アオタケプロジェクト - 採択者紹介② 山下裕也さん -
アオタケプロジェクトは、会津・秋田地方の若手人材を対象として起業家を発掘・育成しています。採択を終え、現在アイデアを磨き上げている採択者の姿ををご紹介します。
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今回ご紹介するのは……
山下 裕也 さん
会津大学修士1年。熊本県出身。
応募テーマ「困っている人に立ちはだかる壁を乗り越えやすい世界をつくる」
プロジェクトマネージャーの存在によって視野が拡がる。
インタビュアー>>> よろしくお願いします。
山下さん(以下、山下):よろしくお願いします!
>>> まずアオタケプロジェクトに応募された経緯を伺えますか?
山下:会津大学の学生起業を支援する地域ベンチャー創生支援財団の創業支援会に参画しており、そこで今回のプロジェクトを知りました。大学入学時から起業に関心があったので、自分ができることからチャレンジを繰り返していきました。今回のプロジェクトもそんな挑戦のひとつです。
>>>ちなみにどのようなことに挑戦されていたのですか?
山下:会津でテニススクールを運営してみたり、東北グロースアクセラレーター(TGA)に参加してみたり、IVS NAHA にボランティアスタッフとして参加したりですね。行動していく中で起業することへの解像度も高まってきたと感じています。
>>> 経験豊富な山下さんにとって今回のアオタケプロジェクトはいかがですか?
山下:いい意味で想定通りといいますか……有意義に活動させていただいています。想像以上だったのはプロジェクトマネージャー(以下、PM)の存在です。始まる前は、自分の経験もありましたので、「PMが入っても……」と少し価値を疑っているところがありました。しかし、実際には「こんな選択肢もあったのか!」とか、「今のフェーズでここまで考えるのか!」と、視野が拡がったと感じています。
ヒアリングからアイデアをしなやかに方向転換する。
>>> 応募時のデータでは「困っている人に立ちはだかる壁を乗り越えやすい世界をつくる」をテーマに「生成AIによる事業者のSNS投稿用画像の生成」をメインのアイデアにされていました。ずばり進捗はいかがでしょうか?
山下:結論から言うと、アイデアが変わりました。飲食店や美容院などへのヒアリングから、もっと根本的な問題に気づきました。具体的な声としては「インターネット自体に馴染みがないのでなんだか怖い気がする」とか、「どういう投稿をしたらいいのかわからない」などです。
>>> なるほど。
山下:そのうえで、今は画像だけでなくSNS全般やGoogleビジネスプロフィールなどを一括で管理できるサービスをつくっています。具体的には事業者さんに撮っていただいた画像とその説明をLINEで送ってもらって、Instagram用や、X用などに加工していくというものです。例えば焼肉屋なら肉の写真と一緒に「これはカルビです」という説明をつけてもらうと、InstagramやXに適した文章をAIによって生成し、投稿までを一括して行います。LINEは使えるという方はいらっしゃるので、慣れているLINEを使って他のSNS運用が可能になるツールという感じです。
>>>アイデアが変わったとされつつも、テーマにある「困っている人に立ちはだかる壁を乗り越えやすい世界をつくる」というコンセプトといいますか、思いは変わっていないように感じます。意識して取り組まれているのでしょうか?
山下:そうですね。プロダクトが最終的に誰かのためのサービスになっていることは多いとおもいます!
ちゃんとゴールから考えることの大切さ。
>>> アイデアが変わりながらの今とのことですが、この経験は学びになっているものでしょうか?
山下:そもそも、自分はアイデアを考えることが下手だと捉えています。アイデアは掛け算だと考えているのですが、その掛け算において発想を転換するようなセンスはないです。だからこそ、最先端技術などの新しい知識を得ることや、こういった経験は今後に活きてくるものだと思います。
>>> 知識という視点でアオタケプロジェクトにあたって新しく学んだことはあるのでしょうか?
山下:AIに文章を考えさせる技術は新しく学ばなくてはならないことでした。SNS運用で目標とするインプレッション数を達成するには、生成AIからいかに質をあげるかが課題でした。独学もありつつですが、似た技術を必死に学んでいるコミュニティに飛び込み学んでいます。
>>> ビジネスやサービスという面では、アオタケプロジェクトならではの学びはあったのでしょうか?
山下:メンターさんに相談しながら、今回は資金があるのでアウトソースできるところはお願いしていこうとしています。誰でもできることはアウトソースし、チームメンバーにも作業をお願いしていきます。労働集約型の作業だからこそ、自分がやらなくちゃいけないことってなんだろうと頭を働かせています。
>>> 外部に頼める環境だからこそ、自分がすべきことを見つめることができているのでしょうか。
山下:そうですね。限られた期間のなかで成果をあげるのは大変です。だからこそ、ちゃんとゴールから考えることが大切だと学んでいます。
自分はアオタケのなかでプロダクトのリリースまでいきたいと考えています。そうなると、実際に使っていただいてインタビューがしたいです。そのためには、プロトタイプが必要になります。プロトタイプをつくるのは、自分のペースでできますが、インタビューなどひととのコミュニケーションが必要なことは勝手が違います。
例えば飲食店とやりとりするとなると、理想の進捗から1週間から2週間ずれたりします。それも当然です、自分が望んでいる日程で飲食店が動いてくれるわけではないですから。バッファをもってスケジューリングすることの大切さは、今回身をもって学べていると思います。
起業を志向するからこそ試されるプロダクトへの覚悟。
>>> 将来への展望などを伺いたいです。
山下:修士1年ということもあり、現在悩んでいるところです。起業したい……起業したいですよ。しかし、正直なところ「エクイティファイナンスでも今回のプロダクトで頑張るぞ」という覚悟をもてるのか……と。
選択肢は複数あると思います。会津若松市でスモールビジネス的に始める、サラリーマンをしながら業務委託でやるなどです。いろんなことがやりたくなる自分の志向もありますが、これだ! と決めきれずにいます。
>>> 正直な言葉をありがとうございます!
インタビュアーによるまとめ
「自分はアイデアを考えるのが下手」とはにかみながら答えてくれた山下さんでしたが、そこから逃げずに知識と経験を吸収し、しなやかにアイデアを方向転換させていました。
テニススクール運営からエンジニアリングまで、すでに様々な経験をされてきた山下さんだからこそ、スピード感のある判断と決断ができたのではと感じています。ヒアリングとプロトタイプの結果を受け止め、テーマにもある”困っている人”のためにまっすぐ取り組んでいく姿勢が印象的でした。
山下さんは今回のプロダクト制作について、「(技術的には)自分にとってそこまでハードルは高くないです。5年くらい学んできているので」と自信をもって語ります。しかし、慢心することなく、プロジェクトを通して学びを得ていました。アオタケプロジェクトのリソースを存分に活用しながら、プロダクトのリリースによって実際の世界を変えていってほしいです!
\ スパークル株式会社について /
地域に本社を構えるベンチャーキャピタル・プロフェッショナルファームとして、新しい世界の経済循環をつくりだすことを目指しています。
所在地 :宮城県仙台市
代表取締役 :福留秀基
Twitter :https://twitter.com/Spurcle_tohoku
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\ 話を聞いた人 /
鎌田 翔至
弘前大学人文社会科学部在学時にスパークル株式会社へインターンシップとして参加。大学卒業後も、本業の傍らフリーランスとしてPR業務に関わる。北海道網走市出身。
Twitter:https://twitter.com/KShoui