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「つながりのプロ」コネクタ日比谷さんが語る「個の時代」の生き残り戦略とは

フリーランスや複業が増え、働き方が多様化してきました。近年は企業が社外の人を業務委託などで雇用する単発の「プロジェクト型」の仕事も増えたことで、必要なときに声をかけられる「個の力」も大事になってきています。

今回は、どうしたら声をかけられる人材になるのか、声をかけたくなる人物像とはどんな人なのか。そんな疑問を「つながりのプロ」である日比谷さんにお聞きしました。

日比谷尚武さん
2009年よりSansan株式会社に参画し、マーケティング&広報機能の立ち上げに従事。並行して、Open Network Labの3期生(Pecoq)、PR Table創業、日本パブリックリレーションズ協会 広報委員などの各種社外活動に参画。その後2016年12月に独立。現在は、Sansanのコネクタ/Eightエバンジェリストとして社外への情報発信を務めるほか、各種活動を並行して行う。

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ー「コネクタ」という肩書きで活動されていますが、普段はどういう風に人をつなげているのでしょうか?

たとえば、「人事担当でいい人いない?」と聞かれればロックバー(日比谷さんが運営しているバー)で紹介してあげたり、「こういう業界を取材したいけど、キーマンいないですか?」と聞かれれば「シェアリングエコノミーだったら、この人」みたいな情報を教えたり。そういうのもコネクトに含まれているので、1日1コネクトだとすると、月20人以上は人をつなげています。

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ー日比谷さんは多くの人とつながっていますが、そこから得た知識やコネクションがどのように広がっているのでしょうか?

はじめて人とお会いした時、自分はすぐに何かコラボすることがないとしても、「最近相談を受けたあの人に紹介したら課題が解決するかも?」とか「あのプロジェクトに引き合わせてみたら面白いことが起こりそう。」とひらめいて、結果的に双方にとってプラスになることが多いですね。

色々なプロジェクトのお助け役で関わることが多いので、

1)支援先で起こった問題とか課題に対して
2)僕が何かしらの解決策を外から持ってきて
3)そこで新しいアイディアや価値が生まれる

というケースが多いですね。

たとえば、僕の携わっている、官僚と起業家をつなげる「PMI」(一般社団法人Public meets Innovation)というプロジェクトで「テクノロジーの進化によって未来はどうなるか?」をテーマとしたワークショップを企画した時に、前提となる考え方や事例をレクチャーしてくれる人を探していたんですね。

で、たまたま別のプロジェクトで、「世界中のイノベーター達のビジョンや事例を元に、未来を描き予報する」という活動を行なっている「未来予報」なる会社の方々に出会ったんです。

「もしかして、今回のワークショップに未来予報さんはドンピシャなんじゃない!?」と思ってお声がけしてみたら、未来予報のみなさんにも「官僚たちとの繋がりは面白そう!」と快諾いただき、結果的にいい勉強会になりましたし、その後、僕を飛び越えて、直接登壇などの相談をし合っているようです。

こんなかんじで、人をつなげることで、課題が解決したり、さらにその先で新たなアイディアが出てくるということがよくあります。

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ーコネクタとして声をかけたくなる人はどんな人でしょうか?

相談を口実に、個人的に近付きたいとかもっと話してみたいと思う人に声をかけていますね。たとえば、あるプロジェクトで困りごとが発生したら、誰に相談すべきか探し始めるわけです。ただし、その課題について専門性が高い人に声をかけるのではなく、「もともと知り合っていたり、ちょっと興味があった人の中で、これをきっかけに関係を深めたい人」への相談を優先している傾向があります。
極端に言えば、自分の好奇心と下心を満たすためにやっているということですよね。

さらに言えば、「ただ要件にマッチする」だけでなく、「つなげたら想定を超えて面白いことになりそう!」と思えるような組み合わせを優先していますね。

ー声をかけられる人材になるためには、人とのつながりを増やしておいたほうがいいのでしょうか?

