心は 表現されているのか

教育に厳しい家庭だった

小学生の中頃から　
急激に塾の時間が増えた

学校の友人が　ゲームの話で盛り上がる中
話題についていけないことが　辛かった

友達の家に　遊びに行くと
見たことのないゲームがあり
行くたびに　羨ましいと思った

もっと　遊びたかった

まわりには　たくさんの誘惑があった
ただ　環境はそれを許さなかった

何度か　衝突を繰り返し
心に　自ら蓋をした

この　どこにも向かえない心を
救ってくれたのは　演劇だった

あの世界なら　舞台の上なら
どんな感情も　どんな言葉でも
外に出すことが赦された

苦しみも　悲しみも
怒りも　恨みも

自分すべてを使って　
表現することが　できた

むしろ　いいね　と褒められた

そうして　心を守った
だから　心こそが　自分だと思った

✳︎

前々から気になっていた方の
曲を聞いた　ヨルシカさんだ

だから僕は音楽をやめた　に　衝撃を受け
次　また次　と曲を聴いていった

そして　レプリカント　
という曲に　出逢った

いつか世界が　真面になって
人の寿命さえ　随分伸びて
死ねない世界に　なればいいのにね
そしたら　心以外は偽物だ
言葉以外は　偽物だ

この言葉が　頭から離れない
心以外は　偽物だ

そうだ　

心以外は　偽物なんだ
心こそが　本物なんだ

人は　胸に秘めた心こそが　
本体なんじゃないかと思ってた

身体は　その心を
現実にするための　
器でしかなくて

だから　生きる　
ということは

その心を　
表現することなんだと思う　

✳︎

たぶん　きっとそれは
どんな形でも　いいんだ

言葉でも　絵でも
品物でも　事業でも
料理でも　掃除でも

その心を　
表現することが大事なんだ

誰の目に　止まらなくても
認知されたり　承認されなくても
評価されたり　お金にならなくても

その心を
表現することが大事なんだ

筋肉が　鼓動し
血液が　体内を巡り
心が　表現に変える

生きるって　きっと　
心を表現することなんだ

僕の心は　どうだろうか
表現されているのだろうか