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サンスーシ宮殿【世界史○✕ Pt2-ヨーロッパの建築様式】

 今回は次の○✕問題にチャレンジ!

「サンスーシ宮殿は、ゴシック様式を代表する建築である」○か✕か?









正解は✕です!

  サンスーシ宮殿は18世紀半ばにフリードリヒ2世がポツダムに作らせたロココ様式の宮殿です。このSans Souciという名前は、フランス語で「憂い無し」という意味です。

  ヨーロッパの建築様式に関しては、高校世界史教科書の説明はかなり雑だと思われるので、ここで少し詳しく見てみましょう。
 
  ざっくり時系列順に並べると次のようになります
①古典様式
②ビザンツ様式
③ロマネスク様式
④ゴシック様式
⑤ルネサンス様式
⑥バロック様式
⑦ロココ様式

⑧新古典主義様式
⑨歴史主義様式
⑩近代様式

今回は、混同しやすいと思われる②~⑦について詳しく見てみましょう(他のものも機会があれば解説します!)

②ビザンツ様式

ハギア・ソフィア大聖堂

   ビザンツ帝国のもと4世紀から発展し6世紀に最盛期を迎えました。ローマ建築であるバシリカ式(長方形を旨とする初期キリスト教建築です)、集中式などにドーム天井を融合させた建築様式で、コンスタンティノープルのハギア・ソフィア大聖堂はその極致と言えるでしょう。ユスティニアヌス帝のモザイク画があるラヴェンナのサン・ヴィターレ聖堂やヴェネチアの聖マルコ大聖堂も重要です。

③ロマネスク様式

クリュニー修道院


  10世紀にキリスト教の終末思想が広まった時期に発展した様式で、名前の通りローマ建築の影響が強いです。バシリカを基本形し、円形アーチなどを組み込んだ重厚な建築様式で、内部には聖書の物語の寓意画が描かれている場合が多いです(ラテン語を読めない民衆のため)。斜塔で有名なイタリアのピサ大聖堂、フランスのクリュニー修道院、ヴォルムス協約などが結ばれたドイツのヴォルムス大聖堂が有名です。

④ゴシック様式

ケルン大聖堂


  個人的にはこの中で一番区別しやすいように思われます。13~15世紀に流行し、何と言っても建築技術の向上を示す尖塔と、ステンドグラスが特徴的で、「神は光なり」という聖書の言葉を具現化した建築様式です。なお「ゴシック」とは「ゴート風」という意味で、転じて「野蛮な」建築というニュアンスを持っています。ドイツのケルン大聖堂、フランスのシャルトル大聖堂ノートルダム大聖堂、イタリアのミラノ大聖堂が代表的です。

⑤ルネサンス様式

サン・ピエトロ大聖堂

   古代ギリシア、ローマ建築を模範とした建築様式で、幾何学図形を用いたシンメトリーな造形が特徴的です。他の様式に比べてなんとなくとらえどころがないような気がしますが、フィレンツェのサンタ・マリア大聖堂や、ローマのサン・ピエトロ大聖堂は非常に有名ですね。  前者の建築にはブルネレスキ、後者にはブラマンテ、ラファエロ、ミケランジェロが関わったことも覚えておくと良いでしょう。

⑥バロック様式

ヴェルサイユ宮殿


   「バロック」とはポルトガル語で「歪んだ真珠」を意味し、カトリックの対宗教改革や大航海時代の情熱的なエネルギー、そして富や権力の発露とも言える豪華な様式です。過剰な装飾や凹凸の強調を特徴とし、フランスのヴェルサイユ宮殿、ウィーンのシェーンブルン宮殿などが有名です。

⑦ロココ様式

ヴィースの巡礼教会


   貝殻などを摸した「ロカイユ」模様が語源と言われ、18世紀パリを中心に展開された建築様式で、絢爛豪華なバロック様式の反動で生まれた繊細さ、優美な室内装飾が特徴です。本問のサンスーシ宮殿、ドイツのヴィースの巡礼教会などが代表的です。


この6つに関して区別できるようになったでしょうか?ここに上げた以外の例も出題される可能性があるので、そのたびに分類を確認して整理していきましょう!
   










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