外に出るなどして接点を増やすことも大事ではありますが、絶対必要ではないと思っています。例えば、自分より人との付き合いが上手い人が周りにいるなら、そういう人に自分のことを的確に理解してもらい、自分の代わりに売り込んでもらえれば、つながりが連鎖すると思います。

何よりまず、「そもそも多くの人から声をかけられる必要あるんだっけ?」ということです。どんな人に声をかけられたいのかを考えることが大事。声をかけられたい、関係を構築したい人がいるならば、その相手の生息している世界や興味に合わせて発信を合わせていくんです。マーケターや広報であれば「ターゲットのニーズを汲み取って、ネタを仕込んでおく」のは当たり前ですが、つながりたい人に対しても同じように逆算思考で行動していく。

多くの人とつながる必要はなく、ハブとなる人とつながるのを目標にしていくと声をかけられるようになってくると思います。

ー発信していくことが大事、というとSNSも含まれていると思いますが、日比谷さん自身はSNSで発信されていますか?

実はSNSではあまり発信していないんです。活動報告的な発信はしていますが、FacebookやEightなど…つまり2ホップくらい先の近しいつながりの中での発信なので、既に面識のある人に近況報告をしている感じです。逆に言えば、新しい人へのリーチは積極的にはやっていません。

ただ、2〜3年おきに「このジャンルに詳しい人と知り合いたい」という目標を定めて、なるべくリアルの場で接点を作るようにしています。例えばここ数年であれば「パブリックセクター」の人たち。官庁、地方自治体などの行政関係者と積極的につながろうと思っています。

そもそも自分の知らない領域の人たちと接点を作る時は、何を発信すれば興味を持ってくれるのかまだよく分かっていないので、ひとまずリアルで出会った人に話をしているんです。何を発信したら届くのか掴めて、発言に責任を持てるようになったらもっと発信をするでしょうね。

例えばパブリックセクターとの接点についても、Sansanを辞める前から興味を持ち、仕事の一環でも色々な人と会っていましたが、3年経ってやっと少しずつ発信をしていくようになってきたという感じです。でも…問われて気付きましたけど…何かに興味があるなら、たとえ自信があろうがなかろうが、そのことをSNSで発信していった方が、早く多くのものを得られそうですよね(笑)。

ー日比谷さんのようなコネクタ側から想起されるにはどうすればいいでしょうか?

一定の領域に止まっているだけでなく、その幅を広げようとしている人は声をかけやすいですね。固定の知識があるだけでなく、その知識が通用しない時でも、状況に応じて試行錯誤して手持ちの知見を当てはめて、そのプロセスを楽しんでアレンジできるかどうか。

一言でいえば柔軟性、キャパの広さがある人かどうか、を気にしています。僕も課題と知識のマッチングだけを鑑みて紹介するだけでなく、お互いが楽しんでやれるかどうかも気にしています。

あとはたくさんの人に会うこともあり、短い時間でもその人の強みを理解できるエピソードがあるといいですね。初めて人と会う時は、限られた時間の中で、考え方、バックグラウンド、業界などなどを深く理解しようと努めているのですが…ストーリーとセットでお話を聞けた方を覚えていることが多いですね。

そして、「相手に覚えてもらい、さらに誰かに紹介されたい」のであれば、テンプレ通りの自己紹介ではなく、相手のアンテナに合わせた自己紹介が必要になってきます。相手の興味、持っている知識、共通点などを踏まえた上で、相手に興味を持ってもらいやすい説明が必要になるわけですね。

声をかけられるためのステップ
①どんな人に声をかけられたいのかを考える
②そのためにアンテナを張って、相手に興味があることを発信していく
③相手のアンテナに合わせて自己紹介をして、覚えてもらう

ーありがとうございました!
やみくもに人とのつながりを増やすのではなく、ターゲットを絞って、そこから逆算して、行動していくことが大事だとわかりました。
まずは、声をかけられたい人を思い浮かべるところから考えてみてはいかがでしょうか。

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