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デザイナーの逸品-05.キャリーバッグ

RIMOWA「ORIGINAL - Cabin Twist」

キャリーバッグ/ドイツ

デザイナーのつぼたです。この「デザイナーの逸品」で紹介するものは、デザイナーの日用品のような手軽ではないものばかりかもしれません。だけど、その価格に見合った価値がある!これは素晴らしい製品だ!一生使いたい!と感じた商品を紹介していきたいと思います。ちなみに、私が欲しくなるものは以下の5つの条件をクリアしていることが多いです。

1、シンプルであること
2、美しいと感じること
3、機能がしっかりしていること
4、持っている人があまり多くないこと
5、流行に左右されず、時代に対する耐久性が高いこと

出張や旅行や大きな荷物を持ち運ぶ時に活躍するのがキャリーバッグです。スーツケースやキャリーケースとも呼びますが、様々な種類が出ています。私も今回紹介するキャリーバッグに至るまでに変遷があります。まずはそれを紹介します。


1st.『innovator』

私は大学時代にはそれほど旅行にも行かず、社会人になってからも数年間は必要もなかったので、キャリーバッグは持っていませんでした。

2015年に初めて海外旅行に行った時はパックパックで行っていました。そこから数年、出張が増えたこともあり、キャリーバッグを買わないと……となったため街へ買いに行き、そこで見つけたおしゃれな『innovator inv1811(イノベーター)』を購入しました。当時はまだ白黒になる前だったので、「GUNMETAL(ガンメタル)」というメタリックなダークグリーンを使用していました。香港・タイ出張も、インド・ベトナムへの調査旅へもこれで行きました。

インドでバスの屋根に乗り切らず放置されるイノベーター。

『イノベーター』を購入した時は時間もなく、調査せずに購入したものの、 結構気に入っていました。不満点はスウェーデンのロゴが浮かび上がる表面処理がちょっと過剰なデザインに感じていたことと、表面に傷がつきやすいことでした。そこからキャリーバッグを調べ出します。

2nd.『GLOVE-TROTTER』

調べていてすぐに辿り着くのがイギリス王室御用達のキャリーバッグ『GLOVE-TROTTER(グローブトロッター)』です。

グローブトロッターは紙を加工した特殊な素材「ヴァルカナイズド・ファイバーボード(通常ヴァルカン・ファイバー)」を使用しており、丈夫なのに軽いという特徴を持ったキャリーバッグです。しかし購入前から問題点がありました。それはイギリス王室御用達ということからも分かるように非常に高額だということです。自分に合えば一生物、合わなければ売ろう!と購入。3年使用することになります。

グローブトロッターの使用した感想は別のnoteでまとめようかとも思いましたが、良い機会なのでここにまとめようかと思います。

クラシックなリベットが特徴的な『グローブトロッター』

3年間使用した感想は、優雅な暮らしをしている人が使うキャリーバッグなんだな、ということです。最近でこそ4輪キャスターのグローブトロッターが出てきているものの、主流は2輪です。体の横に寄せて使用はできません。そのため人の多い場所では不向きでした。また、ヴァルカンファイバーはある程度の強度はあるものの硬度(引っ掻きに対する強さ)は弱いため、車輪がガタついた際に角がコンクリにスレてボロボロになります。表面が紙なので預入荷物に貼られるシールの跡も付きやすいです。1番の問題点は「TSAロック」に不対応であったことです。TSAロックを知らない方に説明を引用します。

アメリカ合衆国領土で、旅客機に搭乗手続きする際、持ち込み手荷物または受託手荷物は、通常は空港警備の一環としてX線透視検査を行うが、運輸保安庁係官が中身を直接目視検査する場合もありうるため、一切施錠しないことが求められている。

施錠された荷物については、運輸保安庁係官が錠機構を破壊することを認められており、破壊されたり内容物の盗難があったりしても損害補償は一切ない。

しかし、TSAロック機能が装備された荷物・錠前等は、持ち主が自分の鍵で施錠してあっても運輸保安庁係官が専用の合鍵を用いて、随意荷物を抜き取り開錠し荷物を検査することが出来る。そのため、米国領土から出航する航空機への預け入れ時にも、施錠して渡すことが出来る。

