェーズによっても異なる。ある程度変わることを前提として柔軟に対応できないといけない。

人事側、HRBPだけが頑張るのではなく、経営陣や事業部メンバーの理解も必要だし、一緒に作っていく必要がある。

これからHRBP体制に移行していく予定のナイルとしては、今後ぶつかるであろう課題感をあらかじめ学べたのは大きな収穫だった。

最後に:HRBP募集してます

DeNAさん、HRBPを募集しているらしいです!

ナイルでも各事業部の1人目HRBPを採用してます。一緒にHRBP体制を作っていってくれる方を募集してます!

Twitterで情報発信してます


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