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【展覧会レポ】響きあう名宝 曜変・琳派のかがやき展:静嘉堂文庫美術館

静嘉堂文庫美術館に「響きあう名宝 曜変・琳派のかがやき」展を見に行きました。

曜変んんんんん

新しく丸の内に引っ越ししてきた静嘉堂文庫に、はじめて行きました!
行ったのは12月はじめだったのですが、この前日にぶらぶら美術館で本展を取り上げていたせいで、事前予約は満席。
さらに、ボリューム層が中高年だったからかネット予約を知らず、わざわざ来たのに入れなかった人もたくさんいたようです。入口ですごすごと帰る高齢者。ちょっとかわいそうだった。


お目当ては曜変天目のぬいぐるみ

お目当てはもちろん曜変天目。と、そのぬいぐるみ!
一部界隈で話題となっていた曜変天目のぬいぐるみ(ちょっと何言ってるかわからねえと思うが…わたしもわからねえ…)がぜひほしくてお迎えに来たのです。

しかしあまりの話題性で在庫はとっくになくなり、しかもハンドメイド品だということで予約も一時中止とされております(12月現在)。がっかり。でも待つぜ。だって曜変はいままで何百年もこの日本にあったんだし、多分わたしは曜変がこの世からなくなる前に死ぬ。だから少し位は待てる。笑
※ちなみに、この件についてTwitterでくだを巻いたところ、ミュージアムグッズ作成を担当された会社eastさんが拾ってくださり、早く再開できるようかんばりますとのお言葉をちょうだいしました。申し訳ない。でも、心強い限り。

曜変ぬい実体験

曜変ぬいの見本をそっと手で包んでみると、ちょっとわたしの手にも小さいくらい。こんな小さな茶碗だったのかと改めて感じる。静嘉堂文庫に納められている曜変は3つあるうちの稲葉天目というもので、かつては岩崎小弥太氏が所有していたが、「天下の名器、私にもちうべからず」として自分一人が楽しむために使うことはなかった、とのこと。
このエピソードほんと好き。
絵画でも骨董でも、コレクションってのはこれくらい高潔で公共精神がある人間がするのがふさわしいのだと思う。
でもわたしだったらちょっとくらい…ってお茶飲んじゃうかな。。笑

ひっくり返して高台も見る。表面にかかる黒い釉薬のたっぷりした縁が、高台ぎりぎりまで迫っているが、高台部分はテラコッタのような素地が見えている。
実物だと、茶碗の下半身(?)はなかなか見られないから、こんな感じなんだ!とびっくりした。
見込みのポツポツはプリントで表現されていて、これもけっこう再現度高かった。。
なんというか全体的にとってもかわいい。なんで茶碗をぬいぐるみにしようと思ったのか全然わからないけど、天下の名器を自宅に持って帰って、フワフワした曜変を好きな時に好きなだけ手のひらに包んだりできるなんて想像しただけで幸せになれる。なんならちょっとしたお菓子入れとかにしたりしたい。
今すぐしたい!!!!
早く再販にならないかなあ……

高度に洗練された文化

そうそう、「付藻茄子」もよかった。一度は戦乱でバラバラに砕けたものを、家康が当代随一の職人に頼んで復元してもらったらしい。見た目はちいさくて地味な茶入。どこにでもありそうな姿をしてて、なんでこんなものを有り難がるんだ?という感じなんだが、じっと肌を見ていると、飴釉の濃淡の揺らぎや、まあるい形がなんともわびさびを感じさせるような…宇宙のような…🤔
ただ、茶道具は、ガラスケースのなかの明るい照明の下で見ても魅力が半減しちゃうかも。やっぱり薄暗い茶室のなかの、風景の一部として見てみたい。
もしかすると、有名な人が持っていたものだからということで、価値が出るのかもね。今でも、芸能人○○の使っていたカバン!とか、女優○○の愛用したジュエリー!というだけで、箔がつくものね。

琳派ゴールド!

俵屋宗達の「源氏物語関屋澪標図屏風」はゴールドなのに画面に躍動感が希薄なせいか妙に寂しく見える。まあ寂しい場面ではあるのだけれども…🤔
参詣しているのは住吉大社だというのが、左隻の太鼓橋でわかるのがすごい。これは宗達の時代にも太鼓橋があったということだよね!平安時代にもあったのかなあ…🙄
それにしても琳派はなんだってこんなに金を多用するのだろ。何年か前にサントリー美術館でみた鈴木其一の屏風 も背景が金だった。金ぴかなのにゴテゴテしくならないのは、前面の意匠がデザイン的で抑制されていてうるさくならないからかもな。

余談

曜変の周りに渋滞ができていたのに、監視員のお姉さんが列整理とかをしていない様子だったから、展示室を退室する際に「列が渋滞してるときは、声掛けして誘導した方がいいかもですよ」と控えめにお願いした。その後もう一巡展示室を回って、最後にロビー(真ん中のソファがある空間)で休んでいたら、お姉さんが出てきて「先ほどはありがとうございました」と声をかけてくれた。
なぜわざわざ声かけてくれたのかな?と思ったら、二回目に曜変の部屋に入った時、すぐに出て行ったのが気にかかったとのこと。「ゆっくりご鑑賞できなかったんじゃないかと思いまして…」
二回目は曜変にお別れを言うためにちょっと見に戻っただけだったので、気にしなくてもいいですよと伝えた。
その後はリニューアル後の美術館のようすなど、少し談笑して別れた。
このお姉さんに限らず、さすが丸の内のど真ん中に構える私設美術館というべきか、この美術館のスタッフさんのホスピタリティは異様に高かった。ホテルか?というくらい物腰も丁寧だし、ある程度は質問にも答えてくれる。気持ちよく鑑賞を終えることができた。
今度はいつ行こうかな。
(鑑賞日22.12.2)