Wikipedeaより

一般市民にとって鍵を破壊される可能性があることは恐ろしいです。しかもそれが高級なキャリーバッグであるなら尚更です。

こういった理由からグローブトロッターを手放すことを決めました。私が次に目を付けたのがキャリーバッグ界で英国の『グローブトロッター』と双璧を成すドイツのブランド『RIMOWA(リモワ)』です。

3rd.『RIMOWA』

リモワは以前から名前は知っていたのですが、本格的に気になったのはお笑いタレントのイモトアヤコさんのYouTubeを観た時です。イモトさんは日本テレビ「世界の果てまでイッテQ!」のロケで世界118カ国を訪れています。そんなイモトさんの所有するスーツケースはすべてリモワのものだとYouTubeで紹介されていました。その理由を「直接店舗に修理に持って行くと、修理工場ある店舗だとすぐに直してくれる」と語っています。

『グローブトロッター』と比較して持っている人は多いものの、シンプルで、美しく、非常にタフで、世界中に店舗があって多くの国で修理してもらえる。こんな魅力的なスーツケースはありません。

質実剛健という言葉が似合うリモワ

ORIGINAL - Cabin Twist

最近のリモワはポリカーボネート製のものもあり、軽量かつジッパーでの開け閉めが可能なモデルもあります。他にも昔のデザインを復刻させたような『Classic(クラシック)』など様々なラインナップがあります。

アルミ製よりも1kgほど軽いポリカーボネート製のものを検討していましたが、ジッパーでは防犯としては少し心許なく、柔らかい素材よりもアルミ製の方が生涯にわたって使用できると考え、アルミ製のものにしようと考えました。また『クラシック』では鍵の部分やハンドルがが出っ張っており、ぶつかった際に破損しやすいのでこちらも避けました。

最終的に私が選んだのはスタンダードで長年使えるアルミ製の『ORIGINAL(オリジナル)』と呼ばれるシリーズです。カラーはスレても塗装の剥げないシルバー。サイズは機内持ち込みの可能な『Cabin(キャビン)』、その中でもハンドルがブラックのレザーの『Twist(ツイスト)』というモデルにしました。


『クラシック』では出っ張っている鍵とハンドルも、『ツイスト』ならフラットに近い。
ハンドルとロックの周りもブラック

私にとっては『ツイスト』ではない通常のシルバーモデルは、ハンドルや車輪がライトグレーで、全体的に間延びしているように感じてしまったため、ハンドルと車輪と鍵の周囲が黒くて引き締まった印象のある『ツイスト』を選ぶことにしました。

ハンドルの表面は革製で、手触りが優しい。

スーツケース内

リモワの中は開いた時に中身が飛び出さないように前と後ろに仕切りがされています。その仕切りにはそれぞれポケットがついており、仕切り自体を止めるマジックテープはシリコンで作られています。中のデザインも洗練されています。

ダークグレーで統一されており、中もシンプル。

永久保証

しかもリモワは2022年7月25日以降に購入した新品のスーツケースに対して生涯保証が提供されることになりました。リモワにはすべての製品にシリアルナンバーが刻印されており、購入時にシリアルナンバーとユーザーを紐付けて登録されます。これをもとに修理を受け付けてもらえます。これは外観にしか影響しないものに対しては有償の修理になるのですが、車輪やハンドルなどの機能を損なうものに対しては生涯に渡り無償で修理してもらえます。

リモワはものによってはグローブトロッターよりも高額になります。特に最近は円安の影響で海外ブランドは高額になりがちです。ですが、タフで全世界・生涯補償があることを考えると価格に見合った価値があると思います。

王道にして最強の『RIMOWA』

おまけ

リモワで実家に帰ったところ、父親が数十年前に購入した大きなリモワを持っていました。ステッカーだらけでボロボロに見えましたが、ステッカーを剥がしてみるととても綺麗で、少し修理は必要そうですがまだまだ使えそうです。さすがリモワ。もう使わないということで、父からもリモワを引き継ぎ、二台体制で行くことになりました。こちらは生涯保証がないけど修理しなきゃ。

まとめ

ブランド:RIMOWA
製品名 :ORIGINAL - Cabin Twist
デザイン:-
発売発表:2019

公式ショップはこちら
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SPOT DESIGN 坪田将知

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