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リハビリ初期 -けがをしてしまったら-【Doctor Tのスポーツ・エクササイズ医学】

こんにちはDoctor Tです。みなさんどんなGWを過ごされましたか?私も充実した時間を過ごしました。陽の光に当たると元気が出ますね。さて、今回は前回に続き「リハビリ」です。

リハビリは初期中期後期に分けて考える

リハビリは最終目標を見据え、初期、中期、後期、競技復帰と区切って考えることを前回説明しました。(note「リハビリの基本!」)

各段階のリハビリ目標

今回はケガをしてからの対応、リハビリ初期を説明します。詳細のメニューはケガの種類や重症度、個人の体の状況によるのであくまで参考としての概要が以下になります。

UCL講義より。筆者編

痛みのコントロール

ケガをすると痛みが出るため、それをかばおうと、私達は無意識のうちに体の動かし方を変えています。その動作や姿勢が数日もしくはそれ以上続いてしまうと、今度はそれがあなたの体の動かし方のノーマルになってしまいます。

例えば右膝が痛いから、できるだけ左に荷重するように歩いてると、ケガをしていなかった左側や、足首、股関節といった他の関節に負荷が過剰にかかるようになり、それらが痛くなることも珍しくありません。

鎮痛を図りながら、できるだけ正しい姿勢や動きを維持できるようにしたほうがいいと思います。可能であれば、そもそもケガの原因となったよくない姿勢や体の使い方もこの際見つけ出し、リハビリの中で改善させていくといいですね。

痛みというのは辛いですし、上記の理由から適切な鎮痛は必要だと考えます。痛み止めを飲んだり、氷で冷やしたりすることで痛みを軽減することができるでしょう。

ケガをした部分の保護

当然ケガをした部分は正常な部分に比べ弱くなっています。折れてしまっている、切れてしまっていることもあるでしょう。正常だったら耐えられる力にも耐えられなくなっています。

テーピングやブレースなどの装具でケガをした部分を保護しましょう。併せて、痛みが生じる動作を避けることも保護になりますね。

基本は"Relative Rest"

relative restという言葉は馴染みがないかもしれません。relativeは「相対的な」、restは「休養」という意味です。

ケガをしたら「安静に」と言われることがあると思います。この安静を「寝ている」「じっとしている」と解釈する方が多いのではないでしょうか。それは、ここでいうrelativeではありません。ケガをした部分以外を「休ませる」のは「弱らせる」とも言いかえられます。注意してください。

ここでのrelative restというのは、痛みのある動作は避け、それ以外は動かすことを意味します。「痛い部分はrestしてください」ということです。

有酸素運動は継続

有酸素運動は心臓や肺の機能を維持もしくは高めるための運動です。体を動かすのに必要な筋肉さえあればいいというわけでありません。有酸素運動も止めてしまうと、この能力は落ちてしまいます。いわゆる持久力が落ちてしまうということです。

持久力というのは長距離選手にだけ必要な能力なわけでなく、日常生活でこの能力が落ちると困ることになります。階段を上ろうとしても息切れがして上れない、周りの人の歩く速さについていけないなどがその例です。

可動域トレーニング(ストレッチ)も継続

こちらも有酸素運動と同じで、同じ姿勢で関節を動かないでいるとその周囲の筋が固くなります。正しく体を動かすには、しっかりと体が曲がる、伸びる、ねじれるということが必要です。

何度も繰り返しになりますが、運動の4要素(note「運動の4要素」)は常に意識することが大切です。

教育や心理的サポート

どうしてケガをしたのかを元に、次ケガをしないためにどうしたらいいのかを知る必要があります。リハビリで体の修復もしますが、同時に司令塔となる頭の訓練をして次のケガを予防しましょう。

あとは、ケガをして落ち込んでしまう選手もいますし、またケガをしてしまうのではないかという恐怖を持つことももちろんあるでしょう。

確かに、心理のことはまだ体のケガほどリハビリについての研究も進んでいません。でもここはスルーせず、選手の本当の気持ちを聞き、それに対応することが求められます。精神的に前向きになるというのはケガからの回復も早めますし、なにより選手の辛さを減らしてあげられるのは大切なことですね。

まとめ

  • リハビリは初期中期後期に分けて目標・計画を立てる

  • 初期は「痛みのコントロール」「ケガをした部位の保護」を

  • Relative restで、「痛みのある動き以外は今まで通りトレーニング」

  • 絶対安静にすると元気だった部分が弱ってしまうので要注意

  • ケガをしたつらい気持ちや今後の不安も聞いてサポートしよう

どうでしたか?これはアスリートに限らず、私達一般人も当てはまることです。よかれと思って安静を続けた結果、今まで楽にできた日常動作が辛くなることはよくあります。今回のポイントを意識すると、早く日常に戻れる可能性が上がると思います。

ケガをしてしまったのは悲しいですが、早く回復するために前向きに頑張りましょう!!!

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